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相手にとって一番いやなことをすることが戦争なのよ!


シラヤ子爵率いる王国軍勝利の知らせは、王都ルヴァ中に響きわたり住民たちを安心させた。

独立宣言したルーラル伯を討ち、その軍をほぼ壊滅させたのである。

しかし、最大の敵であるキヨウラ公国軍は、まだ姿を現していない。


「奴らは王都ルヴァへと南下中のはず! 警戒を続けねばならぬ」

シラヤ子爵の心中は、得体の知れぬ不安と緊張感で渦巻いていた。

これから待ち受けるであろう戦いに備え、彼は気を引き締める。




一方・・そのキヨウラ公国軍1万5千の兵は、町や村を攻略しながら徐々に南下中であった。

補給線の確保のためにも、確実に攻め落とす必要があったからである。


一応、偵察のため猿の影忍たちを先行させており、王都周辺の偵察、情報収集は行っていた。


ルーラル伯軍の王都攻略失敗や国王の復活、そして若返りに至るまでの情報も順次報告されている。

さらに、エルドラードが廃太子された情報も入手しており、イジャル公王は驚きを隠せなかった。


だが独立宣言してしまった以上・・公国軍の矛は納めない。予定通り王都攻略・・そしてエルドラードの首を取る!


「そうだ!この手で仇を討つ。他の者には任せられない」


イジャル公王はあらためて決意をした。


公国軍は予定通り・・歩を進めている。今のところ順調である。

しかし直接的に・・王都を攻略をする気はない。


そう、王都ルヴァは巨大だ! 1万5千程度の兵力で包囲攻略戦は無理なのである。

ゆえに・・補給線を狙う。

"" 大都市王都ルヴァ、そこに住む住民たちを支える大動脈・・・すなわち東部地域からの物資輸送路を抑える! ""


これは内務総長・アランスの進言してきた作戦である。

さらに、東部地域から王都へ運び入れてくる物資を強奪し、わが物にしてしまおうという意図もあった。


ある種、中世時代の軍事行動・・・物資は現地調達なのだ。




---- リューム降誕暦680 雪月の後十日(12月30日)----


冷たい冬の風が吹きすさぶ中、王都ルヴァの東部に位置する小都市ラクロットに、キヨウラ公国軍1万5千が迫る。

町の城壁は・・申し訳ない程度で、守備隊も少数だった。

攻略戦が始まるものの・・ほとんど抵抗というものはなく、代官は恐れをなして逃亡し、すぐに占領できた。



「よしよし・・全て予定通り。ここを拠点として、王都に圧力をかける」

「いよいよ、ですね!」


イジャル公王は満足気の様子、側にいるノアも同様に微笑んでいた。


しかも今日は新年を迎える前夜 道端や平原ではなく・・このような町の中で正月を過ごせるとは・・なんて喜ばしいことか!


兵士たちに、しばしの休息を与えることができたのだ。

そう実際に・・彼ら兵士たちは安堵し、心ばかりの新年祝いをしていた。

( もちろん酒類は禁止されていたのだが、その代わりノアは兵士たちのためにコーヒーとチョコは配りましたとさ♡ )


「さあさぁ食べて食べて! 偉大なる邪神様からの贈り物・・チョコとコーヒーだよ」


・・・というわけなのか、兵士たちに邪神様(邪神教)の布教をするノアである♡


もちろん大好評です! 甘い菓子類は・・・兵士たちにも大歓迎なのだ。

わいわい がやがや・・・兵士たちの新年祝い!

ついでにノアやコサミちゃん、シルンちゃんも・・ティータイムで新年を祝った。


謹賀新年!




そんな兵士たちとは対称的に、先行任務を行っている"ソン・ゴクン"率いる猿軍団に正月はない!

彼ら猿たちは・・偵察などをしつつ、王都へと向かう荷馬車への襲撃を行っていた。俗に言う・・ゲリラ戦である。


目的は、内務総長・アランスの進言通り・・荷馬車の物資、特に食料を強奪し公国軍の糧とすることと同時に・・王都ルヴァへの圧力!

