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決戦は「祭祀の丘」


王都中を鳴り響く・・奇怪で不快な周波数

" ギッギギギィィィィィ~ "


朝も昼も夜も、住民たちをいらだたせ・・苦しみ続けた結果、ついに耐え切れず、最終手段を決意した。


そう、王都ルヴァの住民たちは、一斉に王都から逃げ出したのだ。


とにかく離れろ!

不快で気分が悪くなるあんな音など、もう聞きたくない!

心身ともに具合が悪くなってしまうではないか!



王都の東、大河トーラスを渡る唯一の橋は現在・通行止め!

ゆえに逃げる住民たちや荷馬車の列は・・・北へと向かっていた。


西はキヨウラ公国の領域、南は戦乱と化し戦国時代の様相

・・・となれば安全地帯は北方だと考えたのであろう。


だが、その情報は古かった。

王都西方から北方はすでにキヨウラ公国の領域だったからである。


一応、イジャル公王の布告により、逃げる一般市民への危害は禁じられており、公国軍自体から襲われることはないはずである。

しかし・・どの時代でも、素行の悪い兵士は必ずいるもの、絶対に襲われないという保証などなかった。




----{ 王都住民の離散 }----


この一報が公王イジャルのもとへ届くと同時に・・不可解な情報も入手したのであった。


情報元は猿の影忍たち。

彼らは王都周辺に潜伏し・・・全ての事象を報告しているのだ。

そんな素晴らしき諜報員からもたらされた一つの情報・・


" 離散する住民たちの一部、数千人が大河トーラスを船で渡ろうとしています "


そう、普通であれば、このような報告など、たいしたことはないと言いたいところだが・・・明らかに違和感を感じた。


「んっん!? なぜ・・・危険な大河を無理して・・しかもこの寒い時期に渡ろうとするのか!? 確かに変だな」

イジャル公王は頬に手をあて・・考え込む。


すると、影忍の長・モンキーハンゾウがもう一つ、ダメ押し的発言をした。


「大河を渡る住民たちの姿は確かに見すぼらしい。しかし・・なぜか全て若い男性、しかも筋肉隆々の様子でした」


「ほぉほぉ、そうか!・・・・やはり奴らか」


公王は鼻で笑い、軽く頷くと・・モンキーハンゾウも同じく頷いた。


「私も・・そう思います」



「ふむ、ならば敵はこちらへと向かってくるであろう! そして狙いは大将の首、僕のことか?!・・・よし! 出撃だ。こちらから奇襲をかける」


「はっ!」


イジャル公王は即座に号令を下すと、家臣たちの動きが活発となった。

さぁ! 戦支度だ・・王国軍との決戦が迫っている!




-*- - - - - - *-


イジャル公王を倒さんと・・大河トーラスを渡る擬装王国軍

シラヤ子爵は" できるだけ目立たぬように "と命じたものの、

逆に、このような寒空の下での渡河は常識外、ついつい目立ってしまったのである。


それを証拠に、付近に住んでいるであろう住民たちの何人かが・・心配そうにこちらを見ているではないか!

しかも・・「この時期の渡河は危険だ!」とまで忠告された。

実に良い人達だと言いたいところだが・・作戦上まずいことだ。


その上、なぜだか河川敷にたむろしている野生の猿たちが 興味深げにキョロキョロとこちらを見ているw


「これはバレた可能性が・・高い しくじったやもしれん!」


子爵は少し後悔したが・・・もう遅い!

作戦は発動されたのだ。急ぎ渡河を行い・・・敵、公国軍を撃破するしかない。



---- リューム降誕暦681陸月の中三日(1月13日)----


渡河事態は・・無事に完了。

その後、シラヤ子爵率いる四千名の部隊は一般人になりすまし・・森林地帯を突き進む。

そう、彼らの見た目は旅人、服装は水準以下のみすぼらしさ、間違いなく普通の住民に見えるはずなのだ。


だが、実際は違っていた。

彼ら全員の足の動かし方、速度、歩幅がすべて同時である・・いわば一糸乱れぬ隊列行進なのだ。

そう、どうみてもプロの軍人、しかもそんじょそこらの兵士ではなく一線級部隊にしか見えない。


正規兵ほどの軍人を・・見た目だけ誤魔化すことはできなかった。

歩き方一つだけで軍人だと見破られてしまうのである。

・・・というかすでにバレてしまっているであろう。


シラヤ子爵は敵に気取られていることを前提に行動することを決めた。


「計画は甘すぎた。もっとはやく気づくべきだったが・・もう遅い。おそらく奇襲は無理だろう。

ならば、第二案・・あの手をつかう!」


シラヤ子爵は行軍する兵士たち・・・正規兵4千名に着替えを命じた。

もはや偽装は意味を成さないだろう。

各自に持たせていたナップサックから鎧と武器を取り出し・・即座に着用させたのである。


冬の寒さの中、わずかな温もりを感じる木漏れ日の光が彼らの鎧に反射する!

正規兵4千名・・いつでも戦闘可能となったのだ。


「よし! 我らが向かう地は・・祭祀の丘! そこが決戦の地とする」


「お~! お~! お~!」


子爵の号令によって 再び行軍が開始された。

目的地はゴルーナと呼ばれる丘、通称・・・"祭祀の丘"



そう・・この地はいわゆる"忌み地" または"禁足地" 


かつて存在した非道なる邪教集団によって この地は汚され、魔導と波動が渦巻く危険地帯となった。

とはいえ、あらかた浄化されてはいるが、その呪いの断片は残っていたのである。


その断片化した呪いとは・・迷子効果、人を迷わせてしまうのだ!

視覚を狂わせ、方向感覚を失い・・・同じところをクルクルと回り続けてしまう。


それゆえに・・・この丘の頂上に到達するには・・一本の狭い街道を使用するしかないのだ。

そう、この街道だけは唯一、呪いに汚されてはいない。しかし・・・街道から外れた瞬間、呪いによって迷い出すという。


そんな街道をシラヤ子爵率いる四千名は登っていき・・祭祀の丘にて陣を張った。


そう・・このような忌まわしき地に・・・キヨウラ公国軍を引っ張りだし・・・撃破する。

数の差の不利は地形効果で穴埋めするのだ。


"" 人の感覚を狂わす忌み地の呪いによって、敵を惑わし、あわよくば敵公王の首を取れ! ""



シラヤ子爵は祭祀の丘・頂上周辺を急遽掘り起こし、即席の塹壕とする。

しかし、丘中央の鳥居には一切触れず、兵士たちにも触れないよう命じた。


この地は"忌み地"・・祭神を尊び、触れてはならない。さわらぬ神に祟なし





シラヤ子爵率いる王国軍4千はゴルーナの丘・・通称"祭祀の丘"の地に陣を張り・・

これ見よがしのごとく、大量の旗をはためかせ・・・王国軍ここにありとアピールしたのである。


そう、これだけ派手に誇示された以上、キヨウラ公国軍としては・・絶対に気が付くだろうし、放置できまい。

いわば・・・挑戦状なのだ。



その後、もちろんと言うべきか・・周辺を警戒していた影忍たちは、これら王国軍の存在に気づき、この丘・(祭祀の丘)の調査にあたる。

そして、やはりというべきか、彼ら影忍たちは道に迷ってしまったのであった。


丘の頂上へと向かう一本道の街道以外のルートで・・頂上に接近しようとするならば、たちまち方向感覚を失い、道に迷ってしまう。

数時間にわたり・・影忍たちは同じところをグルグルと回ったあげくに・・・ようやく脱出できる有様となった!






--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)



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