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「召喚士様!準備が…その包帯は?」


 戻ってきたリアンは、俺の手にグルグルと巻かれたハンカチを見て首を傾げる。手のひら全体を覆うようにぐるぐると巻かれたそれは、他から見てやはり目立つもので。俺は乾いた笑いを浮かべる他なかった。


「あー…ははっ、やっぱ目立つよなぁ。別に大した怪我じゃないから安心してくれ」


 笑う俺にリアンは心配そうな顔をしつつも、「そうですか…」と返すとさっきまで持っていなかった小ぶりなリュックサックを口に咥えているのをドサッと下した。え、なにこれ。ちょっと涎ついてる…。

 満足そうな顔をするリアンは、「これから旅をするのだから準備は必要ですので」と口と鼻先と前足を器用に使って開けて俺に見せてくる。無駄に器用だなぁ…。


 中には、数着の質素な服とカロリーメイトみたいな食べ物、それにいくらかのお金も入っている。いやいや、流石に準備が良すぎる。怖いよ、お前らこれどこで用意したんだ。引きつった笑いをする俺にリアンはウキウキとした顔を見せる。経験が長い俺にはわかる、狼やら犬やらがよくやる、褒めてほしい時の顔だ。


 やめろ、キラキラした目で見るな。お前もうちょい気高い感じが最初あっただろ。なんで犬キャラになってんだ。戻ってこい、もとのお前に戻ってくれ。



 そんな願いも叶わず、無情にもウキウキ顔のリアンはそのままだ。


「あぁぁ…なんだ、その、ありがとうな。準備してくれて」


「えぇ!荷物は私が持つのでご安心ください!では…」


 リアンの声が途切れた瞬間、ポンッ!と軽い音と共にリアンの周りが白い煙に包まれる。やがて、煙が晴れたその場所にリアンはいない。あの大きな巨体なのだから隠れられるはずがないとすぐにきょろきょろと辺りを見回したところで、服の裾を下から引っ張られる感覚に驚いた。そして、目線を下にして俺はもう一度驚くことになる。



「さて、行きましょうぞ召喚士様!」


 俺の裾を引っ張っていたのが、銀色に輝く髪をたなびかせ、頭に2つのピコピコと動く獣耳に茶色のワンピースを着た幼女で。なおかつその幼女が腰に手を当て、まるで『ててーん!』と効果音が付きそうな恰好で俺の目の前にいたからだ。


「いやいやいやいや、待て待て待て!!!!」


 即座に止めに入ればリアンと思われるその幼女は、こてんと首を傾げて「なにか問題でも?」と言うとその場でクルリと回る。いや、すごい可愛いよ?幼女と思えないほど美人だよ?10年後にぜひとも期待したいんだけどね?


「よく考えても見ろ!俺とお前が一緒に歩いてたら俺完全に不審者だから!変な目で見られるから!」


「そうでしょうか?」


「そうです!」


 力説すれば、リアンは残念そうな顔をすると「ふむ、ではこうしましょう」と言うと再度ポンッ!と軽い音と共に白い煙がリアンを包む。それが晴れると───、





 現れたのは完全なる美少女だった。


 髪の色や獣耳はそのままだが、身長は俺の頭1つ分下でワンピースも驚くほど似合っている。幼女というよりは可憐な少女だ。


「これで問題はないでしょうか?」


「………はい」




 さっきの俺の発言をうまい具合に直されてしまったら、もう俺に言えることは何もなかった。


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