表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/106

ゴーレムシュート


ゴーレムたちによって架け直された大橋(眼鏡橋)をカイラシャ王国軍は、列をなして渡っていた。


そして、その北方5ロキル(キロ)上空を浮遊するは、空飛ぶ箒にまたがる面々・・・ノア、コサミちゃん、シルンちゃん。


彼ら・・ノアたちの狙いは、列をなす王国軍への空爆、通過中の橋脚の破壊。


ターゲットまでの距離は5ロキル(キロ)、かすかに見える地平線付近だ。

ノアは サテライト魔法で敵の様子を確認したのち、"コーヒーバブルボム" の詠唱を開始した。


だが!・・ここで敵からの攻撃を受けてしまったのである。


『 エマージェンシー エマージェンシー  』 


警報音が鳴り響き・・シルンちゃんの周囲に空中パネルが次々と開いていく。

しかもそのパネルには・・こちらへと急接近するいくつもの光点が表示されていたのだ。

そう! 敵からの弾頭が こちらへと突っ込んでくる!


『 ノア様! まずいっす。敵に先手をとられたっす  』


「えっ!?」

奇襲するつもりが・・奇襲されたのだ。


ノアは周囲を警戒し・・・もしもの時のための魔法を準備する。

だが! 一体何が起きているのか・・状況がつかめていない。


一方・・・焦るシルンちゃんは慌ただしく空中パネルを連打し、状況に対応しようとしていた。


『 イージスシステムの起動・・・間に合わないっす! 迎撃が無理っす・・やばいっす! やばいっす!』


・・の叫びとともに青白い閃光が、ノアたちを包む。



-*- - - - - - *-


ノアたちへと放たれた無数の弾頭・・・詳しく言えば、"大量の石礫"が音速に迫る速度で突っ込んできたのであった。

そして・・・その弾頭の発射元は・・あのゴーレムたち!


レシプロン率いるゴーレム・千手観音軍団、30体だったのだ。

地面から拾い上げた石礫を うにゃうにゃと動く無数の手によって、弾丸のように投げ込まれる。


ダッタダダッダ~


それはまるで散弾銃! しかも亜音速!

多数の弾頭(石礫)が・・ノアたちが乗る箒へ迫ってきていた。




それは・・ゴーレムAIによる迅速な判断であった。

ご主人様の危機を察したゴーレムAIは・・・その危機の源、すなわち、空飛ぶ箒(ノアたち)への遠距離攻撃を実施したのである。

そう・・・石礫による投石!


そして・・そのもくろみ通り、橋脚への空爆攻撃(コーヒーバブルボム)を阻止できたのだ。


レシプロンおよび王国軍兵士たちは・・ゴーレムたちの活躍によって命拾いをしたのである。



だが・・その彼ら、兵士たちには ゴーレム(千手観音)たちによるいきなりの戦闘行動、石礫を大量に投げ放つ原因が分かっていなかった。

たしかに・・何かを攻撃しているのは理解できるのだが・・・どう見ても虚空に石礫を投げ入れているようにしか見えない。


だが・・・ゴーレムのAI判断にはそれなりの理由がある。

レシプロンはゴーレムたちに、そのわけを聞いた。


『 ご主人様を攻撃しようとしていた空中物体に対しての・・先制攻撃です 』


いつもの機械音声で答えてくる。

だが・・レシプロンも他の兵士たちも、その空中物体が見えないのだ。


ノアたちが乗る空飛ぶ箒は小さく、しかも5ロキル(キロ)彼方・・・よほど目がよくなくては見えなかったのであった。


王国兵士たちにとっては・・・半信半疑の答えだったが、レシプロンには・・その答えが正しいものだと理解していたのである。


「そうか! なるほど・・・橋を崩落させた敵が あの上空にいたというわけだな! 敵は空にあり」




そんなレシプロンの呟きを聞いて・・総司令官のプライバン伯は・・不愉快そうに空を見た。


敵・・フィレノアーナ王女・・いや! 魔王に認定されていたのだな!

そう! その魔王は・・ドラゴンを操るという。

すなわち・・上空からの遠距離攻撃も十分ありえるとのこと! 敵は地上だけではないということだ。

表情にはださないが・・司令官の心情は穏やかではない。


これまで戦ってきた敵とは比べ物にならないほどの、やっかいな相手を敵にしていると認識してしまうのであった



-*- - - - - - *-



そして・・・そのノアたちは、かなりヤバかった。ものすごくヤバかった。

シルンちゃんの迅速な操作により・・ぎりぎりで電磁シールドを発動できたのである。

まさに間一髪!


青白く発する結界がノアたちを覆いつくし・・突っ込んでくる大量の弾頭(石礫)を弾き飛ばすのに成功した。

" パシュパシュ "という鈍い音が連打する。


もしも・・あの石礫に当たれば・・ただでは済まなかったであろう! たぶん・・死んでます!

なんたって亜音速で突っ込んできているのだから!


「ひぃぃぃぃぃ」

コサミちゃんは何やら騒いでいるが・・とりあえず無視。  



以前に襲ってきた・・あの光の矢のような魔導兵器ではないかぎり安全の保証付きだと言いたいところだが・・

実は・・この電磁シールドを張れる時間は・・僅か一分ほど!

しかも電力消費が、かなりきつい。


『 すぐにここから離れるっす・・へたすると 電力不足で墜落っす 』


「そう・・そうよね! さっさと逃げましょう」

心臓の鼓動が僅かに高まるノア。敵からの先制攻撃という予想外の展開に驚いてしまっていた。



シルンちゃんは幾つかのパネルを操作し・・撤収を開始する。


一分以内に・・シールドが解除されてしまう前に離脱するのだ!

