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帝国との決戦



負傷した皇帝ユゼンを担架に乗せ・・・戦線から離脱する帝国軍本体3万5千。

この本隊を無事に撤退させるべく、殿(しんがり)部隊5千は公国軍と激突した。


「我らは・・ここで敵を食い止める! 皇帝陛下をお守りするのだ。怯むな! 戦え!」


帝国軍殿(しんがり)部隊に自ら志願した若き部隊長ラシバーンは叫び・・兵士たちを鼓舞する。


戦いは・・・一進一退!

矢の雨が降り注ぎ、魔弾が飛び交う。

魔導障壁によって守られつつ槍隊が突撃する! 激しい金属音!

槍の剣先が互いを交差した。



だが戦場は狭い街道・・・左右は湿地帯であるがゆえに迂回ができず・・戦術の幅を狭めてしまう。

正面きっての対決、熾烈な消耗戦を強いられるのだが・・・ここで大きく戦局が動いた。



ノアの空爆が始まったのである。


ズドォォォォゴゴォォォォン


いくつものコーヒーバブルボムが弧を描き・・帝国軍殿(しんがり)部隊の後方へと着弾した。

吹き飛ぶ瓦礫に石礫、そして兵士たち


白い煙が立ち込める中、悲鳴と怒号が飛び交う。

まさかの空爆・・・ここで帝国軍は、敵は正面だけではなく、上空にもいたことを認識した。





『 敵は混乱している様子っすね! でも油断はできないっす 』


空飛ぶ箒の先端にまたがり空中パネルを操作するシルンちゃん。

帝国軍側からの反撃に備え・・・イージスシステムはすでに稼働中である。

魔弾や弓矢程度なら・・・迎撃出来るはず! 防御面は完璧であろう。



そんなシルンちゃんの発言を聞き・・ノアは頷く。

彼女は呪文を唱え・・・バブルボムを撃ち続けていた


戦闘は開始されている。情けは無用! 徹底的に撃ちこむべし 

これは戦争なのだ。勝てば正義・・・・



そして、ノアの背中・・後ろでまたがるコサミちゃんも・・・戦いという現実を知ることになる。

"" ここは戦場であり・・・私はノア様の弟子であり臣下、ノア様と共に戦わねばならないのだ! ""


コサミちゃんは・・・心を鬼となし、眼下の敵に対して、特大魔法・・アイスジャベリンを撃ち放つのであった。





◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇



両軍の兵士たちは・・・火打石のごとく激しくぶつかり合い火花を散らす。


互いに槍を押し出し、叩き・・弾く

悲鳴と雄叫びが響き渡り・・・兵士たちの血肉が飛び散る。


一進一退の戦い・・・狭い戦場ゆえに勝負が決まらず、死傷者を大量に生産しつづけていた



そんな激戦の最中・・・帝国軍最前線部隊に動揺が走った。

帝国陣営の後方で、突如として噴き上がる白煙と轟音・・・そして 兵士たちの悲痛な叫び!


「 何が起きたのか!? 後方に敵でも現れたのか? 」


決死の覚悟で戦う帝国兵士たち・・彼らさえも、この状況に浮き足立ってしまったのだ。

しかし、それは仕方がないこと。


連続する爆音と、次々と舞い上がる瓦礫、白煙、あちらこちらにクレーターのようなものを作り上げていく。

公国軍の奴らは・・・正面だけではなかった。なんと! 上空にもいたのだ。 

しかも高火力の魔法を撃ちおろしてくる! 


もはやこれは恐怖! 今まで経験がないほどの危機! 

伝説でしか語られなかった空飛ぶ箒に乗る二人の魔導師が・・容赦のない攻撃をしかけてくるのだ。



多くの兵士たちは逃げ腰状態、いや! すでに逃げ出す者さえ現れはじめた。


部隊長ラシバーンはあらん限りの声をだして鼓舞するが,その本人でさえ動揺してしまっていた。





そんな帝国軍の状況を見て・・・チャンスと判断したのは公国軍司令官サリュマ。


「いける! 敵は動揺している。全ての槍を投擲しろ 投げ込め! そして抜刀せよ 全軍突撃だ! つっこめ!」


司令官サリュマの号令によって・・無数の槍が一斉に解き放たれ、弧を描きながら帝国の兵士たちを襲う!

もちろん、大部分の槍は・・・盾をかざし、防がれることになるのだが・・・その動作の隙をついて・・公国軍の突撃が開始された。


司令官サリュマ自身も、剣を抜き放ち、敵陣へとまっしぐら!

