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「……なんでお肉いっぱいなの? シルバー金貨の残数みたいなのついてるし……」
シルフィさんも苦笑いしている。
「何か変わるのかな~って試してみただけだよね?鳥肉火で炙ったら美味いんだけど、流石にここでする訳にはいかないよね…」
「仕方ないからなにが出来るか調べてみる……」
私はスマホを持ってきて『鳥肉、食べ方』と検索してみる。
「何その板……?」
「……良くわからないけどスマホって言うんだって。色々調べられるみたいだよ。ここ限定みたいだけと……」
シルフィさんも後ろから覗き込むようにして、スマホという名の板を見ている。
「これ食べてみたい」
なんて指を指すので、次の食事の時に作ってみようと話をし、着替えを持ってきてもらい、バスルームに案内する。
「ここを捻るとお湯が出るみたい。怪我治ったなら、一度血を洗流したいでしょう」
そう言って、さっき使ってみたばかりのバスルームの説明をする。
「これが体洗うやつで…、これが髪洗うのに使うみたいよ」
「使い慣れてるんじゃあないのかい? なんで疑問形?」
「うーん、今日気がついたらここにいて…、何故か使い方は、わかるから多分さっき初めて使ったんじゃないかな…」
「そうか……」
気遣わしげな表情を浮かべてから、シルフィさんはそれ以上何も言えないみたいだった。
「とりあえず……。聞きたいことも、これから何したらいいのかも今は良くわからないから、一先ず汗流してきたら?」
そう言いながらバスルームの扉の前へと移動する。
「お言葉に甘えるよ…」
それだけいうと、バスルームの扉を開けて、シルフィさんは入っていった。
確かシルフィさんが食べたいと言ったのは、唐揚げとチキンソテーと書かれたものだった。
私はする事もないので、スマホを見ながら、チキンソテーと唐揚げの準備をしようと思った。
「にんにく? 生姜? 小麦粉とか……塩? コショウ? 油? 醤油? 砂糖? 色々材料足んないし……」
途方にくれていると、ガチャリという音が響いたかと思うと、冷蔵庫の残高が減り、生姜やにんにく、調味料、足りないと思っていた物がテーブルの上に姿を現す。
「なんなのここ……」
欲しいと思った食材が手に入る?
「いやいや、そんな馬鹿な……」
包丁ややまな板といった、料理に必要そうな物は揃っているらしいので、にんにくの皮を剥き、生姜の表面を包丁で剥いていく。
これをすればいいのかな。にんにくと生姜をすっていき、書かれてある分量を見ながら作っていく。
出来たタレどういうものにつけ置きするらしい。一体どんなものが出来るのやら…。
ソテーとか分量はあってないようなもんだよね。
塩の味をみてしょっぱくなりませんようにと願いながら下味をつけて行く。
一度冷蔵庫の中に入れ、シルフィさんが戻って来るのをのんびりと待つ私だった。