邪神コーヒーチョコケーキ氏のとある日常!?
モフモフな・・シルンちゃんは歴史的大プロジェクトに取り組んでいた。
盗賊団の砦から見つけた・・とある料理本、' 困った時の料理全集 'の翻訳に勤しんでいたのです。
この世界とは違う別の世界(地球!?)の料理法を・・この地に伝えるのだ。
そして・・食の革命を引き起こす!
・・・などと主張し、小さい手に筆を握り、翻訳内容を書き連ねていく。
体が小さいシルンちゃんにとって、これはとっても大変な作業であった。
『 翻訳機が欲しいっす。せめてワープロ・・タイプライターでもいいっす 』
なんてことを呟きながら・・作業するシルンちゃん。つらそう~
ノアは・・・そんなシルンちゃんを見て同情しそうになるが・・・手伝うことができない。
だって、あの本の文字が読めないからである。
◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇
一方、ここは別宇宙、別の世界!
VR-MMO"" 戦血バラ ""におけるゲームプレイヤーでもある"コーヒーチョコケーキ氏"(邪神様)の実体というべきか本体、または生身の姿がそこにあった。
そう、彼の名は明石君(仮名)・・・偉大なる神々の故郷・島根県在住、ここはいいとこだよ!いいとこだよ! 出雲にいらっしゃい♪
・・・という自己紹介はさておき、その日の早朝、早起きした明石君(仮名)は、朝食を買いにコンビニへ行くついでにと・・裏山を散策をしていたのであった。
「朝は涼しいし・・気持ちがいいからね!」
ちなみに、明石君は・・・MMO内のアバターとは似ても似つかない姿です。もちろん男性なのだ!
ビキニなんてしてませんよw
そう、"コーヒーチョコケーキ氏"とは世を忍ぶ仮の姿なのだ。
・・というか、実際の彼はどこにでもいる普通の一般人、普通of普通、プロの普通人間なのです。
そんな普通の彼が、なんと歴史的、世界的、大発見をしたのであった!
ここは島根県だが、あの有名な ラルゴン生息地とは・・割と近い某裏山の某山道
散歩中の明石君(仮名)は・・・とある物体を道の真ん中で発見したのである。
「おいおい・・おい! 道端のど真ん中に、ごみを捨てるなよ・・・!? いや、ちょっとまてよまてよ・・」
はじめ・・それはゴミに見えた。巨大な粗大ごみ・・・だがよく見ると生モノだった。
ナマの有機体・・というか熊!? 熊の死体!?
いや! 違うぞ・・人の手足に人の胴体、そして頭部! 人の遺体だぁぁ~!!
彼はすぐに通報・・・警察が駆け付け、実況見分。
その後、マスコミやら学者たちがぞろぞろとやってきて・・・歴史的、世界的大ニュースとなった。
その遺体は・・ノアたちのいる異世界から、なんらかの原因によって弾き飛ばされ、この世界に落ちて来たあの盗賊・・ゴルモンの成れの果ての姿だった。
しかも、このゴルモン、ノアたちの世界でも、かなりの大柄で毛深かったゆえなのか・・・
こちらの世界では完全に原人扱いにされてしまう。
そう、現代、しかも日本に・・数万年前に絶滅してしまっていた原人、猿人!? 謎人が生きていたのだ!!
一応、大柄と毛深さを覗けば・・割と人間に近い。だが、解剖してみると・・驚愕の事実が判明する!
臓器が微妙に違う上に位置がおかしい。しかも、謎の臓器まであったのだ。
そして遺伝子は完全に違っていた。染色体も無茶苦茶違う・・根本的に違う。
猿人からの進化ではなく別の何か!? 人類種以外としか考えられなかった。
(別の異世界から来たからね)
兎にも角にも・・明石君は謎の生物・ラルゴンを発見し、世界的有名人、時の人になったのである。
しかも このラルゴンには生死を問わず懸賞金が掛けられており・・・大金を手にすることになった。
「こ、これはおもわずラッキーだぁあぁ!」
その後・・しばらくの間、日本中、いや世界中でラルゴンの話題で持ち切りとなる。
なんたって・・人類の進化系統外というか、地球での生物とは思えない遺伝子構造・・なのに人類種に近い生物なのだ。
突然変異!? 地球外生物などと噂が飛び交い・・学者たちは けんけんがくがくの大論争。
そんなわけで、日本中、いや! 世界中がラルゴンブームとなった!
マスコミは朝から晩までラルゴン関連のニュースやバラエティ、あげくに映画化!?
巷では・・ラルゴン関連グッズが店頭にならび、子供たちに大人気!
コミケでは、ラルゴン風のコスプレ衣装で、かわいらしさの強調をねらう。
そして、そんなラルゴンのイメージがファッション衣装として世界的大流行となり・・・あの某パリのファッションショーでも大絶賛されたとか!?
そう! あのラルゴンが・・可愛くプリティでモフモフなイメージに切り替わっていったのである。
ちなみに、発見されたラルゴン(ゴルモン)は・・大柄で毛深い遺体だった。
しかも見た目は・・凶悪、悪そうな顔をしていたはずなのだが・・
どこかで情報が180度に方向転換! むちゃくちゃ歪んでしまい、モフモフ感のある可愛い容貌にされてしまったのである。
あの巨漢で憎たらしい盗賊団の頭・ゴルモンは、異世界で遺体となることで、萌え化してしまい・・あげくに小動物的イメージに変換されてしまったのは・・
彼にとって不幸だったのか幸運だったのかw
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一方・・VR-MMO"" 戦血バラ ""においても、そんなブームに乗っかり・・
あのラルゴンをモチーフとしたモフモフロボット・・" からくりラルゴン "が登場したのであった。
可愛い! たしかに可愛い・・見た目は小さく子タヌキ程度、モフモフの毛並みは心を癒されるのだが・・・
ゲーム設定では・・彼ら" からくりラルゴン "は魔獣扱い、プレイヤーに敵対するモンスターとして・・とあるダンジョン内を徘徊しまくっていた。
略して・・もふもふダンジョン
萌え萌えな名前のダンジョンなのだが、油断するなかれ!
