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「バスルーム? あれすごいな。雨みたいに温かいお湯降ってきて驚いた! 体洗うやつとかも初めて使ったよ!」
「そっか。気に入ったなら良かったよ。でも普段はどうしてるの?」
「うーん。川の水を浴びるか、魔道士にクリーンの魔法かけてもらうかだろうな。でも金持ちじゃないと魔法は難しいから、平民や貧乏人は川で洗う一択かな…」
「そうなんだ……。私もここがなければ、そういう生活してたんだね…」
「そういえば、記憶がないんだもんな…。シフォンさんは」
なんだか深刻な空気になりそうだったので、「室内を一緒に冒険でもしよっか!」私がそう言うと、シルフィさんは困った様に苦笑いして、付き合ってくれた。
私が気になったのは、テレビというのに繋がってるゲーム機というもの。
ほのぼの牧場生活というものがささっていて、なんだか気になる。
「シルフィさんが、やってみてくれないかしら」
私からコントローラーという物を受け取ったシルフィさんが恐る恐るボタンを押していく。
NEW GAMEという文字と共に、牧場生活が始まる。チュートリアルという説明を受けながら、敷地内になった物を売って、野菜の種が増えたり、お金を増やしたり。じっくりとやり込んだら楽しそうだ。
「一体どんな仕組みで出来てるんだろうな…。一般的にゲームと言ったら、カードくらいしかないと思うよ…」
「お料理とかは出来ないけど、簡単にお世話できて野菜が実るのも早くていいね。現実世界もこんなんだったらいいのに……。羨ましいなぁ…」
私がそう呟くと、キッチンの方で物音がした。一人は怖いとシルフィさんの左腕をガシリと掴む。ゲームを一時停止して物音のした方へと二人で向かう。
シルフィさんは剣を取り腰ら下げる。
「そんなにしがみつかなくも…」
苦笑をもらしつつ、シルフィさんは私の頭を、空いた右手でポンポンと軽くたたきながら、音のしたキッチンの方へと向かう。
「「扉……?」」
さっきまで視界に入らなかったとは思えない程、立派な扉が鎮座していた。
ご丁寧に牧場入口とのアイコンも見える。
「牧場入口……?」
私が困惑気味に呟くと、アイコンが見えていないのか、「この扉……、牧場への入り口なの?」とシルフィさんが呟いた。
「行ってみようか……」
「うん。怖いからこのままでいいかな?」
私が覗き込む様にして聞くと、「念の為、剣だけ抜かせてね…」そう言い、腰から下げていた剣を右手でスラリと抜く。
「じゃあ…、行こうか……」
「うん…。置いていかないでね…」
さっきまでなかった扉の前には何故か二人分の外履きがあった。それを履き、扉を開けて一歩踏み出す。
目の前に広がるのは、ゲームでチュートリアルを受ける前の、荒れ果てた牧場に類似した土地だった。
「「もしかして、さっきまでやってたほのぼの牧場生活の世界……? もしかしてしばらくここで自給自足出来たりしちゃう感じ?」」
私達は呆然と荒れ果てた土地をしばらく眺めている事しか出来なかった。