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10.出店料が厳しい!

「ツカサ、動ける?」


「まあ、怠いけど、ちょっと気合を入れれば」


「今日は、王都方面に行くって言ってたけど、やめとく?」


「いや、頑張ってみる。万が一の時は、転移魔法で帰って来るから」


「分かった。でも、余り無理しないでね」


「了解」



 カツミは、不安そうな目でツカサを見詰めた。

 自分の本来の身体を酷使させたくないという気持ちが無いわけではない。

 ただ、それ以上に、初めて生理を経験するツカサが心配だったのだ。



「あと、朝食はどうする?」


「それなら、自分で出して食べる」


「分かった。でも、食べ過ぎ注意ね。私の身体なんだから、太らせないでね」


「了解」



 身支度を済ませ、二人が宿を出た。

 カツミは商業ギルドに直行。

 ツカサは、昨日来た道とは反対方向……王都チバニアン方面に向けて、ゆっくりと歩き出した。



 途中、ツカサは、グリポスクス内で冒険者ギルドの前を通った。

 そこに出入りする人達は、男女問わず自分達とは全然違って逞しく見えた。



「もし、王都に行く途中で盗賊とかに出くわしたら、ソイツ等ごと、ここまで転移してくればイイか。そうすれば、冒険者達が始末してくれるだろ、きっと」



 この時、ツカサは、

『備えあれば憂いなし』

 と思っていた。


 しかし、自らが備えた時には、大抵、その備えが必要になる展開にはならない。

 問題が起こるのは、むしろ、自らの手で備えていない時ではなかろうか?


 なので、ここでの正しい言葉の選択は、マーフィーの法則だろう。

 実際、ツカサは、この後、盗賊や暴漢に襲われることは無かった。



 ツカサが防壁を通り抜け、グリポスクスの市街地を出た。

 ここからは、道の両脇に牧草地帯が広がっていた。

 人は殆ど住んでいないが、一応、この辺りもグリポスクスに含まれる。



「のどかなところだな。昨日、街に来る途中でもそうだったけど……」



 この時だった。

 地球時代には一度も経験したことの無い感覚が、ツカサの身体を襲った。

 アレが来たのだ。



「えっ? ナニコレ?」



 初めてと言うこともあり、大事なところが、どうなっているのか気になって仕方が無い。

 元が研究者なので、そう言った探究心は人一倍強いから尚更だ。


 幸い、付近には誰もいない。

 とは言え、青空の下で、下着の中身、それもタンポンが挿入されている部分がどうなっているのかを確認するのは、さすがに抵抗がある。


 ツカサは、

「転移!」

 一旦、宿に戻って確認することにした。



 ❖  ❖  ❖



 その頃、カツミは商業ギルドにいた。

 登録料は銀貨三枚。

 これは、代表でカツミ一人が登録するだけで良いとのことだった。

 互いに独立した体制にならない限り、ツカサの登録は不要である。


 一先ず、ギルドへの登録は無事済んだが、他にもカツミはフリーマーケットについて確認したかった。



「ちょっとお伺いしたいのですが」


「何でしょう?」


「道端でフリマを開きたいのですが」


「商品は何でしょう?」


「文房具とか生活必需品、常備薬です」



 何気に、ツカサの視線が受付嬢の胸に行く。

 ツカサは、

「(もう、何してるんだろ、私?)」

 と心の中で呟きながら、視線を受付嬢の顔の方に向けた。



「そうですか。先ず、申請書を提出していただきます。それから、フリーマーケットの場合は、売り上げに対する税金を課しても正しい申告をしない人の方が多いので、代わりに出店料を頂いております」


「おいくらになりますか?」


「食品類ですと一日当たり銀貨三枚ですが、今回は、食品は販売しないとの理解でよろしいですね?」


「はい」


「その場合は、一日当たり銀貨一枚になります。一週間ごとに更新手続きしていただきますが、その都度、七日分の銀貨七枚を出店料として前払いしていただきます」



 できれば、フリーマーケットは開きたい。

 これは、生活費を稼ぐのと同時に、客からカナエマンネンの情報収集もできると踏んでのことだ。


 しかし、この金額は、今のカツミ達にとっては、結構な痛手だった。

 ここでフリーマーケットの申請を行なったら、今日一日で大銀貨一枚分の出費になる。



「分かりました。ちょっと、連れと相談してから出直したいと思います。ただ、申請書だけは、先にいただけますでしょうか?」


「了解しました。ただ、無許可でのフリーマーケットは違法になりますので、くれぐれもご注意ください」


「承知しました。あとですね、もしご存じでしたらお教えいただきたいのですが」


「何でしょう?」


「カナエマンネンと言う木のことですけど、何処にあるか聞いたことはありませんか?」


「名前だけは聞いたことがありますけど、何処に生えているかまでは……」


「そうですか」


「お役に立てず済みません」


「いえいえ、構いません」



 カツミは、受付から申請書を受け取ると、一旦、近くの椅子に腰を下ろした。

 思っていた以上に状況が厳しい。

 ここまで、お金に苦労するとは。



「はぁ……。溜息出るな。これは、下手にフリマを開かずに、ロバート商会を頼った方が、イイ気がする」



 取り敢えず今日は、フリーマーケットは断念。

 他にやれることをやる。

 カナエマンネンに関する情報収集だ。



 カツミは、

「あの、済みません……」

 ギルドに出入りする人に声をかけまくり、カナエマンネンについての情報を何でもイイから収集しようとした。


 しかし、誰もが口を揃えて、

「名前だけは聞いたことがあるけど……」

 と受付の人と同じ返答をしてくるだけだった。

 結局、収穫なしだ。

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