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03・冒険者ギルドと言えば

 そもそもギルドとは中世から近世にかけて存在した職業ごとの組合の事だ。日本でいう座の様なものだ。あまり詳しい事は知らないし職人の集まりという感じだったはずだ。確か現代でも何処かで現存しているのだったか?

 そんな訳でテンプレ異世界では出てきて当然、無いと違和感すら感じるようになった冒険者ギルドという物は本来存在しないものだ。故に、私の目の前にその建物があるのは自然と興奮を覚えさせる。

 早速中に入ってみる。ふむ、中は大分広いな。受付が部屋の奥にある。四つ程あるところを見るにここは規模がデカい方なのだろう。私は誰もいない二つの受付のうち、年配とまではいかないが三十代後半くらいの女性の方に向かう。こういうのは若い方に行きがちだが初めての場所、しかも登録をする以上経験豊富と思われる方に向かうのは当然の事だろう。若い女性の方は登録後にお世話になるとしよう。


「いらっしゃいませ。始めてみる方ですが依頼ですか?」

「いや、冒険者登録をしたい。出来るか?」

「勿論です。ではこちらの書類を……あ、字の読み書きはできますか?」


 書類を渡してから気付いたようでそう尋ねてくる。書類を見るが……、ふむ。読めるな。書けるという自信はないが日本語のようにスラスラと読める。言語が通じているからもしかしたらと思ったが案の定だったか。


「生憎、文字は書けないが読めるぞ」

「それなら良かった。代筆は可能なので名前と年齢、自己申告で構いませんのでステータスを教えてください」

「自己申告で構わないのか?」

「はい。こちらにはステータスを確認できるスキル持ちも魔道具もないので自己申告でしか伺う事が出来ないないのです」

「それは……、大丈夫なのか?」

「確かに若い方にはステータスを盛って登録する方もいます。そう言う人は身の丈に合わない依頼を受けて早死にする事が多いですが……」

「成程な」


 要は自己責任という事なのだろう。テンプレ異世界らしく登録は簡単に行えるようだな。昇進も簡単かは分からないがな。

 そう言う訳で私はステータスを少し低く、特に魔力系は大幅に下げた数字を伝えた。ありのままの数値では高すぎるからな。一応持っていたステータス隠ぺいを使って申告した通りの数値にしておくか。これで覗かれても問題はないな。魔薬関連は完全に隠しておくか。


「……はい。これで登録は完了です。こちらは身分証にもなるカードです。なくさないように気を付けてください。後、冒険者ギルドで何をするのかご存知ですか?」

「魔物を狩るのか?」

「それも依頼とあれば行いますが一番の目的は人類圏の先、魔人達の領域の調査や開拓が主な仕事となります。とは言えこの人類圏の真ん中にあるようなこの街では依頼しかないですが」

「だが、魔人達のいる方に向かえばおのずとその役目をする必要があるという事だな?」

「その通りです。冒険者となるのは身分証がない者達には簡単に身分を証明できるものですがその分制約も発生します」

「簡単に登録できる分そう言った方面で辛い事もあるという事か」

「そうですね。国によっては戦争に駆り出されるときもあるので一長一短ではあります」

「そう言った事に出くわさないことを祈るさ」


 登録を終えて具体的なギルドの説明を受ける。因みにこの女性はミンガルというらしい。俺が行かなかった若い女性の方はスーシャという新人らしい。


「冒険者は1等級から10等級のランクに分けられています。等級が上がれば上がる程特典が付きますが実力と功績を残したうえで性格などが問題ない者のみがなれます。等級が低い方は危険がない分出来る事も限られています6等級までは依頼の完了数や実力を見て上がりますが五等級以後はそれらに加えて面接を行い人柄のチェックを行い問題ないと昇給できます。冒険者として問題のある行動や不祥事を起こせば降格処分や追放処分を行いますので気を付けてください」

「勿論だ。素行の良さには定評がある」

「ではまずは10等級からのスタートとなります。ギルドマスターや高い等級の冒険者の推薦があれば8等級からスタートできますがそうではなかったので10等級からとなります」

「構わん。早速何か依頼を見せてくれ」

「分かりました。取り敢えず、最初の以来という事でこれはいかがでしょうか?」


 そう言って見せてきたのは依頼主の家の庭掃除だ。依頼主は少し前に怪我をして庭の掃除が出来ずに雑草が生え放題との事。完全な雑用だが依頼料は銅貨5枚。手際よく行えば追加報酬もあるようだな。最初の依頼としては問題ないだろう。


「うむ。これを受けよう。場所は何処だ?」

「良かった。中には雑用を嫌がる人もいるので安心しました。場所については南側の壁に面する赤い屋根の方です。40代の女性の一人ぐらしの方です。それと依頼を受けたと分かるようにこの依頼書を持って行ってください」

「分かった。迷った時は人にでも聞くとしよう」


 私は依頼書を受け取ると冒険者ギルドを出る。こうして冒険者としての最初の道を一歩、歩みだすのだった。


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