キマグレ⑤!
「暇だったし・・・それよりもさ、いいの?フードしてないけど。」
気が付かなかった・・・どうりで視界がハッキリしていたのか。
フードに手を伸ばしたが両手を捕まれ、そのまま押し倒された。
「離してくれないかな?魔王。」
そう言うと、魔王は至極楽しそうに笑った。
「ヤダ。名前、教えてくれたらいいよ?」
銀の髪がさらりと揺れた。
何故かといえば、魔王が顔を近づけてきたから・・・・
「へぇ・・・瞳まで黒いんだ?黒髪黒目なんて、随分と珍しいね。」
言いながら、じっとワタシの目を見てくる。
「はやく離れてくれないかな?」
ハッキリいってもの凄く恥ずかしいのだよ、特にキミのような美形だと更に心臓に悪い・・・・
「顔、赤いよ?かわいい。」
可愛くはないと思うけどな。
顔が赤いのはね?わかっているよ、わかっているから早く退いてくれ。
しかし、あることに気が付いた・・・彼が見ているのは“ワタシ”ではなく、ワタシの“珍しい黒い髪と目”なのだ。
それに気が付いたら、なんだか平気になった。
「ハァ・・・魔王、退け。」
あ、口調が命令口調になっちゃったじゃないか・・・まぁいいね、別に。
さっきまでの焦りや羞恥はどこかへ行ってしまったよ。
「つまらないね、ヤミイロ。」
・・・ハイ?ワタシがかい?
ワタシは面白さを求めたいだけだから、ワタシに面白さを求めないでくれるかな。
「僕が見ているのはキミなんだよ?」