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「さて、召喚士様。今から行く別種族の召喚獣の村は、少々やっかいですが力になってくれれば恐らくとても心強いものになるでしょう。もしかしたら魔王城に行く必要もなくなるかもしれません」


 よいしょ、という掛け声でリュックサックを背負おうとしているリアンの手からリュックをひょいと持ち上げると自分で背負う。ポカンとしているリアンを横目にさっさと歩いていくとその場からリアンが動かない。何してんだあいつ?


「おい、行くんだろ?」


「え、いや…荷物は私が!」


 律儀に片手を上げるリアンはパタパタと俺を追ってくると必死に自分を指で差す。多分、アピールなんだろうがとても可愛い。和むわぁ…。


「別に重くはないし、構わん。俺が疲れたら交代してくれ」


 にっこり笑えばリアンは「で、ですが主人である召喚士様に持たせるのは…」と言い出し、チラッと俺の手に巻かれたハンカチを見る。うーん、怪我は大したことないって言ったんだけどなぁ…と笑ってしまう。


 ハンカチに巻かれた手は、未だに血は出ない。痛みもない。ただ、深くまで切れただけだ。まぁ、いつ血が出てくるのかはわからないけれど。


「疲れたら言う。我慢もしない。これでいいだろ?俺が言ったら変わってくれ」


「…わかりました。けど、別種族の住処にたどり着いた後は私が絶対に持ちますからね」


 ぶすっとむくれたリアンはそう言うとてこてこと歩いていく。「おう、頼んだぞ」と笑いをこらえながら言えばリアンの獣耳がぴくぴくと動いた。



「なぁ、ややこしいことってなんだ?」


 見つかってはいけない、というリアンの意見で日が少しばかり差し込む森の中の獣道を歩いている道中、前にいるリアンに聞けば、リアンは少しだけ考える素振りを見せてから「そうですね」と呟くと理由はいくつかあります、と1つ1つ説明を始めた。


「まず、彼らはとても隠れ方が上手い。ですので大体の住処の場所がわかっても見つけられない可能性があります。次に、彼らは少々人間を嫌っている節があります。これは私たち召喚獣の間では当然のことなのですが、召喚士様が人間である以上…彼らを見つけることができたとしても話をしてもらえるかどうかが問題です。そして最後…」


「まだあるのか…」


 山積みな問題にげっそりした顔を見せれば、リアンは振り返り、「ある意味これが一番問題です」と話を続けた。


「もし、この2つをクリアし、うまいこと会えたとしてもその種族の長が会ってくれるかどうかが問題です。私たちが会うべきなのは長でありその他には用はありません」


 用はない?と首を傾げればリアンは頷く。


「長は、その種族のリーダーです。誰かが知ったことは全て長に連絡が行き、長がその連絡を判断し指示を出す。ですので、長がすべてを知って…」


 と、途中まで話したところでピタリとリアンが歩みを止める。それにならって俺も止まれば目の前には──、





 黒いコートのフードをすっぽり被った。いかにも怪しい奴らが3人、俺たちの前に立ちはだかっていた。


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