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盗賊狩り


王都ルヴァ攻略を目指すキヨウラ公国軍15000の軍勢が・・突然、その歩みを止めた。

・・・と同時に、数十名の魔導師たちが前列に現れ、ずらりと横並びとなる。


彼らの動きは実に素早く、まさに軍人そのもの。

しかも両手に握られている魔法の杖からは青白い光が放たれており・・・いつでも撃てる状態となっていた。


そして、おもむろに号令が掛けられる。

「撃ち方始め」


シュゥウゥゥ―


短く乾いた音が鳴り響いた後、空へと舞い上がる多数の青白き光弾!

花火のように美しく光・・・弧を描きながら、森林地帯へと落下していった。



それはいわゆる・・魔弾!

魔導師たちが放つ爆発性の攻撃魔法なのだ。

そう、公国軍にとって疑わしき森林地帯を焼き払う目的だったのである。



ズトドオォォォォンン


森は燃え上がった! 

噴き上がる炎、渦巻く煙、轟音、地響き! そして悲鳴!?

逃げる動物たち・・逃げる魔獣たち(ゴブリン) 

そして、兵士の姿をした人間



ノアたちからの手旗信号・・(敵の伏兵発見)の報告を受けた公国軍は・・敵が潜むという森林地帯付近にむけて、先制攻撃を仕掛けたのであった。



-*- - - - - - *-


ここは・・カイラシャ王国の王都ルヴァから西方150ロキル(キロ)の平原地帯。

その地において・・・この付近の領主、セタ伯率いる400名の兵士たちは、キヨウラ公国軍による先制攻撃によって脆くも撃破されてしまった。


セタ伯は・・かつての戦争で、敵軍1万を僅か200名で翻弄、撃破したゲリラ戦の専門家・・

今回も同じ手口を使い・・伏兵による襲撃、その後のゲリラ活動によって公国軍を足止めするという計画のはず・・だったのだが


しかし、そのセタ伯の伏兵部隊はキヨウラ公国軍・斥候部隊によって発見され、即座に攻撃、粉砕されてしまった。

奇襲するはずが・・奇襲されてしまったのである。


ちなみに・・その斥候部隊とやらはノアたち、空飛ぶ箒組のことであった。



まさかの空、上空からの監視!

セタ伯側からすれば、「そんな馬鹿なことがあるか!」と叫ばれるだろう。


ちなみに・・森の中で倒れていた敵司令官セタ伯は捕縛している。

怪我はしていたが、命に別状なし。

あれだけの飽和攻撃で生き残ったということは それはそれで才能であろう!



その後・・治療費という名目で、セタ伯から身代金を要求し・・せしめる事に成功している。

これで少しは軍資金の足しになるであろう。

(実は焼け石に水だったりする)



「う~んっ そんな身代金より食料、物資の方が良いのだが・・・」


これは・・イジャル公王と共に従軍している内務総長アランスの呟き


そう、軍の物資は不足気味なのだ。

特に食料問題は深刻、兵士たちの士気にも関わる重要問題である。


中世時代の定番・・現地調達(略奪)をしなければ王都ルヴァに辿り着く前に、軍が瓦解しかねない。

そんなアランスからの通告を受け、イジャル公王は眉をひそめた。


「やはり手を汚さねばならないのか!」


略奪を臭わす公王の発言にアランスの視線が鋭くなる。


だが、アランスは内務総長・・その立場から言えば略奪も仕方がない。

無い袖はふれない。ある所から引っ張りださなくてはならないのだ。

そう、たとえて言えば物資が豊富な町から・・・


「・・となれば、この付近では交易都市ツイガルが狙い目ですか。」


そんなアランスの発言に・・・イジャル公王は首を振った。


「アランス君・・・君は何か、勘違いをしてるのではないのか!?」


「んんっ!? 略奪では?」


「それはまだ・・時期尚早だな、とりあえずこの資料を見てくれ」


イジャルはアランスに・・影忍たちからの報告書を見せた。


その報告書はかなりの分厚さとなっていたが、心配するなかれ・・

1ページ目に要約され、分かりやすく書かれていたのである。


' 非合法盗賊組織・孤狼団 'の内幕



猿たちの情報組織・影忍たちは、ペットや伝書猿に扮し・・盗賊組織' 孤狼団'に潜入!

その内情を細かく調査していたのである。


-- -- -- -- -- -- -- -- -- --


盗賊の数はおよそ50名、 (かしら)の名はゴルモン、かなりの巨漢、武器は'まさかり'

貴族階級や町の商人などの有力者数名が・・この盗賊団との取引あり。

警備隊からうまく逃げ切っているのも・・この有力者たちによるものなのか!?


-- -- -- -- -- -- -- -- -- --



などなどの調査の中で、もっとも重要視したのは、彼ら盗賊団によって貯め込まれた食料だった!

しかも・・かなりの量を森の中、秘密の隠れ家というべき砦に保管しているという。


おそらく、戦乱による食料不足や値上がり高騰などを見越してのことだと思われる。

ちなみに、この食料の大半は非合法な手段によって手に入れたそうだ。

略奪、盗み、脅迫などなど・・



「ふっふふ 我らキヨウラ公国軍は、人民のため、悪逆非道な盗賊団を壊滅させようじゃないか」


イジャルの顔に影が差し・・口元だけが怪しく笑う。


「いいですね! これなら・・後ろ指をさされずに済みそうです!」


「そうだろ! そうだろ! 僕たちは正義の味方なのだよ! だから・・食料ぐらい大量にもらっても悪くないはず」


イジャルとアランスの悪だくみ!?は・・即座に実行されることになった。


盗賊組織' 孤狼団'の 秘密基地(隠れ家)は進撃する公国軍の北側に位置する。

そこで一旦、王都攻略を中止し・・全軍、北へと転進するよう命じるのであった。



ちなみに、兵士たちには・・北への転進理由は一切話さない。情報もれの危険性があるからだ!



