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 その瓦礫の山は俺の背まで高く積もっていた。細かいものが積み重なってできたものではない。かなり大きめの瓦礫が周りに広がり、山を作っている。俺はもちろん、ひよこにも双子にもどかせやしないだろう。


 ぜぇぜぇと息が切れているのを落ち着かせる。ここですべきことはなにか、それは決まっている。現状の確認だ。息を落ち着かせ、2度深呼吸をすればだいぶ落ち着きを取り戻せた。


「地下への階段はここだけか?」


「…もう1つ、ある」


 答えた紫髪に赤髪もこくりと頷いてその話を続ける。


「…ここから逆方向だけど、もう1つ地下へ続く階段が…。だけど、こっちの方が食堂からは近いからみんなここから地下に逃げ込んだはず」


 そうなれば、ここが崩れたのはわざとこのあたりを壊して誰かが入ってこれないように?と考えてその考えをすぐに打ち消した。入ってこれないようにするにも俺はまだしも双子とひよこの避難がまだだ。集団で長いこと生活してたのなら誰かを差し置いて自分が助かるなんて思想には中々ならない。…というより、ここの奴らはそういうことをしないだろうと俺の中では思っている。まず、ない。

 なら何故か?振動で崩れた?いや、振動なんて微々たるものだった。振動が伝わるくらいには強いものだったがどれだけこの建物が老朽化してたとはいえ崩れるほどじゃない。それも山になるほど。それなら…。


「そりゃ、崩れた原因は1つだよなぁ」


「ピ」


 俺の肩の上で同意をするように大きく頷いたひよこは俺に目配せをすると呆れたようにやれやれと両翼を左右に上げる。「お手上げだ」と言いたげな様子にハハッと乾いた笑い声が出た。本当に、笑ってしまうほど面倒な事態になってしまったのだ。

 俺の声に双子はいち早く反応を見せた。すぐにムッとした顔をすると「説明…して」と紫髪が俺のコートを引っ張る。赤髪も「はやく」と急かすと服の袖を引っ張る。


「あ、いや…」


 大したことじゃない、と言おうとして口を噤む。本当であれば他の奴に協力を仰ごうと思っていた。だが、見事に今は分断されて今俺の傍にいられるのは双子とひよこだけだ。ひよこは俺の傍を離れられない。何かがあった時に俺がいないと全てが水の泡になってしまう。で、あれば自由に動けるのは双子だけになる。


 …選択肢がない。



「とりあえず逆方向の階段へ行こう。地下に行く最中に説明はする。なるべく急ぐぞ」


 走れるか?と聞いた俺に双子は顔を見合わせ、頷き合うと瞬間ポンッと軽い音と共に白い煙があがる。…つい最近これをどこかで見たことがある気がする。いつだったか、つい数日前のような…。


 煙が晴れると、キュキュっと高い音と共に俺の肩に何かが上ってくる。それを思わず見てしまった俺は「あ、なるほど」と納得した声を出した。俺の肩にいたのは2匹のリスで、あの白い煙とファンシーな音もつい最近聞いた音だ。あれは、リアンが人間に化けるときに聞いたものと同じだった。つまりは、だ。この2匹のリスが双子だということで間違いはないだろう。そりゃあ、俺と並走するよりもこうなって俺に運んでもらったほうが早いわな…。

 問題があるとすればリスは本来なら冬に冬眠をする生き物で、寒いこの環境だと確実に寒さで弱ってしまうことだろうか。この状況で弱って恰好の餌食になられても困る。


「…寒いからここ入れ、その姿じゃ寒さに強いわけでもないだろ」


 閉め切ったコートの中にリスを2匹入れれば、2匹して後ろ足でコートに爪を引っかけ上手い具合に落ちないように顔を出した状態で留まった。前足は襟に爪を引っかけてこんな状態じゃなきゃ写真の1枚でも取ってやりたい構図ができあがった。理解が早くて大助かりだが、ひよこにリス…小動物のふれあい広場にでも来た気分だ。小さいころに遠足か何かで動物園に行った時にウサギを抱いたりしたっけか。

 


深く思い出に浸る時間もない。すぐに思考を元に戻すと、何度か小さくその場でジャンプをして双子のリスがずり落ちないことを確かめた。


「そんじゃ、道案内は頼んだからな」


頭の上にいるひよこに伝えればひよこは「ピ!」と声を出す。その心強い声に押されるように元来た道へ足を踏み出した。



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