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「あ、確かこの辺りだよ。」
「あぁ・・・わかった。」
色々と考えているうち、いつのまにか目的地に着いたようだ。
暗い森の中を暫くきょろきょろと辺りを見回していたら人、の声らしきものが聞こえてきた。
・・・・・なんか近づいてきてない?
「ねぇ・・・」
「ん?なに?」
「なんか物凄く聞き覚えのある声・・・おや?」
とりあえず避けた。
「酷い!」
「飛び掛ってくるキミが悪いよ・・・」
普通に抱きつかれるのだったら避けないのだけど、今の抱きつくような勢いじゃなかったら・・・
「えっと、如月さん・・・?」
「はい!」
ポニーテールを揺らしながら叫んでいる彼女は確か『如月夕菜』。
出会い頭に抱擁つきの挨拶をかわすほど仲がよかったわけはないんだけどね?
「ところで、大丈夫?ケガとかしていないかい?」
しゃがみこんでいる彼女に目線を合わせて問いかける。
「そんなところが大好きです先輩!!」
どんなところ!?
とつっこむ余裕もないほどの激しい抱きつきようだった。いや、嫌なわけではないのだけどね・・・とりあえず苦しいので話して欲しいかな!
「愛の告白はもういいからとりあえず離れない?」
べりっと彼女が離れたと思ったら、魔王が彼女をはがしたようだった。
なんだろう・・・背景の黒さが三割り増しな気がする。