140字小説
以下二作品は、
「10月1日〜31日開催の140字小説コンテスト「秋の星々」 #秋の星々140字小説コンテスト」への応募作です。
『思考ジャングル』
霧の濃い中を、ぬかるんだ足元に気をつけながら進む。陽が沈むまでには次の予定地点に着いておきたいが、行く手を鬱蒼とした緑色が阻んでいる。二人ずつ組み六人程のグループで挑んでいたが、気づけば隣に誰もいなかった。ふっと顔に影がかかる。上を見た。木々の葉達の奥深くに吊るされていた。私も。
『ゆめころり』
星の中を沈む。深く、深く、段々と紺色はひだを纏って暗闇色へと変わる。遠くなるその光に手を伸ばしたけれど、掴むことができたのは透明なひと雫だけだった。天と地とその境目さえ曖昧な地平線のその奥底、足元すら覚束ないふわふわとした心地の床か天井へと片足がついた。手の平にころりと丸い、夢。
以下三作品は、
「「# 140字小説 2」の発売を記念し、ワニブックスさんから「第2回 140字小説方丈杯」を開催」への応募作です。
今回は珍しく、三部作です。
『二人きりの朝、の日』
「おはよう。今日は寒いね、雪が降るかな」「おはよう。今日は寒いな、雪はどうだろうな」「エアコンのリモコンどこ」「リモコンどこだったかな」「コーヒー淹れようか?」「コーヒー淹れてくれるのか。ありがとう」「パンはいる?」「パンはいるのか。ありがとう」
「……もうこのAIも寿命かな……」
『二人最後』
「今日は東の街跡いってみよ」「いってみましょう」「……ねぇ、来世でも会える?」「来世は不確定要素です」「もう、まじめだなぁ」
「……ね、生まれ変わってももう一度あいたい」「び、ガー……生まれ変わりという現象はな……また、あい、た、ぃピー……」「やっと本音言ったな、このロボットめ」
『二人の一人』
「あーほんと疲れる」「街跡までの距離は……位置がここで……」「そういえば、出会ったのもこんなとこだったよね。頭から下全部埋まっててまじウケた」「やっぱこれって独り言かな」「それにしても本当におもいな、魂抜けたら軽くなるんじゃなかったっけ」「……全部、残していった重さならいいのに」