-*- - - - - - *-


本街道を外れ、荒れた山岳路を進んでいくと、やがて森林地帯へと入り込む。

そこは・・通称 ' 呪界の森(じゅかいのもり)'と呼ばれる場所だ。

一歩でも足を踏み入れれば、その身に呪いがまとわり付き、二度と出られなくなるという恐怖の森、または忌み地。

地元の者は誰も近づかない。



・・・ということになっていたが、真実は違っていた。

この森に入り込んだ旅人たちは・・・呪いではなく、盗賊団の獲物にされてしまう。

命も所持品も奪われ 遺体は・・土の中へと捨てられる。

ここは盗賊団' 孤狼団 'の住まう地、関係者以外・・この地に入るなかれ!




「・・・という話らしい♡ ほっほほほ」


『怖いっすね! 怖いっすね!』


豪奢な馬車に揺られながら・・・扇子で口元を隠し、御令嬢のドレスを着て、御令嬢の真似事をしているのは・・気品もへったくれもないノアw

(元王女で・・正真正銘の令嬢なのだが、そんなことは記憶喪失で忘れている)

そして・・その令嬢もどきの肩に乗りモフモフしているのはペット役のシルンちゃん


その側では侍女役をしているコサミちゃんは不安そうに、窓の外を見ていた。

そう、窓の外は鬱蒼とした呪界の森(じゅかいのもり)が広がる。地元の者は誰も近づかない忌み地

・・・そして、そこには盗賊団たちの隠れ家が存在していた。



このノアたちは・・・いわゆる対盗賊の囮部隊、いわゆる盗賊ホイホイなのだ。


身分の高そうな女性たちが乗り込む豪華馬車の前後を、荷物を満載した馬車が数台つらなっていく。

護衛役などはおらず・・馬車一台につき御者が一人だけというキャラバン隊なのだ。


( 身分高そうな令嬢に荷物満載・・あげくに、あからさま過ぎるほどの無防備、護衛の人がまったくいない。罠や囮だといぶかりそうだ )



-- -- -- -- -- -- -- -- -- --



ノアたちがターゲットとするのはこの森の盗賊・・' 孤狼団'が抱え込んでいる大量の食料。

・・・影忍たちからの報告によると、その食糧は森の隠れ家・・秘密の砦に保管しているという。


欲しい! その食糧は・・ぜひとも欲しい! 

戦争に勝つためには・・・絶対に必要なものなのだ。


それに、相手が盗賊なら・・正義の旗の下で 堂々と奪い取れるではないか!

なんて素敵! 犯罪者に人権無し、撲殺し放題! 


暗黒面に片足を突っ込むノア・・悪い顔になっている。



ならばならば、キヨウラ公国の黒幕(裏ボス)たるうち(ノア)が、自らの体を張って囮となり・・そして成敗してくれようぞ

あと、ついでに言うと・・・


「決まってるでしょ! うちらは可愛いのでw 盗賊の引き寄せ囮役にぴったしなのよ」


ノアはキメ顔となり、無い胸を一生懸命にそらした。

なんとなく哀愁を漂わせているが・・本人としては強さのアピールらしい。




一方・・イジャル公王としては、囮役をノア様にやらせたくなかったのだが・・断りきれなかった。

そう、彼女の強い要望(容貌)だったからだ


あと、ついでにいうと、ノア様の座る席の対面で、同じく令嬢姿の(イジャル)が座っていたからでもあるw

(公王自ら、女装し囮役なんてするのだから、僕がノア様にとやかく言える訳がない)



-- -- -- -- -- -- -- -- -- --


ちなみに・・・どうして公王自ら女装して出張ってくることになったかというと・・・!?

そりゃぁ この作戦が重要だからだよ! ここで食料を奪取しそこねると・・軍の維持が出来なくなるからだ。

・・・という建て前のもと、ちょっと剣であばれたかっだたけであるw


-- -- -- -- -- -- -- -- -- --


「ほんと! イジャル君って似合うよね・・・その姿、というか・・嫉妬する! ものすごく嫉妬する!」

ノアはなんとなくイジャル君を睨む。そしてコサミちゃんは、ほのかに顔が赤くなっていた。


「不本意ながら・・僕、女装に自信があります」


イジャル16歳・・・なんとなく女装癖に目覚めかける(可愛いので問題なし)




ちなみに・・イジャル公王の女装姿を見た家臣たちは、ドン引きしまくっていた。

特に 内務総長のアランス君は、口をあけたままパクパク・・声が出ていなかったようである。

エル兄弟は互いに「マジか!」と連呼していた。


そう、この馬車内で最も目立つ・・美女の中の美女(男の娘)、盗賊ホイホイにおける最大の餌!?

そして、ノアはイジャル君をガン見し・・美女ステータスで男の子に負けたというショックを受けふさぎ込むのであった。


「なんで~!」



--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)


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