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襲撃


---- リューム降誕暦680年 霜月の前五日(11月5日) ----



ツイガルの町での行政機関でもあった領主屋敷は、先日の戦闘によって崩壊、瓦礫と化し、使用不能状態となっていた。(ノアの仕業w)

それゆえに、キヨウラ公国は急遽、中央広場に急ごしらえながらも屋敷と呼べる程度の建物を建て本陣としたのである。


内務総長アランスの手腕による素早い建築と安上がりの設計で、一応、耐震基準も満たしているらしい。

町の象徴としてはやや物足りず、質素ではあるが、戦時中なので致し方ないだろう。


「陛下、急ごしらえで安上がりな建物となってしまい、申し訳ありません。しかし、これが現状での最善策かと存じます」


アランスは恐縮しながらの説明に対して、イジャル公王の口元に笑みが浮かぶ。


「そうだな、了解した! 確かに贅沢などもってのほかだ!」


そのお言葉に、アランスはほっと胸を撫で下ろす。


「ご理解ありがとうございます」


ちなみに、破壊しつくされた城門は本陣館とは違い、予算をかけて再建中だ。

町の防衛に関わるので、手抜きは許されない。


さらに・・より防衛力を強化するため、城郭の外部に稜堡、堡塁などを増設した。

防衛思想は五稜郭方式、攻め寄せてくる敵に対して、できるだけ射線を増やし十時砲火を浴びせかけようという仕組みとなっていた。



-*- - - - - - *-



シュルッルルルッー


多数の魔法弾が弧を描きながら・・雲ひとつない青空を横切る。

そして、轟音と共に再建中のツイガル城門が崩れ去ったのだ。


そう、敵襲である! 


完成前の城郭は・・じつに脆い。

たとえ難攻不落の城であっても完成前なら ただの障害物。



いきなりの奇襲攻撃にキヨウラの兵士たちは動揺し・・状況が掴みきれない。

しかも・・・混乱し逃げまどう建築作業員と、慌てて駆けつける兵士たちで・・パニックにおちいってしまったのだ。


「邪魔だ、どけ!」「そっちこそ、どけ!」「いったいなにが!?」「敵はどこだ!!」



そんな混乱の中、魔弾と火弾・・・そして煙幕をバラまきながら、一人! たった一人の少女が城門を突破! ツイガル市内へと侵入した!

そして少女は駆け走る!

彼女にとっての敵・・キヨウラの本陣、総大将がいると思われる町の中央、本陣館へと向かって・・・




そう、敵は大軍ではなくたった一人の少女!

だが・・侮るなかれ!

彼女の手によって・・すでに数十人のキヨウラ兵士が死傷しているのだ。


かなりの使い手! しかも戦慣れしている。これは・・・ヤバイ!



白き魔導鎧に身を包み、白き魔導杖を手にしたその少女、

ホワイトグリーンの長い髪を風にたなびかせ、疾風のごとく大通りを駆け抜ける。


誰も止められないのだ! 

魔弾が炸裂し、あらゆるものを吹き飛ばしながら・・一直線となって突き進む。


だが、ここで彼女に立ち塞がる者が現れた。

そして両者は無言で視線を交差し・・互いの敵を視認する。


両者は魔導師!

魔導師同士の・・・戦いが始まる。



-*- - - - - - *-


これより少し前、ノアはコサミちゃんと一緒に屋台名物、金魚天ぷらを食べていた。

その時にこの騒動と襲撃に遭遇したのである。


ズドォォォォンンン


けたたましい破壊音とともに・・ノアの目前で吹き飛んでいく兵士たち!


「なに! えっ!?」


ノアは戸惑う。

そして、食べかけの天ぷらと目前の現実を見比べ、なんとなく躊躇したものの・・「これは一大事」

そう叫ぶと、ノアは即座に駆け出した。

もちろん、コサミちゃんも遅れずに後ろから駆け出す。






魔弾を放ちつつ、ホワイトグリーンの長い髪をたなびかせ大通りを疾走する・・その少女!

兵士たちをなぎ倒し、足止めすらできていない。


「手強い…かなりの使い手!」


そんな彼女の前にノアとコサミちゃん・・そして上空で羽ばたくシルンちゃんが立ちふさがり、即座に交戦を開始する。

敵との会話など必要ない! どうせ分かり合えないのだ。

唯一の選択・・それは戦い!


ドッドドドッドドドッッ



甘ったるい黒き物体と氷の弾頭が次々と・・・白き鎧をまとう少女に殺到した!

だが・・その少女の姿は瞬時にぶれた。


いや、それは残像だ! 光速移動!

光の軌跡が側面に移動し、ノアたちから放たれし多くの弾頭は、むなしく空を切る!


