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魔導技師ヒラガ・ケールナイ



戸籍課の事務員たちを、恐怖におとしめるノア!

本人には、そんな意識はなく、一般人のつもりなのだが、世間的には危険人物扱い!

はっきり言って・・嫌われている!恐れられているw



だが、そんな事務員たちの気持ちなど・・・どこ吹く風、ノアはペラペラと登録簿をめくり良さげな人物を探していく。


あれでもない・・これでもない。

シルンちゃんや、コサミちゃんも同じく登録簿をめくって探す。


ぺらぺらぺら♪


そして、ノアの目が輝き・・とある項目に指さした



"" セェルン在住ヒラガ・ケールナイ(男)、魔導協会・元技術部技長 ""


経歴を見るとかなり優秀らしい。魔導具開発のエキスパート

しかも・・知る人ぞ知る有名人とのこと!


コサミちゃんも噂だけは聞いたことがあるという。


戸籍課の事務員に聞いてみたら・・このセェルンなら誰でも知っている著名人とのこと

( 顔を引き攣らせながら答えてくれましたw )


そう!彼・・ヒラガ・ケールナイ氏は、かつて世間を騒がした・・・あの魔導エレキテルの発明者だったのだ。


魔導エレキテル…それは、人の体内に溜まっている波動(魔力)を・・電気という謎の力に変換する装置。

かつてはその話題で世間を賑わせたものの、とある爆発事故で使用禁止となったという

どうやら・・兵器に転用しようとしたのが原因らしい!



『 そうすっね! 優秀な人物っす。期待できる人物っす!・・だけど、このヒラガさん、年齢が100歳超えっすよ! 』


「えっ!」


シルンちゃんに、そんな指摘をされたので、ノアは名簿欄の生年月日を見た。

リューム降誕暦574年生

えっと・・今年は680年だから・・100年以上前なのか!

詳しく言えば・・・106歳!? 

もちろん、この世界の平均寿命・およそ50歳を遥かに超えています


「うわぁ・・生きているの!? もはや歴史的人物」


すると、シルンちゃんの()がスルリとすべり、とある項目を指差した。


その項目は死亡欄であり、(チェック)が入っていない・・・ということは、つまり生存中!


『 生きてるっすね 』


「あっ、すごい! 長寿・・・いや、まてよ! 歳を取り過ぎてゴーレム解析の依頼なんて、無理じゃないのかな!?」


そんな疑問を抱いたのだが・・死亡欄の隣に書かれている注釈に、ノアの目が止まる。


" 若返り-見た目に注意 "


「えっ!? なにこれ」

若くなっている!? 不老長寿?!

マジ!? なにかの冗談・・・じゃないよね! 公的な登録簿に書かれていることだし・・・


でも! ヒラガさんがものすごい・・スーパー上級魔導師だとしても・・若返り魔法なんて可能なのだろうか!?


「本当なの?! それとも嘘!? トリック!? 真実!?」


ゴーレムの解析依頼よりも・・こちらの方が ものすごく気になる。

そう! 若返り魔法、それは女性、いや! 人類の夢なのだ!


なにやらワクワクしてきた!

これは是非とも会いに行かなければ・・・なるまい!

ノア・・シルンちゃん、コサミちゃんも興味津々、期待に胸を膨らませる。



◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇



空を舞う箒に乗ってノアたちは・・ひとっ飛び!

目的とする人物、ヒラガ・ケールナイが住んでいるという村に降り立った。


ここはセェルンの北方郊外・・・30ロキル(キロ)離れた村落、名をシドン。


あの名簿欄には "ヒラガ・ケールナイ、セェルン在住"と記されてはいたが・・・

一応、行政上、このシドン村はセェルンの領内ということになっているらしいw


それにしても、この村・シドン、人の気配が一切しないのである。

荒れ果てた風景、まさに限界集落、世紀末的風景だった。


整備もされず木の蔓や苔でおおわれた石畳み・・傾きかけたカラブキ屋根。

人が住まなくなった家々は草木で荒れ果て・・かつての面影など、もはやない。

そう、全てのものはいずれ・・忘れ去られていく。


日差しが照り付けているにもかかわらず・・何とも言えない寂しさ。

時間の流れに朽ち果て、扉だけは風に流されバタバタと音を立てていた。


目的の人物、ヒラガ・ケールナイがこの荒廃した村に住んでいるとは思えない。

不安と疑念でノアたちは互いに顔を見合わせた。



とにもかくにも・・せっかくここまで来たのだから、

廃墟マニアではないけど、観光というか、散策をしてみることにした。


なんとも、この朽ち果てた感じ・・・心に訴えかけてくるものがある。もしかしたら良い所かも!?

ノアは割と気に入っていた・・・こういう、わびさびが好きなのだ!


