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「は?ショクチュウショクブツ…?なんだそれ?」


 本気でわからない、といったように首を傾げる勇者に思わず「ガッデム!」と叫びたくなったがここは気合いで持ちこたえる。ここに食虫植物というのはいないらしい。マジかよ、もうちょい植物は気合い入れて進化しろよ。さぼってんじゃねぇぞ。お前ら植物は滅んでもいいのか、気合いを見せろ、根性で進化しろ。


「あの、その食虫植物とはいったい…」


 リアンまで興味を示したらしく、俺に聞いてくるがもう勘弁してくれ。そもそも勇者は俺らを倒そうと思ってこっち来たんだよな?なんで目的見失ってんの?君のお仲間すぐ隣にいるよ?おーい勇者、隣隣。


 仕方なく、食虫植物という、こいつらにとっては未知の植物について説明をし始めた。こんなことになるんだったら迂闊な発言なするんじゃなかったな、全く。

 なんとなくわかっていることだけを説明すれば、リアンも勇者も興味深そうに頷いて、時折「なるほど…」と声を出しているけど俺の居たたまれなさどうしてくれんの?


「ところで、そんな知識を持っているお前は何者なんだ?モンスターの味方をしていてさっきからとても謎なんだが…」


 目線をちょくちょくリアンに向ける勇者にリアンは冗談めかして「がおー」と棒読みもいいところのような声で言えば、一瞬で勇者と俺たちの距離が遠くなった。怖がり過ぎだろ。

 当然、50mも離れられたら普通の声じゃ届かない。なんだこれいやがらせか。


「~!!!~~~~!~~~~!」


 勇者よ、何かを言ってるのはわかるが一切わからんぞ。ひとまずはスゥ、と大きく息を吸い込んで「じょ~だ~んだぞ~」と口の周りに手を置き、まるで山に向かって叫んでいるように言えば勇者はゆっくりゆっくりと、3分ほどかけて戻ってくると


「心臓に悪いわボケ!!!冗談でもやめろ!」


 真っ赤な顔で怒り散らしていますが、みなさん、おわかりでしょうか?これがキャラ崩壊です。と、どこにいるのかもわからない誰かに紹介したところで話は本題へ、


「俺は、お前らの言うモンスターを使役する人間だ。ただの人間だから魔法にあたれば死ぬし刺されても死ぬぞ。ちょっと気になることがあってここへ来たんだ」


「気になること?」


 と、怪訝そうな顔をする勇者に「今度は俺の番」と返す。勇者は何かを言おうとしたけれどその口を閉ざして少し考え始める。やがて、わかった。と返事をするとドサリとその場に腰を下ろした。


「気になることっていうのは変化よ。こいつらがなにをしたのか教えてほしい」


 こいつ、と指したリアンを見て勇者はそんなことか、と言うとちょっと長くなるからお前も座っとけ、と地面を指す。それに素直に従って座れば勇者は「俺が言うのは、俺が学校の教科書で習ったことだ」と前置きすると色々話し始めた。


 曰く、召喚獣は人を襲うこと

 曰く、そのため召喚獣の討伐に勇者と名乗る旅人が出始めそいつらを中心に召喚獣の討伐が順調に行われていること

 曰く、召喚獣を狩りはじめ、怒りを買ったからか作物は枯れ、土地はやせ細り、子供が生まれなくなったこと


 これは…予想以上だった、と絶句した。召喚獣は自然を支える種族だ。その召喚獣を殺せば自然がサヨナラするのは仕方のないことだが、子供が生まれないなんて事実はないはずだ。どこかに裏がある。何かが作用している、と確信が持てた。それだけで今回は収穫がいいと言えるだろう。


「ありがとう、俺らはもう行くがお前も来るか?」


「いや…お前こそ俺と来ないか?」


 勇者がそう笑って、手を伸ばした瞬間、バチン!と凄まじい音がして勇者が吹っ飛ぶ。その瞬間リアンの身体がぐらりと傾いた。息が上がり、勇者を睨みつける。うーん、これを見るに言霊か幻術のどっちかかなぁ、体の自由を奪うだけの効果しかないだろうけど。


「おのれ…幻術を…召喚士様、ご無事ですか?」


 あ、やっぱ幻術だったのか。


「平気だよ。勇者も放っておいて大丈夫だ。大方、お前らをよく知ってる俺を人質にでもするつもりだったんだろう。そのうち起きる」


 ぶっ倒れている勇者を確認した後、「行くぞ」とリアンに声をかければ「始末しなくていいのですか?」と倒れている勇者からは目をそらさずに聞いてくるので、答えてやるのだ。




「平気だよ。あいつらは何人もいるところを見たところ代用の効く奴らだ。召喚獣を捕まえるまでは帰れないだろうさ」


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