森の巨漢ゴルモン
王女なのに御令嬢!?を演じるノアと、女装している絶世の男の娘イジャル公王
その他 コサミちゃん、シルンちゃんを乗せた豪奢な馬車と多数の荷馬車隊は・・・
呪界の森と呼ばれる忌み地の中を突き進むのであった。
彼女たちは?!・・盗賊ホイホイ的・囮部隊!
盗賊に襲ってもらうのが・・主目的なのだ。
そして・・そんなノアたち馬車隊を木々の隙間から、虎視眈々と睨む多数の黒い影!
そう、彼らは盗賊団
その一端が さっそく引っかかったのである。
そう、この森を根拠地とする盗賊組織'孤狼団'は不審な侵入者・・・・
豪奢な馬車に令嬢、そして大量の荷物を運ぶキャラバン隊を視認したのだ。
だが、その存在はあまりにも不自然、あざとすぎる。
そもそも・・・こんな山奥、本街道から外れた山道に あれだけのキャラバン隊がやってくる理由などない。
この付近に村や町もないのだ!
「お頭! あのキャラバン隊・・あまりにも怪しいですぜ 罠にちげえねぇ」
・・・などと青二才の若造が口走った瞬間、盗賊団のお頭・ゴルモンは、そんな若造を思い切り蹴り上げた。
「俺はな! かしこぶる青二才が嫌いなんだよ!」
「す・・すいやせん、お頭!」
このゴルモンは自己中心的な人物、他人の意見を聞くのが嫌いなのだ。
特に若造の意見など聞きたくもない
そもそも盗賊団というものは・・奪い、犯し、殺すことこそが根幹!
罠があるかもしれないと言って、消極的な行動などありえない。
何があろうとも突進! 突き進むべし
それに、あんなおいしい獲物が目の前を通るのだ!
美しき令嬢に・・大量の物資・・奪ってくれと言っているようなもの!
盗賊団としては無論の事・・・襲うべきである。
「お前ら! 準備は出来ているだろうな! 恐れるな! いけ! 強奪の時間だ!」
'孤狼団'の頭・・ゴルモンは勢いよく立ちあがり走りだした。
その姿はまるで疾走する猛獣・・成人男性の二回り以上はデカく威風堂々とした巨漢!
しかも、派手な鎧に、巨大な斧・・通称"まさかり"を携えており、まさに絵に描いたような盗賊団の首領だった。
ゴルモンは走る! 駈ける!
"まさかり"を肩に担ぎ、疾走する。
そしてその猛獣もどきのゴルモンに続き、盗賊団50名も一斉に走りだした。
もちろん、目的は襲撃、略奪!
弱者は死すべし! 強き者の獲物となれ!
うおおぉー うおぉぉぉー うぉぉぉ
野郎どもの雄叫びが・・森を揺るがす
そう、ついに始まった! 盗賊たちの襲撃タイム
ノアやイジャル君にとっては・・待望の戦闘ターンなのだ~
『来たっす! 』
「来たか!」
「来ましたね!」
ノアの索敵、サテライト魔法によって・・盗賊たちの動向は、ばっちし把握していた。
身を隠している場所から、その動き、仲間同士のいざこざまで、全てを監視していたのである。
そして・・・大柄の巨漢を先頭に、こちらへと突っ込んでくる姿も確認済みなのだ。
「さて、お仕事を始めますか!」
ズドォォゴォォンドッドド ドドド
炎が吹き上がり・・・・たけだけしく荒れ狂う。
ノアが放ったコーヒーバブルボムが地面を大きくえぐりとり、大爆発が発生!
そこへコサミちゃんの大技、アイスジャベリンを撃ち放つ。
熱と氷を織り交ぜた多彩な攻撃!?・・・蒸気が発生し・スモークが地面を覆う。
そこへ美しき少女・イジャル公王が木の枝を利用し・・空へと舞い上がった!
