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ここは呪界の森


どでかい斧、'まさかり'を構えた熊のような巨漢・・それが'孤狼団'の(かしら)ゴルモンだ!

彼の姿はまさに悪の首領そのもの。まるで絵に描いたようなステージボス!


そんな悪の象徴に立ち向かうのは・・・御令嬢ドレスを身につけた美少女(男の娘)たる公王イジャル!

動きずらそうなドレスを身に纏いながら、剣を構えるその姿は、場違いというか、ちぐはぐ・・


だがゴルモンは警戒する。生存本能が訴えかけてくるのだ。


目前の令嬢は・強がって剣を構えているわけではない。

その眼光、気迫、構え、太刀筋・・かなりの手練れだ。


「こいたぁ! あなどれん ただの女じゃないぞ」


ゴルモンは両手で'まさかり'を握りしめ、重心を低く落とした。


これは・・真剣勝負の戦い! やるかやられるかの世界なのだ。




一方、対戦相手のイジャルも・・腹に力を入れ覚悟を決めた。

目前の巨漢は・・まるで熊! 強力な腕力に・・凶悪な'まさかり'

パワー型の戦士・・相手に不足なし!


両手で柄を握るイジャルは、わずかな冥想の後、波動が放出され・・剣先が静かに舞い上がった。

これが極意、蘭影流、三日月殺法!


イジャルの眼光は鋭く・・月光のように輝いた。

そして、彼の姿が掻き消えたと同時に・・剣先が大きく空を切り裂く。





ゴルモンは焦った。敵の・・あのドレス女が視界から消えたからだ。

しかも、彼の生存本能が訴えかけてくる。後ろに下がれと!


ゴルモンはその本能に従い・・僅かにのけ反った瞬間、その鼻先を剣先が切り裂いた。

実にヤバかった! この女はやばい!

焦るゴルモン!


イジャルの放った第一の剣撃を、なんとか躱したものの・・彼に安心などはない! すぐに第二撃が迫ってきているのだ。

速い! 素早い剣さばき

パワー型のゴルモンと違い、イジャルはスピード型なのだ。


イジャルの放つ第二撃・・避け切れない! ならば受け止めるべし

ゴルモンは'まさかり'を横に滑らせながら・・迫る剣先に一手をかける。


ガキィィン!


互いの刃先が交り合い激突! 火花が散る!

そしてゴルモンは素早く体重をかけ・身体全体を前に押しだし・・'まさかり'をテコのようにしてイジャルを吹き飛ばした。


「うっ、僕を・・・!」


両者の体重に違いがあり過ぎた。

イジャルは・・あまりにも軽いがゆえに、簡単にはじかれ空中を舞ってしまう!

だが、あわてない!

彼はスカートをはだけさせながらも、身体をコントロールし無事に着地した。

ちょっと恥ずかしいが・・・さほど気にすることもないだろう。


ただし・・・公王イジャルを助けようと駆けつけて来た兵士たちによって・・スカートの中身を目撃されている。

そして なんとなく目を反らし、見ていないことにしたw



そう、兵士たちが駆けつけてきたのだ!

ゴルモンを包囲するがごとく!


いよいよ年貢の納め時か!?

だがゴルモンは諦めない!



再び・・"疾風乱撃"!

ゴルモンは体をねじりながら、'まさかり'を横へと振り回そうとしたその瞬間!

黒い物体が体を覆った。


そう・・ノアのチョココーティングだ。

チョコのネバネバで身体の自由を奪う魔法。甘い香りに包まれながら、強い粘着力で・・もう動けない!


・・・・のはずなのだが、このゴルモン!

驚異の馬鹿力でチョコから脱出し・・・後方へと下がった。

ただし・・この脱出の際、ゴルモンの手から'まさかり'を落としてしまったようだ・・彼は手ぶらとなる。

武器だけは・・チョココーティングで奪い取れたのか!?



いや、よく見ると・・「おいおい まじかよ!」

裸だ! 全裸だ!  その姿、もはや人間をやめて原人になっている。


どうやら、このチョココーティングによって 身につけている派手な鎧と凶悪な武器をからめとったのだろう。

しかし、本体はすり抜けたw 身体まで絡み取れなかったのである。


そう・・・まさかの展開!

ある種の身代わり戦法なのか!? または脱皮!? 

兎にも角にも、ゴルモンはすっぽんぽん! 全裸で脱出したのである。




そして・・チョココーティングを放ったノアは・・目撃してしまった。

そう、ノアは見た・・直視した。見てはならないものを見てしまった。

ついでにコサミちゃんも見たようである。


「えっえええ ちょっと なんでこんなところで・・・」


ちょっと赤くなる二人



そして・・同じくゴルモンもあせる!

これは・・はずかしい! 盗賊団とはいえ全裸は恥ずかしすぎた。

しかも武器がない。鎧もない! 何もない! 


「くそっ どうなってるんだ!」


ゴルモンは走った。逃げた。全裸で・・まるでネアンデルタール人(偏見) 少々毛深いですからね


そんな全裸男を後ろから追いかけるキヨウラ兵たちだが 半分真剣さを失っていた。

武器もなく鎧もない完全無防備男を相手に・・戦意が沸かなかったからだ。


だが・・盗賊団の首領は、必ず捕縛しなければならない!

