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ヴルティリア帝国、新たなる歴史が開幕する



キヨウラ公国との戦いで、皇帝ユゼンは捕らえられ、

ヴルティリア帝国は・・事実上の敗戦をしてしまっていた。



だが、世間的に・・または外交的には、キヨウラ公国との戦いなど、無かったことになっているのだ!

ましてや、敗戦なんてしていない。絶対にしていないw 


いやいや! それどころか、魔獣たちの大暴走・スタンピートの災厄を公国軍と共に防いだのだ。

そう、公国との戦争なんてフェイク! そして真実はその真逆!

互いに友好関係を結び、スタンピートの災厄に対して、共同し戦った戦友ということに世間的にはなっている。


「我々は・・・友好的なのだ」


ヴルティリア帝国皇帝ユゼンとキヨウラ公国公王イジャルは・・固く握手を交わした。




だが、現実の事象として、間違いなく帝国は戦争に負け、敗戦をしてしまっている。

虚構は虚構・・・決して事実にはなりえない。


そう、皇帝ユゼンとしては、もう・・・後がないのだ。

この事実が帝国議会に知られると、おそらく反皇帝派の議員たちは、ここぞとばかりに、厳しく弾劾をするであろう。

"" 敗戦の責任問題やら、その隠蔽工作、その他もろもろ ""

・・・そして、皇帝権力の弱体化を図ろうとする。


もはや、やるしかない! あの俗物どもを帝国から排除せねばならないのだ。



・・・とういうわけで、皇帝ユゼンはキヨウラ公国に対して・・とある依頼を頼む事になった。

建前上の依頼ではなく、本当の依頼!


しかも厳密に言えば、公国への依頼というよりは・・・あの忌まわしき魔導師少女(ノア)への依頼となる!


皇帝ユゼンにとって なんという屈辱なのだろうか!

あの少女に足蹴りされた怨みは 決して忘れはしない。

とはいうものの・・ここはあえて耐える! 


自分の私情など 帝国の将来のことを考えれば、些細な事!

わだかまりがあるが、仕方がないのだ!



忌まわしきとはいえ・・あの魔導師少女の魔導能力は・・まさに伝説級!

そう! 彼女は空を飛ぶことができる。


神話、または昔話でしか語られないような飛行能力を有していた。


足蹴りされ、侮辱され 性格はアレであろうと・・・彼女の優秀さは間違いない!



「余は・・・ノア殿のお力を借りたい」


屈辱、恨みを腹の奥底へと押しこませ・・・清々しいほどの作り笑顔をノアに注ぎ込む皇帝ユゼン(友好アピール!)


それに対して・・・おもわず心拍数を跳ね上げてしまうノア!

可愛い男の子好きのノアでさえ、皇帝ユゼンの笑顔に魅了されてしまったのである。

(皇帝の見た目は可愛いの真逆、怖顔なのに・・)


「な・・なんでしょうか!?」


「我が帝国の危機を救ってほしい。ノア殿の魔導能力が必要なのだ」


「んっ!?」

怪訝な表情となるノア・・いったいどういうつもりなの!?


いや、ある程度、帝国の内情についての情報は聞いているので、大体の予想はつくのだが・・・

それにしても、よそんちの国の危機といわれてもね~ 困るのだよ!






その後・・・公王イジャルを含め・・様々な話し合いがされているうちに・・

なんだかんだと言いくるまれてしまい、皇帝ユゼンの依頼をノアは受託してしまう。


ノアが依頼を受けた理由の一つに・・皇帝ユゼンの笑顔パワーに押し切られてしまったともいえた。

また、別の側面として・・・皇帝を足蹴りしてしまったことへの後ろめたさもある。


「うっ 帝国との友好のため・・・なのね! それに・・足蹴りの罪滅ぼし・・・ぬっぬぬぬ」



これは・・・これから起きようとする帝国の内戦に対して、キヨウラ公国は皇帝ユゼン陣営を支持するということを意味し・・・

そして、皇帝ユゼンにとっては、キヨウラ公国との友好関係を築くことで、背後の安全を確保することにもなる。





◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇


目前に広がる兵士たちの海、皇帝ユゼンは4万の兵士を前にして・・声高に叫んだ。


「皆の者! ついに戦う時が来た。歴史を変える時が来た! 帝国にはびこる不正を排除し、あの俗物どもを誅伐するのだ!

我に続け! 正義執行の旗を掲げよ 我らの勝利に間違いなし 」


すると それに呼応するように、兵士たちは立ち上がり、片手を突き上げた。


「「ウォー!ウォー! 帝国に正義を! 悪人に罰を!」」


彼ら兵士たちは皆・・皇帝ユゼンの発言に対して賛同の意を表した。

帝国議会よりも・・皇帝を支持したのである。


そう、彼ら兵士たちも・・この議会議員の横暴に苦しめられていたのである!

無用な重税、不正、圧力、選民思想、パワハラ・・・潜在的火種を幾つも抱え込んでいたのであった。


-- あの俗物利権屋に天罰を! --




皇帝ユゼンは兵士たちが賛同してくれないのではないかと危惧していたが・・・それは杞憂に過ぎなかった。

兵士たちは皆、皇帝に賛同し、議会への反旗に同意したのだ。


皇帝ユゼンは安堵し、満面の笑みで片手を突き上げた。


「出撃せよ! 我々が歴史の実行者なのだ!」


ウォー! ウォー!


