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オカルト探偵・須世理琴音の不可思議事件覚帖  作者: 硯見詩紀
第一章 Qが意味するクエスチョン
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第2話

 俺こと杵築(きづき)出雲(いずも)は、自分で言うのもなんだけど普通の人間だ。普通の人間だからこそ、魔法とか魔術とか神通力とか超能力とか、神とか天使とか悪魔とか幽霊とか妖怪とか鬼とかの存在を認めていない。そんなものは、エンターテインメントとして楽しむ程度である。


 オカルトを信じないそんな俺だけど、最近妹の結祈の部屋で不可思議な現象が起こっているのだ。それは一言で言えばポルターガイスト現象と言うべきなんだが、どうにも信じられないものである。でも、誰の手も使われずに部屋の中が荒らされるなんて自然現象を俺は知らないし、それを科学的に証明できるほど頭がいいわけではない。


 さて、どうしたものか。


 結祈は、中学校で卓球部に所属していて二年生ながらにレギュラーらしいのだが、最近はその件のポルターガイスト現象の所為で寝不足になり、ろくな練習ができていないと言う。当然、勉強にも身が入らないとのことだった。


 妹が困っているのであれば、兄である俺も困るというもの。妹の疲れた顔を見るのは、さすがにこっちも辛い。どうにかしてやりたい。してやりたいのだが、前述した通り、俺はこの不可思議事件を解決できるほど頭がよくないのだ。


 そんな折、友人からあることを聞いた。


「なぁ、オカルトってあると思う?」


 俺は、友人の国狭槌(くにさつち)穂高(ほたか)にそう問うた。遠回しに相談をしてみようと思ったのだ。


「オカルト? さあな。まあでも、あったらいいよな。ロマンを感じる。で、どうかしたの?」


「いや、もし身の回りで不可思議な現象が起こったらどうしたらいいんだろ、って思ってな」


「そんなの霊媒師か何かに頼めばいいだろ。……あ、そういや周りにもそんなよく分からんことしてる奴いるなぁ」


「え?」


 そんなのいたか? 俺たちの周りに霊媒師が?


「あれ? お前知らないの? ならよ、学校の掲示板、見てくればいいじゃん。ポスターあるぜ」


 穂高にそう言われ、俺は彼と共に学校掲示板へと向かった。掲示板には『いじめダメぜったい』や『ドッラグ危険』の啓発ポスター、学校からの連絡事項、部活動の部員募集のポスターが貼られていた。そんな中、


「ほら、これだ」


 そう言って穂高が指さしたのはこれまたポスターだった。手作り感はない。業者に委託か何かして作らせたポスターだろうか。そのポスターには、こんなことが書かれていた。


『お悩み解決します! 不可思議な現象でお悩みの方は遠慮なくお越しください』


 そして、そのポスターの隅の方を見遣ると、そこには『須世理探偵事務所』と書かれていた。この〝須世理〟っていうのは普通に〝すせり〟と読んでいいのだろうか。にしても、探偵だって? 霊媒師じゃなかった。


「探偵……?」


 最近の探偵は、オカルトにも手を出しているのだろうか。まあ、今の探偵も昔の探偵も俺は知らないんだけど。


「そうだ。ここは、そういうオカルトチックな事例だけを専門にする探偵事務所なんだとよ。聞く話じゃ、なかなかの結果をもたらしてくれるらしい。救われた人は数知れずだ」


 ……オカルト専門の探偵。需要あるんだな。


「まあ、あれだ。金を取らないらしいからな。困ったことがあれば相談くらいしてみればいいんじゃないか? って、別に今お前がそういうので困ってるわけじゃなかったな」


 穂高は、あははと笑った。実のところ、そういうので困っているんだよ。穂高くん。


 まあ、金を取らないと言うのなら、ダメ元で相談してみるというのもアリかもしれない。えーっと……場所は、駅前のビルか。


 俺は、放課後、その『須世理探偵事務所』とやらに早速赴くことにした。


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