・
何か近所のお兄さんみたいだ、美形だけど常識人っぽい・・・地味に感動して彼に若干熱い視線を送っていたら、寒気がした。
「ヤミイロ?」
肩をつかまれ引き寄せられた。
何故かサァッと血の気が引く、何も悪いことはしていないのにも関わらず。
「な、何かな?」
恐る恐る、(振り向きたくは無いが!!)振り向く。
愛想笑いも引き攣るのは仕方が無いと思う!だって相手は魔王だもん!
「ソウが気に入った?」
ソウとは騎士団長のことだろう、彼を顎で指しながら言ったから。
微笑んでいらっしゃるけど目が笑っていませんよ?ワァコワーイ・・・
「兄があんな感じだったらなと思っただけだよ。」
『ふぅん・・・』と、自分から聞いたくせにそれだけしか返さなかった。
何なんだ、まったく。
「ココロが狭いねぇ、魔王は。」
突然目の前に現れた、白い髪にほぼ白の青い瞳の少年。
コロコロと笑って言うが相手が相手だ、考えろ。
そして離れろ鬱陶しい!
彼はワタシの脇の下から腕を巻きつけて抱きついている、ついでに上目遣いでこちらを見上げてきた。
ワタシの肩辺りまでしか身長のない彼、胸があたっているが相手は子どもだ気にするな。
「ね?そう思うでしょ?」
ここで頷くと魔王が怖くて仕方がないのですが?
「あ、俺はアヤナだよ。よろしくね?」
ワタシだけによろしくしなくてもいいんじゃないのか?
「フフッ、少年?離れてくれ。」
「ヤ、だってお姉さん柔らかくて気持ちいい。」
ピシッと、辺りが凍ったのはワタシの気のせい?気のせいだよね!
そしてセクハラ!?イヤ待て相手は子どもだ、セクハラには入らない!(はず)
そして上目遣いが最強に可愛いから許せる!!それもどうかと思うが無視する!
「離れてね?アヤナ。」
おおっ魔王!これは助けというべきかな!?キミ今半端なく怖いよ?主に瞳が怖いよ?!
「ヤッ・・・・」
いちいち可愛いなこのコ。
「魔王、別にいいだろう?子どもなのだし・・・・!」
・・・・・・言い返して本当すみませんでした!!謝るからそんな氷のように冷たい視線を向けないでくれ・・・!
冷や汗が止まらないワタシから魔王はアヤナを引き剥がして、ワタシを抱き寄せた。
え、ナニ?頭がついていかないよさっきから!
「嫉妬なんて大人気ないね、リオ様?」
「うるさいよ?大人だって嫉妬くらいするの、知らなかった?」
そんな二人の会話は幸か不幸ワタシには聞こえなかった。