キマグレ⑨!
とりあえず、謎が残るばかりだね。
勇者が帰ったあと何か魔王は機嫌悪いし、本人怒ってないとか言っていたけれどもあれは絶対怒っていた。
だって目が笑ってなかったしね、何か殺気っぽいの振りまいていたしね。
(・・・・・・あれは怖かった。)
忠告した魔王の無表情、その瞳には何も映っていないように感じたから。
最近魔王が解らない・・・・・イヤ別に解らなくてもいいと思うのだけどね?
何かワタシが魔王の事知りたいみたいじゃん!嫌だね別にそういうわけじゃないのだよ違う違うワタシは潔白だ。
うん、何コレ。
最近可笑しいぞワタシ、何百面相一人でやってんだろ・・・・
「どうしたの?ヤミイロ。」
「ひぁっ!っていきなり何するんだ!!」
いきなりにも程があるし耳元で喋るんじゃない!二重で吃驚してしまった。
振り返ると、魔王がクスクスと面白そうに笑っている。
「そんなに驚かなくてもいいでしょ。悲鳴可愛かったよ?」
褒めている?褒めているのか?嬉しくねぇ・・・!!
素が・・・じゃなくて言葉がつい乱暴になってしまったじゃないか。
「まぁいいけど・・・・何か用かい?」
いつまでも取り乱しているのも何か気に食わないし、何か顔会わせづらかったりそんなことはなかったりするだろうけど!
「ん?僕より君の方が用あるんじゃない?」
「・・・・・」
何だコイツは。
さっきから気に食わない事ばかりな気がする、気じゃなくて確かにそんなこと言っている。
天然か、確信犯か・・・この魔王の事だからきっと後者だろう。
いつもと変わらないあどけない笑顔を浮かべているが、それが若干黒くみえるのは気のせいではないだろうな。
「『異世界からの訪問者』聞きたいんでしょ?」
魔王が目を細める・・・つい動揺しそうになるが、なんとか踏みとどまる。
「どうして、そう思ったのかな?」
これは率直な疑問。
まさか心が読めたとかだったら恐ろしすぎる。
「だって、勇者の言葉にあからさまに動揺してたよ?ヤミイロ。それに君が興味を持ったから勇者を僕の所に案内しようとしたんじゃないの?それとも興味をもったのは彼自身?」