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オカルト探偵・須世理琴音の不可思議事件覚帖  作者: 硯見詩紀
第一章 Qが意味するクエスチョン
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第7話

 風呂を上がり、リビングへ向かった。


 そこには結祈と須世理が二人仲良くテレビを見ていた。俺は、その二人を傍目にダイニングキッチンの方へ向かい、冷蔵庫から麦茶を取り出し、それをコップに注ぎ、飲む。俺が、キッチンで麦茶を飲みながらテレビを見ていると、ソファーに座っていた須世理が怖いくらいに黒い瞳でこちらを睨むように見る。つーか、睨む。……先ほどのことをまだ怒っているらしい。


 ――と、いきなり須世理は立ち上がり、俺のいるキッチンの方へ歩き出す。おいおいおい! なんだよ? 殴るのか? 殴るつもりで、こちらに来るのか!? 勘弁してくれ!


「杵築くん」


 と、お馴染みの凛然とした声――今に限ってはその凛然さに少しばかりの怒気を感じられるが――で、俺を呼ぶ。


「な、なんだ?」


 慄きながら、俺は一歩ほど後退りをした。


「ちょっと来て、話があるの」


 ……ああ、殴られるな。


 須世理は、俺の手を引いて、俺をリビングから連れ出した。


 そして、廊下で。


「今日の夜、ちょっと付き合ってほしいの」


「は?」


 あまりにも唐突なので、俺はぽかんとした。


「どういうこと、だ?」


 首を傾げて、俺は訊く。すると、須世理は口角を少し上げて、笑った。そして、言うのだった。


「ポルターガイストの原因を解き明かしてあげるわ」


 どうやら、何か分かったらしい。


「ああ、あとそれと――」


 殴られずに済んだ。ほっと胸を撫で下ろしていると、須世理が思い出したように言う。


「――天誅!」


 不意に。須世理がアッパーカットを放つ。避ける暇はなかった。そのアッパーは俺の腹に突き刺さる。俺は、「ぐぅうっ!」と呻きながらその場に蹲る。


「文句はなしよ、杵築くん」


 上から清々しい声が降る。


「お風呂場を覗いた罰なんだから」


 ……ああ、やっぱり俺は殴られた。


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