ノアたち空飛ぶ箒は一挙に降下し、低空飛行しながら地平線かなたへと去っていった。



今回の・・・"破壊しすぎた橋"作戦は失敗だよね!

ノアは悔しい・・・だが、戦いは始まったばかりなのだ。





王国軍からある程度離れた・・小高い山の山頂にノアたちは着陸した。

この山の麓には街道が通っており、そのうち王国軍が接近してくると予想される。

待ち伏せという意味合いもあった。



とりあえずやるべきことは・・・空飛ぶ箒の電力供給!

ここは・・日差しが照り付けているので、ソーラー発電に最適な場所なのだ。



さてさて・・・箒に充電している間、暇なので作戦会議と言う名のティータイムをすることにした。


ノアの時空ストレージからパラソルセットを取り出し・・・ティーセットを並べる。

コーヒーバブルを詠唱し・・・球体状の熱湯コーヒーを召喚、カップに注ぎ、ノアとコサミちゃん・・・ついでにシルンちゃんのも用意した。


シルンちゃんは器用そうに小さい羽をおりまげ・・"フゥフゥ"しながら、コーヒーを飲んでいる。

ちょっと・・可愛いじゃないの!!


コサミちゃんは・・・コーヒーが苦いらしく、砂糖を入れまくっていた。

そしてノアは・・もちろんブラックなのだ。


「ふぅ~ 気持ちが休まる。生きているって素敵」


そう! 特に、危機的な出来事があった後には、安心感、解放感に包まれてしまうものだ。


暖かい日差し・・・美味しいコーヒー、眠気を誘う気温・・・寝てしまいそうだZzzzz


いやいや・・・一応作戦会議なので・・寝てはだめだ!


ノアはシルンちゃんの頭をモフモフしながら・・次なる作戦について話をした。


「ドラゴン軍団の幻影魔法をお願いできないかな!? 敵を脅かしてほしい」


そんなノアの発言に モフモフされているシルンちゃんの頭が小さく横に振られ、真剣な顔となって答えた。


『 正規軍相手に・・幻影魔法は不味いっす! ドラゴンは出せないっすよ!』


そう! シルンちゃんは幻影を出すことに反対したのであった。



現実に存在している本物のドラゴンには常に魔法、すなわち波動を外部に発し続けているのだ。

しかも、ドラゴン固有の波動を・・・

しかし、シルンちゃんの幻影魔法で出現させた・・幻のドラゴンには、そんな波動は出ていない。


そう! 波動の有無だけで・・・現実に存在しているかどうかを見破られてしまう!


・・・とはいうものの、一般的な魔導師の感知能力では・・この波動を感ずることは出来ないであろう。

なぜなら、この感知能力の修練には かなりの努力が必要だからだ。


しかし、正規軍に所属しているような・・優秀な魔導師ならば・・話は違ってくる。

上級魔法のカテゴリーに入ってるとはいえ・・感知能力ぐらい取得していてもおかしくないからだ。


それゆえに・・・波動を感知できないようなドラゴンが出現すれば・・不自然だと疑われ調査をされる。

そして、いずれは・・それが幻影に類する魔法だとバレてしまうであろう。


今のところ・・・このような大規模幻影魔法の存在を 世間的には知られてはいない!

人類に知られていない未知の魔法なのだ!


それゆえに へたな使用は避けるべき。

まだまだ・・・幻影魔法という存在を 世間に知られてはいけないのである



『 幻影魔法は慎重に使うっす。まだまだバレるのはまずいっす!  』


「うっぬぬぬ」


なるほど! シルンちゃんの言う通り、幻影魔法は慎重に扱うべきなのだ・・・と思ったりもしたが、

わりと今まで気楽に使ってなかったかと・・少し疑ってしまう。


それでも・・シルンちゃんが慎重論をとなえるのなら・・ノアは納得することにした。

言ってることは正しいからである!


それならばと・・・次はコサミちゃんを見た。


そう! コサミちゃんのポイズンミストフィールド(毒霧)に期待するのである。

ただし、わりと簡単に解毒される可能性もあるのだが・・・・とりあえず 混乱と足止めにはなるだろう。



「やれるよね!」


少し威圧気味で、コサミちゃんにたずねると、身を縮め・・目が左右に泳ぐ。

動揺しまくる姿、ちょっと可愛いかも・・・♡ なんて思ったり!


ついでに、シルンちゃんの声援も加わる。

『 コサミン・・がんばるんっす! 』



そんな励ましの声を聞いたのか・・コサミちゃんはシルンちゃんを抱き上げモフモフ・・

ついでに顔をうずめてモフモフ・・

幾分か・・気持ちよくなったところで・・大きく息を吐き、意を決したように力強く返答した。


「大丈夫! いけます。おまかせください」



モフモフ効果なのか!?

モフモフは勇気を与えるのか!?


とにかく・・・・・コサミちゃんのやる気のある返答で・・ノアは一安心した。

いや! 安心できるのか!? すこし不安・・・


でも! まぁ・・・そんなに難しいことをするわけじゃないから大丈夫だよね!

安全な場所から魔法を詠唱する簡単なお仕事、危険なんてものはない!


・・・ということで、早速はじめることにした。

ここは小高い山頂、カイラシャ王国軍を待ち伏せするには絶好の場所なのだ!






--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