第7話
『はいはーい。あたしだよーん』
というわけで、翌日の放課後。四回目の天の声との邂逅である。
『そろそろ、あたしの正体が分かっちゃった頃合いなのかなー?』
「いや、全然分からん」
『あれ? ホームズに相談してないんだ。……まあいいか。それでは、早速問題ですっ!?』
天の声は、陽気に続ける。
『じゃじゃん! 重力加速度の単位は何と言うでしょう?』
……物理を含め、理系科目は苦手である。俺はどっちかと言うと文系だ。文系のクセにカワセミの問題ができなかったのは……まあ、仕方がない。文系でも、読めない漢字や書けない漢字はあるのです。それはともかく、今はこの問題に集中だ。
『それでは、毎度お馴染み制限時間は一五秒。スタート!』
――とはいえ、理系がダメな俺だけど、重力加速度の単位なら高一のときの理科総合で習ったぞ。そして、俺はそれを憶えている! くぁっはは。簡単、簡単。
「答えは――gだ!」
俺は天空に答えを言い放つ。
『それは、ラージ? それとも、スモール?』
天の声がそう言った。大文字なのか、小文字なのか、どうなのかってことらしい。
「小文字の方だな」
俺はそう言った。
一瞬、静寂が漂う。そして、
『――正解です! さすが、ワトソン君。って、まあこのくらいはできて当然か。高校一年生で習うことだもんね。それじゃあ、ばいばーい』
異常は通常へと戻った。
それにしても分からん。どういう意図があって、俺にこんな嫌がらせめいたことをするのだろう。