「むっ! 避けきったのか・・・」


ノアは・・あらためて相手の力量を認識したと同時に・・

その白き少女から、大量の魔弾が撃ち放たれた。

その数・・・尋常にあらず。彼女の力量・・魔導パワーは間違いなく上級以上!



放たれた大量の魔弾は 扇状(おうぎじょう)に広がり、ホーミングしながら、ノアの周囲を覆うように襲いかかってくる!

それはまるで壁、強大な圧力!


『 やばいっす! ノア様、飽和攻撃・・ 』

シルンちゃんは叫ぶ!


ノアは、迫り来るとんでもない危険、とんでもない魔弾の数に冷や汗を飛び散らしながら詠唱した。


「我を守りしチョコアーマー・・間に合え!!」


それはチョコレート色をした盾・・そんなチョコアーマーを身体の周囲に召喚し防御の壁とした!

パシュパシュパシュ!


魔弾の幾つかを弾き飛ばしているようだ。一応、防いでいるようである。

同じく側にいたコサミちゃんも、もちろんのこと、援護にはいった。

素早く詠唱し・・青白き魔導障壁を展開、幾つかの魔弾を防ぐ。


「ノア様・・・あの白い少女からの波動・・すごすぎです」

「かなりの強敵ね! あのゴーレム以上だわ」


『 でも大丈夫っす! わっちにおまかせっす 』


そう、シルンちゃんには、鉄壁のイージスになる自信があったのだ。

それは・・魔動拳・サイコキネシスパワーによる連続念力パンチ!


ノアの頭上を羽ばたきながら、襲い来る魔弾を睨むと同時に、

透明パンチの連打!連打! ドスドス! パスパス! で・・魔弾を撃ち落としていく。


『 撃つっす! 撃つっす! 撃つっす! 』


三位一体による・・ノアチームのみごとな連携プレイ!? トリプルディフェンド・・

謎の白い少女による飽和・魔弾攻撃を完全に防ぐとともにノアは反撃を開始する。


だが、コーヒーバブルボムは行使できない。範囲攻撃で住民や建築物に被害が出かねないからだ!


それならば、あれだ!

先日、チョコ魔法がLv30に達したことによって自動的に得た新魔法!

もちろん戦闘系だ! 不安は少しあるものの・・まぁ、いいでしょう!


「ここで新魔法を行使してみる! ちょっと初めての魔法だけど・・・いけるはず」


そんな適当すぎるノアの発言に・・コサミちゃんの視線が揺らいだ。

「えっ 大丈夫なの!?」


・・・に対してノアはすこし躊躇しながらも「もちよ!」と返事、だけどちょっと不安w



試射も試し撃ちもなしに、いきなり実戦投入する新魔法の名は・・魔流電子加速砲!

チョコの粒子を、ローレンツ力によって亜光速まで加速し、投射する術! 

別名・・"チョコビーム"



期待と不安が入り混じりながら・・ノアは慎重になりつつも、その魔法を放った


ブォォォオオオォォン 

微かに空気が震え、イオンの匂いが漂う。

 

チョコレート色に輝く光の直線がノアから発せられ、サーチライトのように・・あの白き少女を照らした。

しかも避けられない!

光の速度に迫るビーム照射から、逃れられるわけがないのだ。




-- -- -- --


「な・・なにこれ!?」


白き少女は、魔導に長けているはずだが、困惑した。

見たことのない魔法、この世界に存在しない魔法だからだ。

だが、考えている暇などない。

未知の魔法攻撃を受けている。何が起きるのか予想すらできない。

逃げる! 避ける! それが最善の策!


彼女は即座にジャンプし・・屋根上を駆け走った。




-- -- -- --


「ふっふふふ・・・これぞ新魔法! チョコビーム! 相手の魔力を吸い取っちゃうのよ♡」

ノアの発言にコサミちゃんは、この魔法に興味深々・・


「魔力を・・・吸い取る!? それって魔導師にとって天敵の魔法じゃないですか!」


「ふっふふ」


ノアは少しキメ顔になったのだが・・そんなことをしている場合じゃない!

ビーム照射している白き少女が・・屋根上にジャンプし、ノアの視覚から逃れようとしていた。


そう、見えない敵には・・照射できないのだ。


一応・・・この魔法はうまく機能している。

直接的ダメージは与えないものの・・あの少女の魔力を確実に吸い上げていたのだ!

その証拠に、吸い上げられた魔力は美味しく固められ・・チョコへと変換されているのです。

ちなみに・・そのチョコはノアの時空ストレージ内にしっかりと収められ・・いつでも食べることができます。



"魔流電子加速砲! "または"チョコビーム"と呼ばれるこの魔法は・・・

相手から魔力を奪った上で・・その魔力をチョコに封じ・・魔力回復チョコを製造する魔法だったのである♡

しかも・・作り上げたチョコは甘くておいしいのですよね。







--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)


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