04・初めての依頼
ミンガルさんが言っていた依頼主の下にたどり着いた。特に迷う必要もなく簡単にたどり着いてしまったな。ヤクザから効率良く逃げる為に逃走経路を頭で覚えていた経験が生かされたのか?多分違うだろうな。
「こんにちはー。冒険者ギルドの依頼できましたー」
「あらら。それじゃ早速お願いするわ」
「任せてください」
出迎えてくれた女性(右手に怪我)に挨拶をして早速雑草抜きを行う。大分放置されていた様でちょっと生い茂っている。中には私の腰まで届きそうなものまであった。というかこれは魔法が使えるのではないか?そう思った私は早速魔法を使って見る。属性は風。かまいたちのように草を切るイメージを作り、魔力を……なんか腕から出すイメージでやってみると出た。切れ味は抜群でスパパ、と切れていった。とは言えこれでは根から切る事は出来ない。雑草は根からきちんと処分しないとすぐに生えてくる。という事は土魔法か。
私は地面に手を当てる。今度は土を使って地面に穴をあける。長方形の穴だが土だけをどかして根はそのままだ。100センチほどの長方形の穴をあけると雑草は重力に従い穴の下に落ちて行った。そして最後に火の魔法を発動する。炎の球を作り雑草に向けて放つ。弾は衝撃で割れるようにしたがその分着弾した周囲に炎をまき散らすようにした。穴を掘っている為家に燃え移る心配はない。雑草を燃やしたら水をかけるなり土をかぶせて消化をすれば問題ない。それにしても魔法は便利だな。簡単に使えるしイメージ通りのものが出来上がる。これは魔法の道は奥深いという事だな。もっといろいろ研究したい衝動に駆られるがメインの方を怠るつもりはない。
地球では麻薬を使えば犯罪だし使った方も廃人となる。私としては依存度と幸福感のみを与えられればそれでいい。副作用は完全に邪魔なのでそれを排除した魔薬を作りたかった。とは言え薬剤の知識はないし勉強しようにもヤクザに追いかけられるでやる暇がなかった。だから、あの老人には本当に感謝している。何の目的があるのかは分からないが老人の言う通り楽しまないとな。
そんな事を思っていると全ての雑草が燃え尽き灰にすらならずに消滅した。後は土をもとに戻して以来完了だ。僅か十分程で依頼を完了させたことは予想外だったようでとても感謝された。報酬はギルドに預けているそうでそれとは別に銅貨5枚いただいた。これで報酬は二倍になったという事だ。笑顔で見送る依頼主を背中に感じながらギルドに戻る。一時間もかからずに私は登録から始めての依頼までを完了した形になる。この異世界に来てからは……、二時間ほどか?順調に進んでいると言ってよかったがまだ目的は果たせていないし行う対象もいないから以来完了の報告をしたら酒屋で張り込みが必要だな。
「もう依頼を完了させたのですか!?」
「ああ、凄く感謝されたぞ」
依頼完了の報告をすれば案の定ミンガルさんは驚いていた。それもそうだろうが魔法を使って手早く行ったと伝えると納得してくれた。
「土の魔法適正があったのでもしやと思いましたが……。随分と魔法の使い方に手慣れていたのですね」
「まぁ、ボチボチな」
「分かりました。では報酬の銅貨五枚をお渡しします。本来の報酬は銅貨八枚だったのですがギルドの仲介料として三分の一をいただきます」
「成程、そう言うシステムなのか。こちらとしては問題ない。依頼の選別や斡旋だけでもありがたいからな」
最初に行って欲しい事を後から言ってくるミンガルさんだがやはり私を冒険者ギルドに引き留めておきたいのだろう。報告したステータスは一般人より高い程度だが私の雰囲気からただモノではないと感じ取った可能性がある。彼女の雰囲気が登録前からこちらを図る感じだったのだから。とは言えこちらとしては深い所まで干渉してこないのならとやかく言うつもりはない。老人より頂いた金はたくさんあるのだからな。
そんな訳で報酬を受け取った私は魔法を使い過ぎて疲れたと言って今日はこれ以上依頼を受ける事はせずに代わりに飲み屋の位置を聞く。
「飲み屋ですか? そうですね……。北門近くの大衆飲み屋は安くてそれなりに美味しいエールを扱っていますよ。それ以外だと懐が潤っている人が行くような高級店くらいしか……」
「いや、大衆飲み屋で問題ない。場所を教えてくれ」
ミンガルさんから詳しい位置を教わり早速向かう。さて、こちらも初めての経験だ。長く付き合うのではなく潰しても問題ないような女性にしないとな。まぁ、そんな女性がいるのか分からないがな。流石に店員に手を出すわけにはいかないだろうからな。都合のいい女性がいてくれる事を祈るとしよう。