表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オカルト探偵・須世理琴音の不可思議事件覚帖  作者: 硯見詩紀
第二章 翡翠の姫、襲来
21/42

第6話

「あら? ちゃんとここへ来たってことは、クイズに正解したってことなのね?」


 事務所の扉を開けると、目の前に木目調の大層な机と背もたれ肘掛け付きの椅子がある。そんな場所を陣取っているのは、ここ須世理探偵事務所の所長であり探偵でもある須世理琴音だ。彼女は、ブラックコーヒーを啜りながら、俺を確認して開口一番にそう言った。


「正解しちゃあ、悪いか?」


「いえ。正解したってことは、簡単な問題だったんでしょう。で、どんなのだった?」


 須世理はコーヒーカップを机に置き、俺を見る。俺は、今日のクイズを話す。


「今日はあれだ。三位一体の父と子と聖霊の、子の英訳は何か? ってやつだ」


「《the_Son》」


 須世理は考える素振りも見せず、そう答えた。


「その通りだ」


 さすがは、魔術師で探偵だ。そんなものは基本中の基本ってか?


 須世理が、紙に何やら書き始める。そして、書いたものを俺に見せた。


「一応、リスト化してみたわ」


 A4用紙には、こう書かれていた。


 第一問の答え――恋。

 第二問の答え――翡翠(ヒスイ)

 第三問の答え――《the_Son》。


「……で、これで何が分かる?」


「さあ、まだ分からないわね。この順に意味があるのかもしれない。もしかしたら、意味があるのは答えの部分だけかもしれない」


「そうか」


 相槌を打って、俺は給湯室の方へ向かおうとした。自分のコーヒーを淹れるためだ。


「杵築くん」


 そこで、須世理が呼び止める。


「おかわり」


 そう言って、須世理は空になった自身のカップを俺に差し出す。


「自分で淹れろよ」


「あなたは、今からコーヒーを淹れるつもりだったんでしょう? なら、ついでに」


「はあ」


 俺は嘆息して、


「はいはい」


 と言って、須世理のコーヒーも淹れてやることにした。すっかり、奴隷助手が型に嵌まっている俺であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