スカートをなびかせ・・丸見えを気にせず、隠し持っていた鞘から剣を抜き・・盗賊たちに向けて一閃を放つ。
このいきなりの攻撃に、盗賊団は混乱に陥った。
奇襲を仕掛けたはずが、逆に奇襲されたのだ。
しかも、荷物満載の馬車内に潜んでいた兵士たち、100名ほどが一斉に飛び出し・・剣を片手に駆け走る。
もちろん・・これらの兵士たちは、キヨウラ公国軍、しかも精鋭部隊なのだ。
更にこれだけではない!
森の周辺に伏していた公国軍15000も同時に動き出す。
盗賊団50名を・・・15000の軍勢で襲い掛かるのだ!
まさにオーバーキル、巨象が蟻をふみつぶすがごとく
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「なんじゃぁぁぁこりゃぁぁあ」
'孤狼団'の頭・ゴルモンは唸る。
熱風が周囲を包む!
蒸気が噴き上がる!
スモークに覆われ視界が遮られ・・敵も見えないし、味方も見えない!
しかし、これしきのことで怯むわけにはいかないのだ!
俺は'孤狼団'の頭にして、偉大なる剣士ゴルモン。
天下に覇を唱える者なのだ。
逆らうものは容赦しない。何もかも吹き飛ばしてやる!
ゴルモンは巨大な斧・'まさかり'を構え、体をねじりながら、横へと素早く一閃する。
その一閃はまるで突風、凄まじい速度! 空気が押され圧縮・・・真空空間を作り出した。
ゴッゴゴゴゴコッッッ!
吹き荒れる旋風は・・空気そのものを舞いあげていく。
スモークは消え、木々はしなり、全てのものを吹き飛ばす。
それはまるでトルネードか!?ハリケーンか!?
'まさかり'の一振りによって作られた人工災害
それがゴルモンの必殺技・・"疾風乱撃"
「なんて・・魔道 いや! 剣技か!」
イジャルは・・・目前にいる巨漢の荒業に驚き刮目した。
「「どわぁぁぁぁぁぁ」」
キヨウラ公国の兵士たちは叫ぶ!
そう、この疾風によって吹き飛ばされたのだ! いや、盗賊の人たちも一緒に吹き飛んだ!
敵も味方も関係ない! 誰であろうとも吹き飛ばすのみの・・無差別剣法!
この凄まじき疾風でも立ち続けたのは、"疾風乱撃"を放った当の本人・・ゴルモン。
そしてもう一人、地面に剣を突き刺し、アンカーがわりにして疾風を耐え抜いたイジャル!
一方ノアは、咄嗟にチョコアーマーを発動し、身体を守ったものの、突風に足をとられ・・ズルズルズル・・・吹き飛ばされてしまった。
幸い、チョコによる身体強化をしているおかげで、大木に激突したものの、怪我はしていない。(普通なら大怪我でした)
コサミちゃんも同様に怪我はないようである。
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'まさかり'を構えた巨漢・・まるで猛獣、巨大熊のような姿のゴルモンに対して・・果敢に立ち向かうのは令嬢ドレスで身にまとい、剣を構える公王イジャル(♂)
一見すると、まるで美女と野獣!
ただしミュージカルではない。ここは戦場なのだ。
「ほぉおぉぉ これはぺっぴんな女だ! しかも剣の心得もあるとな! だが俺には勝てんぞ!
死にたくなければ、そのドレスを脱ぎな! ぐぅふふあっははは」
盗賊らしい・・卑猥で下劣な発言!
ゴルモンは目前の少女を女だと勘違いしていた。
・・・というか、どうみても見た目は少女というか、絶世の美女なのだ。
間違うのも無理はない。
「僕より弱い奴に素肌を見せるつもりなど・・ない!」
あざ笑うかのように言い放つ少女の白い眼光に・・ゴルモンは恐怖を感じた。
なぜ恐怖したのか!? 理由は分からない。そう、分からないのだ。
だが・・生存本能が警報を鳴らしている。
「奴はやばい! こいつぁ ただの令嬢じゃないぞ!」
ゴルモンは・・戸惑いながらも目前の少女を強敵認定!
両手で'まさかり'を握りしめ、重心を低く落とした。
戦闘態勢を整えたのだ
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)