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私がどうにもならない不安に押し潰されそうになっていると、シルフィさんが、握っていた手をギュッギュッと数回強く握る。
「まずは残った木の伐採や草や野生の野菜をしようか。考えても答えが見つからない事に捕われるのは時間の無駄だろ?」
「そうだね…。うん。やってみよう…」
私はカマを片手に草を刈る。シルフィさんが、オノを振るって木を切り倒していく。不思議な事に刈ったはずの草はもちろん、切り倒した木材は、カバンの中へと消えていく。
「もうなんだろうね……。まともに運ぶ人から見たら、重たい思いして運ぶのがバカバカしくなっちゃうね…」
「原因っぽい君が、それ言っちゃうの?」
「やっぱそうなのかな。イチゴとかハーブとかいうのなってたから、出荷箱に入れとく? あとは…、ゲームの…。持ち物見る画面だっけどうやって開くのかな。ステータスで見られるのかな」
「ステータスってのはわからないけど、ゲームだと見れた、牧場の売る持ち物とか住民の好感度とかクラフトの方法あるやつだっけ? 見れたにこした事はしたことはないね…」
「……あ…、私のステータスで見れた…。あぁ……、情報共有するならフレンド登録が必要みたいね…。シルフィさんはどうしたい? しばらくしたらここから離れるのでしょう? なら何もしがらみ残さない方がいいよね……」
「僕に聞いてくれるの? うーん。しばらくここを出ない方がいいのは確かかな。お互いしばらく一緒に過ごして決めようか? ずっと二人で過ごすなら相性だってあるだろうし、もう少し君を強くしてからじゃないときっとこの先気にかかってしまうだろうし。どうかな?」
「うん…、そうよね。気がついたら一緒に過ごしていたから、ぼんやりとずっと一緒だといいなって思ってたから、はっきり言われてよかったのかも」
「一旦、出荷箱に入れるものだけ入れて中に入ろうか」
「お腹空いてきたしね! 室内に帰ろう!」
牧場内の建物の扉をくぐると、キャビンの中へと帰ってきた。
「唐揚げとチキンソテーとやらを一緒に作ろう!」
雑貨屋で買ってきた白いご飯は、一回冷蔵庫に入れて、唐揚げのためにタレにつけてたお肉の水分を取る。
「これに小麦粉っていうのをまんべんなくつければいいの?」
「そうみたい。焦がさないで上げるコツは二度揚げ? って書いてある!」
「でもメニュー見る限り、肉肉しいな…。食事に野菜とかつけた方がいいのかな……」
「うーんサラダ……、レタス…、きゅうり…、ホウ草…、ツナ缶? とかいうのしかサラダに合う食材は、キャビンにはないってなってるけど……。あとマヨネーズとか言うクリームみたいなの?」
味の想像がつかない私達は、全部使ってサラダなる物を仕上げたのは言うまでもない。
そして、レシピ通りバターでじっくり焼いたソテーと、苦戦しつつも油で揚げた唐揚げに舌鼓をうち、シャワーを浴びたあとにその日を終えて行くのであった。