終わりの始まり
昔むかし。
森の奥深くに一匹の狼が暮らしていました。
ある日。
狼の所へ赤いずきんの女の子がやってきました。
女の子は狼とお友達になりたいと言って、それから毎日狼を訪ねて森の奥までやって来ました。
しかし、ある時から女の子は狼の所へ来なくなりました。
狼はとても心配して、女の子に会いに町まで出掛けていきました。
町に着いた狼は、町の人達に見つかって、石を投げられたり、猟銃で撃たれそうになりました。
それでも、狼は追いかけてくる町の人達から逃げて、女の子を捜しました。
そして物陰に隠れて、追いかけてくる町の人達をやり過ごしていると、背後から捜していた女の子の声が聞こえました。
狼が振り返ると、なんと女の子は狼に猟銃を向けているではありませんか。
大粒の涙をこぼしながら、女の子は狼に向かって引き金を引きました。
銃声で集まって来た町の人達が見たものは、狼の返り血で全身真っ赤に染まった赤いずきんの女の子でした。
町の人達は、赤いずきんの女の子を、狼から町を救った英雄として敬いました。
赤いずきんの女の子は、それからも悪い狼をたくさん退治してくれましたが、ある日森に向かったきり、姿が見えなくなってしまいました。
町の人達は『神隠しにあったのだ』とか『狼に返り討ちにされて食べられたのだ』とか、色々と噂をしていましたが、誰にも真相はわかりませんでした。
それからしばらくして、森の外れでボロボロになった赤いずきんが見つかりましたが、女の子の行方はわからないままです。
その後、女の子の姿を見た者は誰もいませんでした。
おしまい
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