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オカルト探偵・須世理琴音の不可思議事件覚帖  作者: 硯見詩紀
第一章 Qが意味するクエスチョン
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第1話

 ある日の夜。


 中学二年生の妹・結祈(ゆき)が、俺の眠っているベッドに入り込んできた。夜這いかっ!? と邪な思考を一瞬だけ巡らせたが、どうやら違ったらしい。ちぃっ、と舌打ちしたい気持ちを抑えて、俺は傍らでわなわなしている妹に事情を訊いた。


「どうした?」


 すると、結祈は唇を震わせながら、言う。


「お、お化け……お化けが出たの……っ」


「は?」


 意味が分からない。そんなもの、いるわけがないのだから。


「なんだ? 変な夢でも見たのか?」


「ち、違う!? ほんとにほんと! お化けが出たのっ!?」


 ちょっと来て!? と、結祈は言って、俺の腕を引っ張り、俺を部屋から連れ出す。連れて行かれた場所は、結祈の部屋だった。百聞は一見にしかず、と判断したのだろう。そういえば、こいつの部屋は久しぶりだ。


 久しぶりに入る部屋だけあって、少し新鮮味を感じた。いや、この新鮮味は久しぶりだからという理由が原因ではないだろう。だって……、


「な……ぁ……っ」


 結祈の部屋はまるっきり見たことのない部屋に変わり果てていたのだから。


 本棚やら箪笥の中身が床一面に散らかっているのだ。子供部屋と言うのは基本的に散らかっているものだが、ここまで散らかっているのは我が家ではまず有り得ない。なのに、散らかっている。服やら本やらが散らかり放題で、その中には下着やらも見受けられて正直目の遣り場に困った。


「お前が、やったのか……?」


 とりあえず、そう訊かざるを得なかった。俺はお化けとか信じない人だから、お化けの所為でなんて理由は受け付けない。なのに、


「違う! ごそごそって音がして、目を覚ましたらこうなってたのっ!? あたしがやったんじゃない!?」


 そんなことを言われても……じゃあ、誰がやったんだ? まさか、この家に誰か侵入したんじゃあるまいか? そう思い、部屋の窓に目を遣るが窓は開いていない。そもそも二階の窓から侵入できるはずがない。だって、足場がないのだから。じゃあ、玄関から誰か入ってきたのか?


 俺は一階に下りて、玄関の戸締りを確かめてみた。だが、玄関の鍵はちゃんと掛かったままだ。念のため、家中を見回ってみたが、不審者はどこにもいなかった。


「だから、お化けだって言ってるんじゃん!」


 結祈はそう主張する。俺は改めて、結祈の部屋を見てみた。


 乱雑に散らかった本やら衣類。姿見や壁には、マジックペンで汚らしく文字ないしマークみたいなものが書かれていた。一人の人間が短時間でこんなに散らかすのは少し難しいかもしれない。


 もし、これをオカルトチックに表現するならばこうだ。


 結祈の部屋は、まるでポルターガイスト現象が起こったかのように荒れ果てていた。


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