もちろん他の兵士たちも 負けじと続く。


司令官自らによる勇猛果敢・・または無謀な突撃によって、兵士たちの闘争本能に火をつけたのだ。


「つっこめ! つっこめ!」


公国軍による強行突撃で・・・帝国側の防衛体制が一気に崩壊・・士気も低下してしまい兵士たちは逃げ惑う。


それでも・・なんとか食い止めようと部隊長ラシバーンは叫ぶが・・・

そのラシバーン自身も、公国軍司令官の手によって切り伏せられてしまった。


「敵将・・・討ち取ったなり! 公国軍の勝利だ!」


敵将の首級がサリュマの手によって掲げられると・・・公国軍の兵士たちからの歓声が上がった。


「「ウォウォォォ!」」「「ウォウォォォ!」」




-*- - - - - - *-


部隊長ラシバーンが討ち取られ・・・帝国軍は完全に崩壊、烏合の衆となった。

そう、帝国兵は我先にと逃げ出したのだ。

レミングスの集団のように帝国の国境を目指して・・・




だが、公国兵たちよ! この勝利で安心するなかれ・・・

より戦果を上げるのだ!  


司令官サリュマは追撃を命じる。


「逃すな! 壊滅させよ! 一兵残らず討ち取るのだ!」


号令を受けた公国兵たちは・・・重い鎧を身につけているにもかかわらず疾走を始めた。

逃げる帝国兵を追いかけ、背後から切り裂き・・槍で討ち取る。

または弓矢、魔弾、火弾を次々と放ち・・倒していくのだ


「ぐぅあぁぁ」「や・・やめてくれ!」


街道のあちらこちらで響き渡るうめき声、のたうちまわりながら倒れていく帝国兵たち。

そして、死を悟り・・自決する者もいた。


それは・・まるで狩り!

動物を狩るがごとく、人を狩っているのだ


かつて帝国兵だった者たちの死体が・・街道を覆い尽くした


血の匂い・・肉片・・ちぎれた手足・・



「これは・・うちでも・・・きつい」

まさにこの惨状は地獄絵図・・・ノアたち、空とぶ箒組は、これ以上の追撃を中止し、一旦引き上げることにした。


これは・・ちょっと、ひどい!


サイコパスに片足を突っ込んでいるノアでさえ、鼻白んだのであった。

死体が散乱・・街道が赤く染まっている。

ちなみに・・コサミちゃんは完全に目を背けていた。






一方、イジャル公王率いるキヨウラ公国軍は 苦難のすえ山岳地帯を突破し、帝国領内へと侵入していた。

そう、帝国軍の後方に回り込んだのである。

公国軍の目的地はローラン、その地の占領を目指す。


ローランは公国領に侵攻した帝国軍の策源地であり、重要な補給拠点でもあった。

この地を掌握すれば・・・帝国軍本隊に強い圧力をかけることが出来るだろう。

兵糧攻めによって帝国軍を追い詰めることも可能なのだ。



だが・・・このローランに急行しているのはイジャル公王率いる公国軍だけではなかった。

負傷した皇帝ユゼンを護りつつ帝国軍本隊も、ローランを目指し退却を急いでいたのである。



そして、これら両軍はローランの町の手前で鉢合わせすることになった。


そう、その日の早朝は・・視界を奪うほどの深い霧が立ち込めていた。

全てが真っ白! 足元の靴さえ見えないほどだ。



それゆえに公国、帝国の両軍は行軍を中止し、一時的に休息を取ることにしたのである。

だが、その瞬間、両軍の兵士たちは愕然とした。

信じられない光景を目にすることになる。


そう・・・見なれない旗指物がずらりと並んでいたのだ。


公国軍も帝国軍も・・・まさに目前、手で掴める距離にまで接近をゆるしてしまう。

まさに晴天の霹靂、予期せぬ遭遇戦が始まろうとしていた。




この霧はおそらく・・近くで流れている河川の影響によるものであろう。

俗に川霧とよばれる現象。そう、あの有名な川中島の戦いと同じ状況なのであった。


そして・・・今回も砦攻略戦と同様・・白い霧に祟られてしまう帝国軍なのか!?




-*- - - - - - *-



イジャル公王率いる公国軍の戦力は8千に対し・・帝国軍は3万5千と圧倒的に有利なのだが・・・

そのトップたるユゼン皇帝は負傷し・・担架によって運ばれていたのである。



戦いは誰に命じられることもなく・・・各々の兵士たちの判断で開始された。

そう! 目前に敵がいるのだ! 先にやらなければ、殺される!


彼ら兵士たちは・・人間の本能に従い・・剣を抜き放つ、弓を撃つ。


もはや指揮系統など存在しない・・・目前の敵を排除することを第一としたのである。



これが遭遇戦・・・不意の鉢合わせ


わずかに霧が晴れてきているとはいえ・・・以前として視界は真っ白、両軍とも相手の戦力、規模などを把握していなかったのであった。






--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)



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