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薬草というジャンルだと思いの他、たくさん種類があるようで、数がたまったら紐で束ね、カバンへとつめていく。
そんな作業を繰り返していると、血まみれで倒れている青年を見つけた。
良くこれだけの血を流して肉食獣に襲われなかった物だと思う。
瞳は固く閉じられていてわからないけれど、綺麗な銀髪をした青年。
このまま放って置いたら肉食動物にくいあらされかねない。それも忍びなくて、意識のない青年の腕に体を挟み込ませる。
「キャビンオープン」
意識のない青年を運ぶのに、重力に負けそうになりながら、ソファというものに青年を寝かせる。
スマホを片手にどの薬草が一番効果があるのかを調べていく。
お粥というものの香草代わりに入れると効果が出やすいと書かれているので、止血や手当てをしたあとに、バスルームとやらで、体に付着した血を流す。
寝室らしい部屋にある扉の中にあった洋服を持ってきていたので袖を通す。
キッチンと言う場所に行くと、テーブルの上にあったお米を洗うと水分を多めに炊き込む。仕上げにホル草という薬草と牛乳、塩とコンソメなるものを入れて水分多めで煮込む。
ホウ草はほうれん草みたいな味? 元を知らないから、よくわかんないけど、薬だから我慢してもらおう。
味見をすると、お米というものも柔らかくなり、入れた薬草も想像より美味しかった。
怪我をしている時は回復が早くなり、健常時に食べると一時的に毒の効きが悪くなる…。そんな効果なら食べても問題ないかなと思い味見をしてみたわけだけど、思いの他、お腹が空いていたらしく、キャビン内にあった食器を使い少し腹ごしらえをした。
美味しい。お腹いっぱいで幸せ。まったりしていると、料理の香りに呼ばれたように目を覚まし、こちらに向かって歩いてきて私を見ていた。
「たまたま採った中に傷に効くらしい薬草があったから作ってみたの。食べる?」
少し戸惑いながらも青年はうなずいた。
変なものを盛られる可能性は考えた様だけど、手当された身体を見、思い直したようだった。
「何故助けた?」
「自殺願望でもあった? だったら助けてごめんなさいなのかな…」
「すまない。そういう意味ではなかった……、気配消しを使ったはずなのに何故見つけられたのかと不思議で…」
痛む傷を抑えながら彼は言う。あぁ…、私には見えてしまっただけで本来はわからないはずだったのか。
そういえば血の鉄臭い臭いもしなかったかも。
「私が特殊で見えてしまったみたい。確かに血の臭いもしなかったし、近くに行くまでわからなかったわ」
「ホウ草っていう薬草で、お薬兼食事を作ったから食べてみて」
「ホウ草!?」
「嫌いだった? 薬だから我慢してね。ついでくるわ」
そう言うと有無を言わさず、立ち上がりお粥をお椀に盛り付ける私だった。