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 いやもう嫌な予感ならひしひしと感じてはいるがね。


 「ぼ・く」


 ご丁寧にも区切る必要のない短い一人称を区切ってゆっくり言い聞かせるように言ってくださいましたよ、それはもうムカツクほどに!

 しかもハートマークが語尾につきそうだよ?気持ち悪いな。

 この美形相手に本気でそう思ってしまう自分は大丈夫だろうか、どうしよう。

 現実逃避はここまでにしようか!現実を見てみよう、ワタシの格好はこのあらゆる意味で危険人物の前でしていいような格好ではない。

 うん、タオル一枚は自分でもどうかと思うよ!!

 「夕鶴嬢に化けていたのだね、うんわかったよ。だからさっさと出て行ってくれないかな!?」

 「ヤダ。」

 『ヤダ』ってなんだ『ヤダ』って!可愛く言っても無駄だからな!!

 そしてなによりこの状況は非常に危ない、経験上。

 経験といっても数度しかないが、そのたった何回かでここまで危機感感じられるってある意味凄いと思うよ。うん、キミって凄いよさすが魔王。

 そこ感心している場合じゃないね!

 先ほど肩に手が置かれていたが、今ちゃっかりワタシは抱き込まれている。

 魔王の格好はいつもの白いワイシャツに黒いズボンじゃなくて、薄くて限りなく白に近い淡い紺色の着流しのようなものを着ている。

 背中にもろ肌の感触が伝わって、何か恥ずかしいのだけど!!?

 そんな無言のワタシを見て魔王はクスリと小さく笑った。

 「顔、真っ赤・・・まだナニもしてないのに、ね?」

 ツ・・・と首の線をなぞりながら、無駄に甘ったるい声を耳元で囁くな!ベタベタ触るな心臓が持たないだろう!!

 し か も まだってなんだまだって!!ナニかする気なのかい!?

 「魔王っとりあえず、んっ・・・!」

 しまった、振り返らなければよかったのに。なんて後悔先に立たずだけど。

 振り返ったら口付けられて、気がつけば後頭部には手が回されていて避けようがなかった。

 無遠慮に侵入してきた舌から逃げるもすぐに絡められて、無駄な抵抗。

 もともとこの魔王に逆らおうとすること自体が無駄な抵抗なのだろうけれど。

 長い長いキス、甘く溶けてしまいそうなソレに頭が鈍くなる。

 ようやく離れたとき、抵抗の一つや二つもしなかったワタシは頭がおかしかったに違いない。

 魔王は何がおかしいのかクスクスと笑っている。

 その瞳は妙に熱っぽくて、視線を合わせていられない。

 「ダーメ。目、逸らさないで?」

 クイッと顎を掬われ固定される・・・どこのタラシだテメェはよ。

 「は な せ。」

 「これでも結構ガマンしてるんだよ?あ、でもこのままじゃ危ないかもねぇ。」

 ナ ニ が ?

 とりあえず聞かないでおこうじゃないか、うん。これが一番懸命な判断だと思うよ。

 というか、そんな目でみられると勘違いしそうで嫌だ。凄く、嫌だ。

 そもそも勘違いしそうだとか考えている時点でもうはまってしまっている。つかまってしまっている、彼に。

 けれどワタシはその事実に気づけるほど敏感ではない。

 「キミさ、こういうことは好きな人とやるべきだよ。勘違いされて、本気な人に気づいてもらえなくなるよ?」

 説教たれる気なんて更々ないが、一応警告程度はしておこう。

 「ふぅん・・・?」

 「ちょっ・・・!魔王、なにっ」

 言った傍からナニしているのかなキミは!!

 魔王の右腕がわきの下からまわされて、左胸を包むように置かれたと思ったらゆっくりと揉みしだきはじめた。

 もう片方の腕は腰に巻きついている。

 「勘違い、ねぇ・・・」

 熱い吐息が首筋にかかって非常にいたたまれない。

 っていうかキミワタシの話聞いてないよね!?大声出したいけど出したら魔王いることばれて絶対拘に何かいわれもない疑惑かけられる!!

 なんて考えていたら首筋を舐められた。

 「ひっ」

 ちょっ、急になにすんの変な声が出てしまったじゃないか!

 「可愛いね、シャノン。」

 「だからっ・・・」

 話を聞いとけ!


 「可愛いのはいいけどね、鈍すぎるとこっちはいい加減苛々してくるんだよ。」




リオ君暴走中。


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