そう・・この" からくりラルゴン "は見た目と反して、むちゃくちゃ強いのだ! クソ強い、最終ボス並みの強さ
ラルゴンの・・モフモフパンチは一発でプレイヤーのHPを全て持っていき
モフモフ回転キックは・・・プレイヤーを空高くに吹き飛ばす!
からくりラルゴンのからくりパワーは・・無限大!
数十人のグループを組み、なおかつ緻密な作戦が必要なほどの・・高難易度魔獣!
単独だと・・まさに瞬殺されてしまうのである。
可愛さと反して・・・凶悪的強さなのだ! 見た目で騙されてはいけないのである
そう、やっぱしというか、当然のごとく!
明石君の仮の姿でもあるコーヒーチョコケーキ氏(邪神様)は、さっそくとばかり・・この新魔獣 " からくりラルゴン "に対して、戦いを挑もうとしていた。
「ふっ 邪神の名にかけて・・単独討伐してやろうじゃないの!」
だがしかし・・・
MMO運営側はコーヒーチョコケーキ氏を・・あの有名人、原人ラルゴンの発見者" 明石君 "だと知っていたため、特別待遇にしたのであった。
"" ラルゴンブームの発端となったコーヒーチョコケーキ氏に敬意を表して・・・ ""
そう、その" からくりラルゴン "は敵対魔獣のはずなのだが・・なぜか戦ってこず、しかもコーヒーチョコケーキ氏に色目までつかってくる始末w
「 うっふん♡ 」
あまりにもなつきまくり、寄り添ってくるので・・思わずテイムスキルを発動、ペットにしてしまったのであった!
「可愛いから・・これもいいよね」
そう、ラルゴン発見者特別待遇プレゼントは・・・" からくりラルゴン "をペットにできる特殊能力だったのだ。
そして・・なんとなく可愛いので 大量にテイムしまくったものだから・・もう周りはラルゴンペットだらけですよ!
戦わずして勝つ! しかも特別待遇でペットにできる特典。
周りの人から羨ましがられたのだが・・・ちょっとこれはね~
「あっははははは」
コーヒーチョコケーキ氏の乾いた笑いが響く。
彼の後からゾロゾロとついていく・・100匹以上の" からくりラルゴン "!
もはや、レミングスの集団行動と言うべきか・・111匹ラルゴン大行列!?
いくら可愛いといっても・・・この量で地面を覆うと、恐怖を感じる。
コーヒーチョコケーキ氏、職業は"邪神"・・・そして、地面を覆いつくす" からくりラルゴン "のペットマスターになってしまったのであった。
「いくら可愛いからと言っても数が多すぎ~ そうだ! このラルゴンたちを箱詰めにして、ゲーム内友人にメール転送してやろう」
これぞこれぞ現代の社会問題の一つ、飼い主の無責任問題とかとかw
ペットを飼ったら最後まで面倒を見ましょうね! ・・・といっても、このラルゴンたちはカラクリロボットだったのです。
もっと言えば・・ただのゲームデーターにすぎない。
まぁ・・とにかく、廃棄処分するぐらいなら、人にあげた方がマシなのですね
そんなわけで・・・" からくりラルゴン "は丁寧に箱詰めされた上に お中元の【のし】まで貼られ・・メール転送されることになったのだ。
そう、友人登録している全てのプレイヤーの元へ・・・
そしてもちろん、邪神の使徒でもあるノアも、友人登録されていた。
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どういう理屈なのか不明であるのだが、
そのお中元セットはMMO内のアイテムにも関わらず、実体化した形で異世界に送られたのである。
まさに摩訶不思議!
"" ピンポーン! ""と・・・
ノアの脳内で、こだまするチャイム音。
これは・・命の恩人の音だ!
ノアにとって、なつかしく心地よい音色。
「あっあああ~邪神様だ! 邪神様からの信託に違いない!」
ノアは目を潤ませながら、「ステータス開示」と呪文をとなえると、目前に浮かび上がるウインド画面。
そこには・・・
"" お中元、日頃の感謝にこたえ、心ばかりの品、ラルゴンでございます ""
・・という謎表示とともに・・・手元に現れる黒い影があった。
「これ・・・神託なのよね!? でもお中元って何!? ラルゴンって何!? どういうことなの!?」
ノアにはさっぱり分からない。意味不明である。
送り元の表示には・・" コーヒーチョコケーキ "と書かれているので邪神様からのものには違いないし・・
何かが送られてきていることだけは理解できる。
そう、その黒い影から現れた物体とは・・・
"ラルゴン"と呼ばれる心ばかりの品、モフモフで可愛い小柄な動物だったのだ!
見た目は・・・まるで子タヌキ! なんとプリティ! 癒されてしまう!
某異世界での通称は・・・" からくりラルゴン "
動物であって動物ではない。機械仕掛けのからくり動物!? または一種のぬいぐるみなのか!?
「えっ!? これが邪神様から送られてきたラルゴン・・・君なのね」
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)