一方、コサミちゃんは何かに怯えてしまい・・ノアの背後に隠れてしまっている。

こういう雰囲気、アレなものが出そうで・・怖いらしい。


シルンちゃんは、パタパタと羽ばたきながら、一応、目的の人物・ヒラガさんを探し続けていた。

ノアは半分、あきらめぎみなのだが、シルンちゃんは実に真面目である。


ぐるぐる、うろうろ


『 あれっ!? 』


シルンちゃんは、目的のヒラガさんではない・・別の何かに気づいたようである。


『 ノア様! おかしいっす・・・この廃墟、荒れ果ててるようで荒れ果ててないっす! 』



シルンちゃんが放った妙な言葉に・・ノアはいぶしがる。

「んっ!? なになに」


周囲を・・ぐるりと見渡し僅かに思考した。

う~ん! たしかに・・なにか変だとは思っていたが・・・" そうか! "


この廃墟・・廃墟でありながら、埃一つもない。まるで誰かが掃除をしたかのようだ。

瓦礫は無秩序に散らばっているようでありながら、ある種の秩序を感じられる。


「作ってるわね! この廃墟・・・」


『 わっちもそう思うっす。これっち・・・廃墟のジオラマっすね! しかも1/1スケールっす 』


シルンちゃんの放った意味不明の異世界単語だったが・・ノアにはある程度理解できた。


ちなみにコサミちゃんには理解不能である。

「ジオラマって何!?」


それはともかく・・・もしも、この廃墟が作り物だとしたら、その作者はヒラガさんかもしれない。


「うん! ヒラガさん・・・ここにいるかもしれないわね!」



そんなことを話していると、こちらに接近してくる足音、いや! なにか重いものを引きづるような不気味な音が近づいてきていた。

ノアたちは・・即座にその方向に目をやると・・草むらから黒い影が出現したのである。




それは緑色をした巨漢、人の身長の2倍はあるだろう・・巨大なゴーレムだったのだ!


「なんと!」

ノアたちは驚き、わずかに後ずさったが、すぐに冷静さを取り戻し、危険はないと判断した。


目前の巨大ゴーレムは、以前に遭遇したゴーレム(レプシロン製)とは異なり、動きがぎこちなく鈍重だった。

しかも・・よくよく見るとこのゴーレムは木目調で、暖かみのある木材でつくられていたのだ。

そう! これはウッドゴーレム! 戦闘用でないのは間違いない。



さらに驚くべきことに、そんなウッドゴーレムの肩には。長い黒髪をなびかせる・・年齢にして10歳前後の少女が、"ちょこん"と座っていたのだ。

しかも、このゴーレムは、不器用ながらも、彼女を優しく片手で支えてあげており、少女の方もゴーレムに身をゆだねていた。


その姿と光景・・少し儚げで幻想的!?

少女と優し気なゴーレム、二人のロマンス的な・・とりあわせをしていたのである。


ノアとコサミちゃんは・・そんな様子を見て感動!

二人の!? なんともいえない不思議な絆に思いをはせる。


一方・・シルンちゃんの方は、そんな感動など、気にもせずゴーレム頭の上に着地した後、突いたり、叩いたりと、このウッドゴーレム性能の調査をしていた。

シルンちゃん・・欲望に忠実であった。



ウッドゴーレムの肩に乗った少女は、ノアたちに軽く会釈し・少女らしい笑顔を発しながら声を発する。


「ほう~、客人とな! なんと珍しきことよ! 何年ぶりじゃろか~ ふむふむ!」


ノア、コサミちゃんは・・その声に愕然! 呆然!

自分の耳を疑い・・耳穴をほじくった。


その少女の声質はあきらかに低音! 可愛らしい少女の声とは完全に真逆だったのだ!

そう、少女の声は・・おっさん声、いや! じぃさんの声だった。

しかも老人くさい喋り口調! 

物凄い違和感、衝撃の違和感! まさに場違いな衝撃!


「ぐはっ!」


幻想、儚げ、少女とウッドゴーレム、二人のロマンス的ファンタジーが・・・完全にぶっ潰れ、台無しとなり・・・ノアたちは一挙に現実に引き戻された!



ノアは一息つけて深呼吸、それから、その少女を、確かめるように仰ぎ見る。

そして、やっぱし・・その声は間違いなく・・あの少女から発せられていたのだ。


「まっ・・まさか!?」


そう、名簿欄に書かれていたあの注釈・・" ヒラガ・ケールナイ、若返り-見た目に注意 "が思い出されたのだ!


まさかの! 100歳も若返った挙句に・・・性転換!


そう、ノアは・・あの少女を目的の人物" ヒラガさん "ではないかと疑い、再び少女を凝視した。


すると、その少女は小さいながらも背を伸ばし、威勢を張るような仕草をした。


「まずは・・そなたたちの、名を名乗られよ! ここはわしの敷地内なのだ」


頑張って威勢をはる少女の姿は可愛いのだが、口調と声は低音のおっさん、いや! ジジィの声だ!?

可愛らしさが崩壊、台無しである。

少女であって少女であらず! ロリババア!? いや! ロリジジィ


微妙な表情となるノアと、コサミちゃんは・・・互いに顔を見合わせた。




--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)


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