プロローグ
城塞都市ノースホルン。
物々しい鉄の壁に囲まれたこの国は、外見からは想像が出来ない程賑わっており、国を横断するかのようにある中央通りには、日中問わず人の足が耐えない。それらの大半が、この国に一攫千金の夢を求めてやってきた冒険者達である事は、この国に住んでいる住人ならば誰しもが知っている事であった。
彼らの目的は大きく分けて二つ。上を目指すか下を目指すか。
街の中心には、賢王として名高いグランドール王の城が聳え立ち、そのすぐ両隣には天上界へと続くシャンシャーニの塔と、そして地底界へと続くミラノ遺跡がある。ここには、天上人と地底人が残した珍しい魔宝具が多数眠っており、今や世界中に散らばった珍しい魔宝具の数々は、ここノースホルンが出所と言われている。
魔宝具を求め、この国に訪れた冒険者達は、世界中の武器や防具、道具だけでは無く、知識や言語、農作物の種など様々な物をこの国にもたらした。その恩恵を受けたこの国は、大きな産業発展を遂げ、今やその名を世界で知らぬ者はいない程となったのだ。
誰しもが憧れ、誰しもが目指し、世界の全てが集まる国、ノースホルン。
これは、そんな国で暮らす人々の物語である。