刑獄の美女(少年)
全裸男、いや!
見た目だけは湯上がり美人たるイジャル公王に・・羽交締めにされる女魔導師イヨナ。
「な・・・なに! 剣士イジャルが公王だって!? まじかよ!」
真実は小説よりも奇なり
なんてことだ~ ぐわぁ! 男に押し倒される。しかも美男というか美女!? でも全然嬉しくないぞ!
・・・・というかヤバい!
いや! 相手に不足なしと言いたいところだが、こんな所にいては袋のネズミになってしまう。
そう、特にあの連中! 奇妙な光を照射し続けたあの魔導師たちが要注意なのだ。
冷静に判断して、今回は離脱する!
勝算のない戦いはしないものだ!
イヨナは身体強化魔法を発動した。しかもバースト付きである。
ズドドォオォーオッオオオ
これぞ、リミッターをはずした魔導アフターバーナー!
彼女の身体が青く輝きだす!
・・と同時に膨大な波動が放出しだしたのだ
「ほぉぉ・・これは! さすがだなイヨナ君」
ならばならば・・イジャルも負けずに本腰を入れる。
相手も本気なら、こちらも本気!
その波動力に対抗すべく、イジャルも波動を放出! 全身に力をこめたのだ。
そう、彼は剣士であるとともに、魔導にも心得があった。
イヨナは逃がさない! 縛めからの解放など許しはしないのだ!
だが波動パワーに違いがありすぎた。
イヨナはリミッターを外し・・アフターバーナーを全開にしている!
瞬間的とはいえ・・膨大なパワーを引き出していた。
それはいわば・・自家用車と旅客機ぐらいの違いというわけだ。
圧倒的波動パワーに押しまくられ・・劣勢となるイジャル!
魔導師としての才能はやはり・・イヨナの方が上だったのである。
剣さえあれば・・現状を覆せたかもしれないが・・それは仕方がないこと!
そう・・イジャルは文字通りの丸腰,露天風呂に浸かっていただけなのだから・・
「むっむむ!」
逃れようとするイヨナを拘束し、羽交い絞めしている腕に痙攣が走り・・いうことをきかなくなる。
そして、限界に近づき、ついにバシッン!・・と音を立てた。
堰き止めていた波動パワーが一挙に解放され爆発・・イジャルは吹き飛ばされたのである。
そしてゴロゴロゴロ・・ジャバァァン! ゴボッゴボッコボ・・湯舟の中に落ちた。
「ちっ! なんてこったい」
イジャルは悔しそうに・・イヨナを睨む、そんな彼の髪は湯水に濡れ、なんとなく艶めかしかった。
"悲しみと哀愁をただよわせる美女!?"のように見えてしまうw
「・・・なんでそこまで色気を!! 悲劇のヒロインをしてやがる・・なんでやねん!」
イヨナは一瞬、女として負けた気がしたのだが・・
いや! 奴は男だった! 男のはず! 男だったよな!? なぜか疑問形
もう・・いいや! どうでもいい・・・
頭を振り払い、イヨナは考えることをやめた・・諦めた。
とりあえず今、優先すべきことは・・ここからの脱出!
イヨナは上空へと力強くジャンプし・・その場から離脱した。
ついでに一応・・捨てセリフも忘れない。
「イジャルよ! その命をしばし預ける!」
・・・などと叫びながら、彼女は屋根上から姿を消した。
" うっふふ! あたいって・・ちょっとカッコよくね~! "
などと・・思ったのがいけなかったのか!? 再び・・あの魔導光、チョコビームに照射されたのである。
イヨナによってばら撒かれたスモーク・霧はすでに消え去り視界も良好、天候も青空
ばっちしと目撃されてしまったのであった。
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「よし! 再びファイヤー!」
ノアは叫ぶ!
もちろん、側に控えるコサミちゃんも援護射撃・・アイスバレットの連続発射!
パシュパシュパシュ
そして・・上空を飛ぶシルンちゃんも負けていられない!
『 わっちもやるっす! 』
そう、シルンちゃんのサイコキネシスパワー・魔動拳の連続パンチが解き放たれたのである。
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これらノアたちの総攻撃にイヨナは驚いたものの、冷静に判断し、最速の瞬間移動で避けようとする!
だが・・波動リミッターを解除しアフターバーナーを発動したがゆえなのか、魔力が大幅に減退してしまっていたのだ!
そのために・・瞬時に移動できない。波動の切れが悪い。
「うっ、やられた・・!」
攻撃の大部分は避け切ったが・・アイスバレットの一部が腕をかすめ、痛みが走る。しくじった!
これでは・・不味い!
イヨナは慌てて呪文を唱え・・・魔導障壁を展開する!
だが・・・間に合わない! 魔力も足りない!
バシッ! バシッ! パシッッ!
ノアたちからの第二派攻撃をもろに喰らってしまい・・咳き込む。
「ごほっ ごほっ ごほっ」
そう! それはシルンちゃんのストレート透明パンチ!
腹へとクリティカルヒット・・まさにワンパン状態
あっあああ~ダメだ! 意識が遠のいていく。波動を放出できない!
このままでは・・・ヤバイ!マズイ! ・・・ならば最終手段!
イヨナは最後の力を振り絞り、懐にしまい込んでいた・・あの魔導装置を起動させた。
グゥゥゥオオォォンンン
一方・・イヨナの真下、その眼下では・・引き続き露天風呂に浸かるイジャルの姿があった。
高見の見物というか・・下界の見物を楽しんでいたのである!?
そんなイジャルの目前に・・上空から何かの物体が落ちて来たのだ!
そして・・水しぶき、水柱が立ち上がる。
ジャポポポホオオォォォン
「あら! おかえり♡ でも逮捕するよ」・・・とイジャルが言ったが、イヨナは浮かび上がってこなかった。
水死したのか!?・・と疑い湯舟の底を覗くと・・・何もなかった。
そう、イヨナは消えてしまっていた!
「ちっ、逃したか! だがどこに・・!?」
これだけの騒ぎをおこした白き魔導師イヨナは・・・忽然と姿を消したのである。
おそらく なんらかの魔法を使用したのだろうという憶測程度・・・消えてしまった原因はつかめなかった。
残念!
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イヨナが発動した魔導装置は・・・超古代の遺物、貴重なアーティファクトだったのだ。
一回きりしか使えない貴重品だったのだが・・仕方がない。
命と引き換えなんて出来ないからだ。
この魔導装置は・・緊急脱出用のテレポート、時空ワープを発生させ・・使用者をどこかえ跳ね飛ばす仕組みとなっている。
そして現在・・・イヨナは見知らぬ台地、溶岩が流れる地帯のど真ん中に立っていた。
「ここは・・・どこやねん! 地獄なのか!?」
驚きと戸惑いに声をあげる。
空が赤く染まり、山々が噴煙を上げ・・熱風が噴き上げる。
半端ない熱さだ・・・汗が滝のように流れる。
まるで絵に描いたようなヘルワールド! あたいは地獄に落ちたのか!?ってねw
この事態に、一般の人なら絶望するであろう。
しかし、イヨナは違っていた。
強力な波動を放つ魔導師からすれば、この程度の溶岩地帯などアスレチックランドの遊具程度・・目を瞑っていても脱出可能なのだ!
「余裕余裕! 修行時代の過酷さを思い出せば、この程度・・月とすっぽん」
・・・・のはずだったのだが、この火山地帯で一月間、足止めされることになった。
だって・・地図がなかったもん! そして障害物のように立ち塞がる溶岩の川! これは一種の迷路!?
ついでにいうと、この地は別大陸・・帰り着くのに大変な目にあうことになる。
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)