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異世界けんご  作者: 佐藤 刀弥
2章 異世界
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5.けんごの覚悟

「おれが、この世界を終わらせる」

そう言うと同時に、けんごは叩きつけるようにグラスをカウンターに置く。中の水が撥ねて床にまで零れ落ちる。

その目は本気だった。

「こんな甘えた夢は、クソったれな幻想は、全部おれが終わらせてやる」

けんごの手の中で、グラスが音をたてて割れる。水がさらに零れ、床を濡らす。

「どう、やって」

ようやく絞り出した声は、ひどく掠れていた。

もう一度自分のグラスに目を落とす。そういえばこの水は一口も飲んでいなかった。

しばらくの間、けんごは何も言わなかった。聞こえていなかったのかと不安になってきた頃、けんごは静かに口を開いた。

「……お前の力が、必要なんだ」

低い声でけんごが言う。

「え?」

「お前を、トウヤを向こうの世界から呼び寄せたのは、おれだ」

その言葉がなにを意味するのかを理解するのに、多少の時間がかかった。

「けんごが、ぼくを…?」

「ああ。この世界を終わらせるため、いや、世界の構造を変えるためには、お前の……人間の心臓が必要なんだ」

けんごとの初めての邂逅を思い出す。

「だから、ぼくを殺そうと……」

「そうだ。だが、もうそれは叶わない」

この世界では人は死なないと言った。つまり、ここにいる限りぼくは、死なない。

「それじゃあ……」

「今言った通りだ。お前の力を借りたい。人間としての、力を」

ぼくを真っ直ぐに見てくるけんご。その瞳は今までのけんごとはまるで別人のように真剣で、強い意志を宿していた。

「ぼくの、人間としての、力……」

自分の右の手のひらを見つめる。

思い出されるのは、けんごと拳を交えたときに発した謎の光。あれは、もしかして……

ドンッ!

「!?」

その時、大きな音とともに店の中に光が差した。

振り返ればそこには、開かれた扉と一つの人影。逆光で顔は見えないが、それが誰なのか、ぼくにはわかる。


「アーナ、さん……」


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