イジャルでさえ・・笑いをこらえながら、全裸男を追いかけていた。


「こ・・これは傑作だ! 全裸で・・ぐっふふふ」




とりあえず・・盗賊団主力50名は壊滅させた。

ゴルモン以外の盗賊は・・死体になるか、または捕縛していたのである。


後は・・秘密の(隠れ家)に兵を差し向ければ、簡単に食料を奪取できるだろう。


(隠れ家)の位置については・・・猿たち影忍の活躍によって調査済みである。

しかも守備をしている盗賊の人数もごく少数だという。簡単に降伏するだろう





一方、全裸姿の巨漢・ゴルモンは、森の奥へ奥へと・・逃走していた。

文字通り全てを失ったからだ。本当に何も持っていないw


「くそっ くそっ くそっ!」


後方から、執拗に追いかけてくるのは・・・あの令嬢(イジャル)に加え、剣を携えた兵隊たち。

取引関係のある有力者(貴族)の兵士なら・・なんとか買収できるのだが、あの兵士たちが所属している領主・・鎧や旗に刻まれている家紋など知らん! 

どこの領主なのだ!?


いや、まてよ!? 以前、ちらっと見たことがあるぞ。

藤の絵柄の家紋・・キヨウラ! キヨウラの家紋なのか! 王国から独立したキヨウラ 

そうなると・・もしや奴らの狙いは、我ら盗賊団の食料・・・



なんてこった!

この時、ゴルモンは罠だと知った。


「俺があの時・・どついたあの若造の言う通り・・・罠だったというのか!

なんてことだ! だが俺は諦めん! 逃げきってやる!」


ダッダダダダッダダ~


全てを失ったゴルモン! 野生児となり・・・駆け走る。



-- -- -- -- -- -- -- -- -- --



この森の名は呪界の森(じゅかいのもり)、近辺に住む住民たちにとって忌むべき場所、たいへん恐れられている忌み地なのだ。

では、なぜそんなに恐れられているのか!?


そう、それはこの森にまつわる伝説があったからだ。


いかなる理由があろうとも・・男性が全裸で森を走ると・・森の女神に見染められてしまい・・(うっふふふ♡)、連れ去られてしまうという。

"女神フォレスト! 連れ去り全裸伝説"


そして今! その伝説の真偽が明らかにされようとしていた。



にわかに森が騒めきだした。空は雲一つない青空なのだが、雷鳴が轟く!

走るゴルモンは・・・わずかに異変を感じた。


「なに、雷!?」


彼は目線を少し空へと上げた瞬間! 眩しき光につつまれ・・・そして、その姿を掻き消した。



その後方から追尾していた公王イジャルは・・その現実を目にしたのである。


鋭い光が・・・地上へと落ちていく。

あれは雷であって雷ではない! 光の束のような・・・何かがあの全裸男を包み隠したのだ。


「なに!? 魔法なのか!? 奴め!」


イジャルは悔しがったが・・・見失った以上、追いかけることはできない。

一応、付近を捜索したが、やはり見つけることができなかった。




その後・・この森の名とその伝説を聞いて・・・イジャルは半分は理解し、半分は疑うことになる。

「う~ん 信じられん。女神ね~!?」


「まぁ そういうことはあるかも」

ノアの意見である。


「ぜ・・・ぜんらで 男の人が、は・・はしる!?」

コサミちゃん、顔を赤らめながら・・ちょっと興味ありげ!? 


『 女神っすか!? 神じゃないと思うっすよ  』

シルンちゃんの冷静な意見をぽそり





-*- - - - - - *-


夢の無い話なのだが・・・森の女神など、初めから存在はしていなかった。


そう。ゴルモンが消えた理由は、この森における超自然現象、いわゆる時空の歪みが原因だったのだ。


この森の奥深くにある源泉、魔力溜まりから発生する波動が時空に干渉し歪みを生じさせる。


しかも・・その歪みは 男の全裸!?と合わさり、何らかの相互反応おこした。

そして・・・ゴルモンはこの世界とはまったく違う・・・別の世界へと飛ばされてしまったのである。



そこは某地球の某日本・・某広島!?

全裸姿のゴルモンは、なぜだか・・原人または亜人と化してしまう。

そして・・現地の人達から、ラルゴン(未確認生物)と呼ばれ、

火を噴く筒に撃たれまくりながら・・・山中を逃げまくることになるのであった。


「ど・・・どうなってんじゃゃゃ!? ここはどこだ~」


全裸で巨漢・・それはまるで熊、いや! 雪男!? いや ビックフッド!?

未確認UMA扱いにされ・・・人間認定されず山中を彷徨い、そして一月後、ゴルモンは帰らぬ人になった。


この世界の空気組成は・・・元の世界とは異なり、身体にとっては毒、危険な大気だったのである。

(ノアのいる異世界の人間は・・地球人と似ているだけで別の生物なのです)






--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)




昭和45年頃、広島県比婆郡付近で出没したという未確認生物ヒバゴン!

猿人、原人、雪男もどきとやらで、かなりの話題となったそうである



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