土味 銅コイン
「つちあじ どうこいん」です。
金や銀の輝きをもたないどころか
メダルですらない銅コイン
ぼくなりに精いっぱいやったのに
表彰台に立てなかったとき
首からはなにひとつ
誇らしげにさげられない悔しさに
ふてくされた片脚立ちで
つま先が掘り返したグラウンドから
顔を出した この銅コイン
メダルに比べたらちっぽけで
誇らしげに首からさげることはできないし
泥にまみれて こびりついてるけど
磨いてやればそれなりに 光をはなつことだろう
なんだか それはそれで いまのぼくには
似つかわしいかもしれないと
泥を洗い流してやったら わずかながらも
取り戻した光沢に
笑みが浮かんではこぼれる
泥まみれのしたのささやかな輝き
こいつを手にできたんなら
ぼくのがんばりも無駄じゃなかった気がして
首からさげるでなく
さっきまでからっぽだった てのひらに
ぎゅっとにぎりしめただけだけど
コインはすこしだけ ぼくを誇らしくしてくれた
調子にのったぼくは
表彰台のやつらの真似をして
コインを狩りって 軽くかじってやったら
口の中に広がったのは土の味だった
辻堂安古市先生のアナグラム
またやってしまいました(汗)