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ゆっくり休んだ翌日の事。
「世界にはレベルって概念がないから、良くわからないけど、ほのぼの牧場の街を出てすぐは弱い敵ばかりみたいだ。サポートはするから行ってみる? 多分君が薬草を採ってた森の魔物は強いよ? 遭遇しなかったのが奇跡みたいだ…」
レアな薬草が生えてた時点で嫌な予感はしていたけど、今は気軽に出歩ける場所ではないらしい。
シルフィさんにお金をかりて最低限の装備を整える。
「街の外にはこっちから出るんだっけ。僕が体力を削るから止め頼める?」
戦闘の技術に関しては、ゲームでは適応されないらしく、冒険者というシルフィさんの監督の中、片手剣のブロードソードを振るう。
何度も敵を倒す内に、効果音と共に戦闘技術がが上がって行く。不意にシルフィさんの方からも技術アップの効果音の様な物が聞えてきた。
「え? もしかして一緒に行動してたら、私が止めささなくても、上がるのかも…。現にシルフィさんの戦闘技術上がったみたいだし……。さっきから敵を倒すとお互いにもらえてるExpって言うのが貯まると強くなるのかも……。レベル限定でステータス見てもいい?」
「?? ステータスっていうのわからないけど、構わないよ…?」
「見るね」
シルフィ(シルフィード)
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他の項目はみないと願ったからか、?のマークが浮んでいる。
「シルフィさんって本名シルフィードっていうのね……、まんまだねぇ。シルとか名乗った方が偽名っぽいし、分かりにくそうなのに…。愛称みたいね…」
「!!」
わかりやすく動揺したシルフィさん。でも名前に関しては大した事はないと思い、サラリという私。
「なんか不味い事言った…? シルフィさんの名前、カッコ付いてるから読んじゃったけど…。うーん戦闘技術見たらまずかった…?」
「いえ…。ここでは良いですが、外に出たら名前の事は秘密にしてもらえませんか? 少し事情があって……」
「……わかった。代わりに愛称って事でシルって読んでいい? 私もシフォって呼び捨てていいよ。お互いに秘密を共有するなら、愛称で呼び合う資格あるわ、きっと」
私がそう言ってニコリと笑うと、力が抜けたようにして、彼も笑った。
「わかった。これからシフォって呼ぶ…」
「私もシルって呼ぶね! でさ、私の剣技はまだまだだけど、一緒に行動すると戦闘技術がお互いに上がるなら、一回外の世界の魔物と戦ってみたいかも。いつまでもシルにオンブに抱っこじゃいられないし、シルが戦って勝てる相手なら、シルと私の剣技の上がりも良さそうだし」
「確かにそうかもね。ただまだ暗殺者がいるかもだし、気をつけて行こうか」
そうして私達は一度キャビンへと戻り、玄関から外に出るのだった。