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「嗄音殿は随分と寝相が良いようですね、誠に残念です。」
おい、何故だか本当に残念そうに見えるのだが?気のせいだといいな!?
「先程まで何方とお話しておられたのです?」
「は?」
その問いに、ワタシは固まった。
何故わかった?というか、もしかして盗み聞きとかしてないよね!?
「いるはずの無い下賎な魔のニオイ、それも高位の・・・・」
あいつ!来るなら来るで痕跡とか消していけよ!被害くらうのはワタシなのだよ!?
ホラホラホラ、拘が悪い笑みを浮かべているよ?確実に何かたくらんでいらっしゃるよ?ってかもう殺されそう!!
そろりと目を逸らすと顎をつかまれ無理矢理視線をあわせられた。
いつのまにこんな近くにきていたのか拘はもうすぐ目の前、唇がくっついてしまいそうだ。
「答えて、頂けますね?」
これはもう命令だ。
何故って、コイツはもう聞いているのではない・・・確信している。
だが正直に答えるのもどうかと思うから絶対に答えてやるものかと思ってしまう。
「さぁ、なんのことかな。気のせいじゃないか?」
別に死にたいわけではないけど、コイツか魔王なら魔王側に味方するかな。
・・・・・・・・・・・沈黙が痛いよ。
けれどワタシが浮かべている笑顔は引き攣ってはいない(と思いたい)。
しばらく見詰め合って(睨み合って!)いたが、先に口を開いた。
「まさか魔王に、恋情など抱いていませんよね?」
「微塵も。」
唐突な上に意味不明だし、即答した。
イヤ、意味はわかるよ?でもどこでそう思うのおかしいよね?レンジョウってアレだよね。
蓮杖じゃなくて連声じゃなくて恋情?ナイナイナイナイ。有り得ない。
「では何故、彼を庇うのです?」
ワタシはワタシしか庇わないよ、絶対。
むしろ魔王なら庇うことなく突き出す!え?非道?そんなことはないよ、それくらいしてもいい気がするよ?被害者だもんワタシ。
「ワタシは自分に利益のある発言しかしないのだよ?気づいていなかったのかな?」
ニコリと笑って答えてやると、拘は小さく微笑んだ。
「そうでしたか?そのわりにはボロが出ている気もいなめませんが?」
クッ・・・痛いところを。
確かにそうだが、十八の平凡な女子高生に完璧を求めないでくれ・・・アレ?ふと思ったけどワタシ平凡の枠外してる?
気を確かに持てワタシ、ここで認めてしまえば本当に外れてしまうぞ。
黙りこくってしまったワタシに何を思ったかはしらないが、むしろコイツの思考なんぞ理解したくもないが、拘が顎をつかんでいた手を離す。
と、ここで油断してしまったのがいけなかった。
「・・・!」
「隙だらけですね、嗄音殿?」
唇に残る僅かな熱は・・・・考えたくもない。
何か言ってやらないと気がすまないと口を開いたがもうすでに時遅く、拘は部屋を出て行った後だった。
アレ?シャノンちゃんが酷いぞ?本当はわりとお人よしなんですが・・・
というかシャノンちゃん、リオに関して結構酷い?
そのうち変わる!・・・・多分。