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スキルなし↔有能スキル

ダンジョンを歩いていると七瀬が声をかけてきた。


「帰ったら安元たちの件はきっちり学校側に報告しようよ。許せないよ」


七瀬がそう言うと他のメンバーもその話に乗ってくれた。


そんなことを話していたときだった。


俺たちの後ろから叫び声。


「グオオォォォォォォォォォ!!!!!!」


目を向けるとそこに居たのは



名前:ゴブリンレジェンド



少し大きめのゴブリンが吠えていた。

そして俺たちを見つけたのか走ってくる。


「距離がある。逃げよう」


俺が提案すると全員が頷いた。

そのときだった。


「ま、待ってくれ!」

「助けてー!!!」


休憩室から安元たちが飛び出してきた。

どうやらゴブリンレジェンドに気付いていなかったようだが。


ゴブリンレジェンドはふたりをみて


「ギィィィィィィィィ!!!!!」


棍棒を振った。


グシャッ!

一発で肉塊に変わった。


その様子を見て俺は3人に声をかけた。


「うしろは向くな」

「な、なんの音?今のグチャって音」

「うしろは見ないでいい」


2度目にそう言うとみんな言うことを聞いて前だけ見て走ってた。


そうして走っていると


「で、出口が見えたよ!」


七瀬の言葉に俺も前を見るとこのフロアの扉が見えた。

そしてそれはこのダンジョン最後の扉でもある。


その前について七瀬が口を開く。


「そうだ。これパスワード形式だった」


ダンジョンの中にはパスワードが必要な扉もある。

そしてこれはそのタイプだ。


最悪なタイミングで最悪な扉。


「俺が時間を稼ぐよ」


そう言って他のみんなのために時間稼ぎをする。

みんないろいろと言っているが言うことも聞かずにひとりで前に出る。


「ギィィィィ!!!!」


ブン!

俺に向かって棍棒を振ってくるのを避ける。


「余裕だな」


俺は今までステータスが低かった。

そんな低いステータスで戦いについていけるようにしていたのだ。


だから、回避行動、先読みなどはそこそこの動きをすることが出来ると自負している。


そこに今攻撃力が加わっている。


俺は攻撃を回避したあと懐に入り込むと。


「【スラッシュ】」


剣を振った。

ズバッ!


攻撃力455から下される剣の攻撃は今まで以上のダメージだった。


「ギィィィィィィィィ!!!!!」


あきらかに苦しそうにしているゴブリン。

そして、その場にひざをついた。


今ので致命傷になったらしい。


流石攻撃力455だ。


俺は近付いてゴブリンに問いかける。


「なぁ、人間の言葉分かるんだろ?取引しないか?」


俺はそう言ってスキルを起動した。



【どの項目をスワップしますか?】

→スキル

→なし


【スキルを誰のどの項目とスワップしますか?】

→ゴブリンレジェンド

→ゴブリンの闘志(攻撃力10%アップ)




【あなたのスキル:なしとゴブリンのスキル:ゴブリンの闘志、をスワップしますか?】

→YES

・NO



字面だけ見ればとんでもないシャークトレードをゴブリン相手に仕掛ける。


「この交渉に載ってくれるならここは見逃してやってもいい」

「ギィィ……」


フルフル。

首を縦に振ってゴブリンはトレードに応じた。


【スキル:なしを渡しました】

【スキル:ゴブリンの闘志をもらいました】


「ギィィ……」


そして逃げていった。

さすがに追撃する気にはなれなかった。


俺は特になにもされてないし、結果だけ見れば安元達を始末したやつだ。


これ以上関わる必要も無い。


俺はゴブリンを見送ってから七瀬たちの元に戻った。


その頃には扉が空いていた。

パスワードの入力時間分稼げたらしい。


俺たちはその扉を出ていく。


出るとそこはダンジョンの入口だった。


時間は夜。


これで丸一日になる現地のダンジョンを使っての検定が終わった。


「お疲れ様」


七瀬達にそう言ってから聞く。


「送ろうか?もう夜だしね」



全員を寮まで送ったあと俺も自分の部屋に戻ってきた。


夏野学園。

それが俺の通う学園だった。


そしてこの学園は全寮制でもある。


寮に戻るとスマホに連絡が来た。

自動送信のメッセージのようだった。



"ダンジョンからご帰還おめてとうございます。今日はゆっくり疲れを癒してください"



そんなメッセージだったがすぐに寝る気になれなかった。


そういえば


(夕食食べてないもんな)


なにか食べに行こうか。


そう思って改めて寮を出てみると寮の外にある門のところでとある人物と出会った。


「あっ、時雨くん」


そこにいたのは七瀬だった。

ちょうど寮から出てきたところなのだろう。


「もしかして夕食?私もおなかぺこぺこだよー」

「うん。サイゼ行くつもり」

「サイゼ行くの?一緒に行っていい?」


俺は頷いてそこそこ深夜のサイゼにふたりで行くことにした。


店に入って七瀬に言う。


「それより危なくない?こんな夜にひとりで歩くの」

「そっちこそ」


クスって笑ってくる。


「そういえばだけど先生から返信きたよ」


七瀬は俺に今回の試験についての判定を見せてきた。


「合格にしてくれるって。やったね」


いろいろとイレギュラーのあった試験だけどどうやら通過できたらしい。


ホッと胸を撫で下ろす。


追試は勘弁して欲しかったからね。


そんな話をしながら俺はサイゼで夕食を済ませて言った。


夜食用に少し持ち帰ることにした。


もう一度七瀬を寮の前に送り届けてから俺は自分の寮に戻ってきた。


そして自分の部屋の前で不審者を見かけた。


「なにしてんの、岩田」


俺の部屋の前で坐禅をしていたのは俺の唯一の友達の岩田だった。


「よっす」


そう返事して俺のとこにきた。


「サイゼ?余る?買うからくれよ。くれないなら帰るぞ。そして俺と話しておけばお得があるぞ」

「ちょっとだけな」


俺はそう言って岩田を部屋の中に入れた。


それでピザを食べながら岩田と話をする。


「近くによ。ダンジョンができたんだよ。新しく」


「へぇ?どんな?」

「ゴーレムが大量に出てくる洞窟だってよ」


そう言われて俺は思った。


(ゴーレムなら防御力が十分にあるだろうな)


俺に今足りないのは防御力だ。

そしてゴーレムの防御力と自分の防御力をスワップすれば


(攻防共に隙はなくなるが)


となると興味は出てきた。


「まだまだできたばっかのダンジョンだから宝物とかあると思うぜ」


俺は七瀬たちの顔を思い浮かべた。


「うん。いいね」


ピザを食わせてやったかいがあったかもしれない。


たしかにお得情報だった。


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