そう、王都に流れ込む大量の物資を妨げようというわけであった。

食料不足におちいらせるのだ。そして、王都住民たちの動揺を誘う!

上手くいけば暴動に発展させることもできるであろう。




これら猿たちの大活躍の知らせは・・すぐにでもイジャル公王の耳に入り・・作戦は予定通り、順調だと知る。

「今のところは・・良き事! だが、もう一つ大きいインパクトがほしいものだ」


そんな公王の一言にノアは・・少し考え込んだ。


猿たちの活躍に便乗というわけではないのだが(少しはあるw)・・もっと面白く、いや不謹慎か、訂正!

確実に補給路を遮断する方法があるのだよね。

そう、痛烈な嫌がらせ! 相手にとって一番いやなことをすることが戦争なのだ。



「えっとそうね! うちらも手を貸しましょう。やってみたいことがあるのよ! 略してマーケットブリッジ作戦」

ノアの悪巧み、ニヤリと口角を上げた。


コサミちゃんは、いつものことだと半笑いし、シルンちゃんは小さい腕を持ち上げてサムズアップした。

『 わっちも協力するっす! 』

「わ、わたしも・・」


僅かに躊躇ぎみのコサミちゃんは、まだまだ覚悟が足りない様子、そこんとこはもっと慣れてもらうということにしときましょう。

そう、ノアと比べてコサミちゃんは・・・心根が良い人なのだ。


「まぁ・・うん、そうだね! うちらの活躍を盛大に!盛大に! 

キヨウラ公国ここにありと・・敵に見せつけ、大混乱させてやりましょう」


そんなノアのやる気に・・少々不安があるものの、イジャル(公王)は・・苦笑しつつ許可をだしたのであった。

「ノア様、あまり無理をしないように・・・」 一応、心配はしているようだった。


-*- - - - - - *-



新年早々、ノアたちは猿たちの手伝いをすべく!? 

マーケットブリッジ作戦を発動した。


「さあ、行こう!」


空飛ぶ箒に乗り込むノア、コサミ、シルンちゃんたち・・・

狙いは、王都経済の混乱、物資の供給を止めること。流通の妨害!

そう・・河川に架かる橋にとある仕掛けをすることだった!


特に目標とするのは、王都ルヴァ付近の大河 トーラス(ドーナツ)に架かる巨大な大橋・・通称"ルヴァ大橋"

構造は頑丈な石作りとなっており、この大河を渡れる唯一の橋なのである。

(異世界版・・越すに越されぬ大井川! 一応、江戸時代とは違い一本だけは橋が存在しているのです)



王国東方地域と王都を結ぶ交通の要所であり大動脈、それゆえに守備兵一個連隊によって守られていた。

そしてもちろん、この橋には多くの荷馬車が行き交っており、その重要性は一目で分かるであろう。



そんなルヴァ大橋を遠くに眺めながら、上空で遊弋するノアたち空飛ぶ箒組。

橋の守備兵たちにとって、空からの脅威など想定外、おそらくノアたちの存在に気づかれていないはず。


そう、ノアたちは完璧に不意打ちができる。先制攻撃が可能なのだ。

ニヤリ、悪役のような表情をするノアにコサミちゃんは疑問を投げかけた。


「もしかして、あの橋を破壊するのですか!?」


だがその予想はハズレ、ノアは首を振った。


「いや、さすがに通行する一般住民を巻き込んでの・・・うん、巻きこんでもいいのだけど、

イジャル君に何かを言われそうなので却下、別の手口を行使するのよ」


「別のですか!?」


ノアは軽く頷くと、握っていた魔法の杖(ブラッディ・マリー)の先端を・・遠くに見える"ルヴァ大橋"へと向けた。


" よし!ターゲットロック完了 "






--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)



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