そばに控えていた参謀長のダンテルは、ほっと一安心・・胸を撫で下ろすのである。




-*- - - - - - *-



リューム降誕暦680年・・・ヴルティリア帝国にとって、激動する時代の始まりとなる。


皇帝ユゼンと対立する帝国議員、すなわち帝国を支える有力氏族たちの資金源というべき荘園の接収、占領・・・

そう、武力を伴う手段を行使したのだ。

皇帝ユゼン率いる4万の軍勢による軍事行動が開始される。


(ちなみに・・ヴルティリア帝国の議員たちの多くは帝都にて居住しており・・・荘園の経営にはタッチしてはいない。

荘園の経営はおもに"地頭"と呼ばれている役人によってなされていたのであった。某異世界、平安・鎌倉時代風と思えば良いだろう)



まず、最初のターゲットは、最有力氏族のシャアル家・・・彼らの荘園を奪い取り接収! 皇帝直属の直轄領としていく。

次は・・・ネイリュ家、そしてセリュシス家


次々と荘園を奪う皇帝ユゼン!

当然、帝国議会、すなわち反皇帝派の議員たちは激怒する。

彼らの経済基盤を奪い尽くそうとするからだ!


ちなみに、この荘園の略奪、接収は議会の許可が必要であり・・・皇帝とはいえども背くことはできない。

つまり、違法行為であり、明確な犯罪なのだが・・皇帝ユゼンはもちろん無視する。


そう、これはクーデター、戦争なのだ!

反皇帝派議員への明確な宣戦布告でもあった。




---- リューム降誕暦680年 風月の中四日(10月14日) ----

ヴルティリア帝国の帝都ティリアの南方、バルバタの平原にて、皇帝ユゼン率いる皇帝軍4万は、各地から集結した反皇帝派・氏族連合軍7万に対して・・奇襲攻撃をしかける。

世に言う・・バルバタの戦い


その際、青い空を横切る飛行機雲を目撃したと言う。

そして同時に・・地面を揺るがす地響き、爆発音!


そう、氏族連合軍の本陣が炎に包まれ、白煙が噴き上がった。

氏族連合の首脳部を狙った・・・ピンポイント爆撃なのだ。


もちろん・・・この仕業はノアによる空爆。


しかし、この爆撃による損失は たいしたことはなかった。


そう、本陣を守る魔導師たちによって魔導障壁を即座に展開!

本陣全体を青白い壁で覆いつくし、人的被害を抑え込んだのである。



ただし、この凄まじき爆発によって氏族連合軍の兵士たちは・・激しく動揺!

腰を抜かし・・我先にと逃げだす兵士たちが続出したのである。


人的被害を・・ほとんど出さなかったこの爆撃なのだが、兵士たちの士気、やる気を、完全に奪い去ることになる!

そして・・氏族連合軍全体が総崩れとなった。



この氏族連合軍は、各氏族たちの寄せ集め、しかも兵士たちのほとんどが、無理やり徴兵された一般人なのだ。


もちろん、まともな訓練なんてされていない!

彼らに、武器だけ渡され・・いや! 武器さえ渡されていない兵士たちも数多くいたのである。

やる気なし! 士気もなし! しかも近くの村落を略奪してしまうほどのモラルの低さ! 夜盗に毛が生えた程度の兵士たちなのだ。


つまり・・・彼ら反皇帝派・氏族連合軍は・・・ただの烏合の衆だったのである。



それ故に・・・ノアによる空爆攻撃、そこから続く、皇帝軍の突撃によって、難なく氏族連合軍は撃破されることになった。

その後、逃げる氏族連合軍に対して執拗な追撃をしかける皇帝軍!


「余に逆らう俗物どもを、一人残らず地獄に突き落とせ」


皇帝ユゼンは吠えた!



追撃戦を始めた時点で・・ノアのお仕事は、ほぼ終わり、後はただの残党狩りとなるであろう。

もはや・・ノアの出番はないはずである。



上空からの空爆という簡単な!?お仕事ではあったのだが、皇帝軍にとっては多大な貢献であった。


皇帝ユゼンはノアの手をとり硬く握手、感謝を示した。


しかし・・・皇帝ユゼンの心中は複雑! 穏やかではない。

そう、決して足蹴りされた怨みは忘れない! 忘れはしないのだ!


・・・とはいえ、彼はそんなことを決して臆面にも出さない。

ニコニコ♪ 満面の笑みでノアに接したのである。




一方・・ノアの心情は、かなり気まずい・・・いや、恐怖なのだ。


皇帝ユゼンの笑みが不気味過ぎるのだ。

見た目は確かにさわやかで・・魅了されてしまいかねないのだが、ノアの魔導力が心の中で、"こいつは危険"と囁く。


ついでにいうと ノアを見る周りの兵士たちの目が冷めきっているというか・・殺意すら感じてしまっていた。


""分かるよ! 分かるよ! 足蹴りなんてしちゃったからね! 恨みを買いまくってることは分かっています♡""


ってなことで、そんな居心地の悪さから・・ノアは適度の挨拶と礼儀をした後、即座にここから離れることにした。



帝国のお仕事は無事に終わったのだが・・・・・ノアにとっての戦いはこれからとなる。

キヨウラ公国に迫るカイラシャ王国軍を、イジャル君とともに撃退しなければならないからだ!





ノアが去った後、ユゼン率いる皇帝軍は敵軍を次々と撃破、快進撃を続けていき

ついに氏族連合の中心人物、サイリュ・ドモンコを捕らえ首をはねた。


だが、これだけで戦いは終わることはない。

内戦は終了しないのだ。

帝国各地に居座る反皇帝派の氏族たちの数はまだまだ多く・・討伐の必要がある。


しかも、反抗的・・彼ら氏族たちは帝国北部に再集結、皇帝ユゼンの従兄にあたるルアンドを新皇帝と祭り上げたのだ


世にいう・・・ヴルティリア南北朝時代の始まりとなる。




--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)


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