表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/106

サイドストーリー・勇者伝説レシプロン(2)


魔導協会爆破や、軍事基地での、あれやこれやの騒動が起きた・・数年後



ここはとある地方のそのまた山奥・・・

ゴーレムたちと共にレシプロンは いつもの様に魔鉱石の採掘をしていたのだが、その日・・・

・・・遠くから接近してくる何らかの集団に気づいた。


彼はすぐに高台に登り・・遠くから、その集団を確かめる。


その集団は・・・旗の紋章から推測して おそらくカイラシャ王国軍、数は1000名ほど。

こちらへと接近しつつあった。

しかも戦闘隊形での行軍・・・武器も鎧も重武装しており、一戦も辞さないという意思表明なのか!?



「ちっ! 居場所がバレてしまったのか! めんどくさい奴らがやってきた! 」


そう! 彼ら王国軍の目的はおそらく、レシプロンの逮捕!または捕縛

魔導協会での事件、軍基地への襲撃の関与などなど・・あげたら切がないほどの事をやらかしたからなぁ (遠い目をする!)


だが・・俺は悪くない!わが身を守るために 仕方がなくやってしまったのだ!

ゴーレムのAI判断で・・・・w

俺が指示したわけではないのだ・・・と言い訳しても無駄だろう


めんどくさいが仕方がない・・・戦いを挑んでくるのなら対抗するまで!



レシプロンは ため息をつきながら・・ゆっくりと片手をあげた。

すると・・配下のゴーレムたち・数十体が立ち止まり・・・変形をはじめたのである。


『『 プランAに・・変更中 迎撃態勢にうつります 』 』


人の声ではない・・機械音声がながれた。


ゴーレムの体内に格納されていた腕が、うにゃ、うにゃと♪・・・無数に伸びてくる。


気色悪いと思うなかれ! これぞゴーレム戦闘形体・・千手観音モード!

一体のゴーレムで多数の敵と渡り合うための腕たちなのだ。


しかも各々の腕には剣をもっている。

二刀流ならぬ・・多刀流!

これは・・・たしかに脅威のフォルムかもしれない・・・少なくとも設計者のレシプロンは そう思っていた。


「 俺のゴーレムたちは 手札が多い! つまり強いのだ!」・・・・ニコリ♡



そんな思惑をしていると・・王国軍1000名は目前にまで接近してきた。

そして、ついにレシプロン率いるゴーレム・千手観音軍団と対峙する。

地形としては荒れ地の岩肌・・レシプロン側がわずかに高台に登っており、少しだけ有利な場所なのである。



一方、王国軍兵士たちは 目前に居並ぶ物体に驚き、息をのんだ。


「なに、あれは?!」

「なんと・・・ゴーレムなのか!?」


それは見るからに異形な存在!

体中から伸びる無数の手・・しかもその手に剣が握られている。

見るからに・・ヤバイと感じる邪悪な姿・・あと、うにゃあにゃあと動く腕たちは生理的に気色悪いw・・・そんなゴーレムが数十体いたのである。


ゴクリ! わずかにざわめく。


だが、彼ら兵たちは王国正規兵・・・すぐに冷静な判断をした。

かつて見たことがない異様な存在ではあるのだが・・・数は圧倒的に少ない! 

1000名で押し込めば・・・たいしたことはないはず!


それにだ!

我ら王国軍が・・ここにきた最大の理由! それは決して戦うことでもなく・・逮捕することでもない!

レシプロンと話し合うためにきたのである。あくまでも・・・話し合い!



そう・・・王国軍の中から 煌びやかな正装をしている一人の青年が現れた。

しかも、人懐こい笑顔で 高台に居座るレシプロンに手を振っている。

ものすごくフレンドリーな態度・・・逆に警戒してしまうほどなのだ!



「すまない! すまない! 軍隊を率いてきてしまったのは、こちらの事情なのだ

・・・わたくしはこの王国軍の責任者・・デルテ二ア邦伯というものだ。 君はレシプロン君で間違いないのだね!?」


しばし沈黙が流れる。

レシプロンは相手の動きを常に監視しながら・・頷いた。


「そうだ! 俺がそのレプシロンだ・・何用で来た!?」


「ふむ・・・そう・・・警戒してくれるなよ! わたくしは争いにきたわけじゃないんだ! そうだね・・そう! お友達だと思ってくれたらいい」


砕けた口調で声を発するこの人物・・・邦伯と名乗っているため かなりの高官であろう。

ブラウン色をした髪を後ろで縛っており庶民アピールをしてるにもかかわらず・・・気品あるオーラを放ちまくっていた。


かつての上司・・書長のルイーブルとは違い・・どことなく高貴な雰囲気を 醸し出す御仁である。(同じ貴族階級なのにw)



このデルテ二ア邦伯という人物は・・エルドラート王太子の側近にて乳兄弟、幼馴染・・・そして相談役

王太子にとって・・最も信頼されている人物の一人でもある。


もちろん所属する派閥は・・王太子派なのだが、この派閥特有の傲慢と腐敗、不正と汚職、などとは一線を画していた。

だからといって清廉潔白ではないのだが、そこまでひどいことはしてないという程度・・・または、人にバレないように気を使っているともいえた。



「レプシロン君・・・君のことを色々と調べさせてもらったよ。いやぁ なかなか大変だったようだね

ルイーブル書長によって罪に落とされそうになったとか・・・実に不幸な出来事だ! 同じ貴族として・謝罪させてもらうよ」


デルテ二ア邦伯は 天に向かって腕を大きく広げた後・・顔を俯かせ胸に両手をおき・・悲しみの演技をした。


「あと・・・言い忘れていた! 君の起こした事件は・・・わたくしがもみ消しておいたよ。

事件はなかったことになっている。これでなんとか 我らへの恨みを忘れてほしい」


大振りで二つの手を合わせ、許しを請うポーズ・・・あまりにも芝居かかりすぎて・・・不自然に見えてしまう


実に疑わしい。

レシプロンはより警戒した。

油断させて・・・捕縛するつもりなのか、それとも何かの誘いなのか!?


とはいうものの・・・相手側の目的が、なんであるかは・・予想がつく。

おそらく・・・魔導集積回路の技術! これだよね! これ!


あの逃走の際、魔導協会に保管してあった集積回路の資料を ゴーレムたちによって焼き払っていたからだ!

資料がないから作れない。再現できない!


大いなる損失、喉から手がでるぐらい欲しいはず・・・そう! 時代を変革させるほどの技術だからだ。



「とりあえず・・そんな猿芝居はよしてくれ! 手早く要件を聞こう・・・俺はめんどうくさいことが嫌いなのだ」


「さ・・猿芝居!?」


そんなことを言われたので・・・邦伯は口を尖らした。ちょっと・・・むかついた!

でも、すぐに気を取り直し・・本題に入る。


「そうだな! たしかにめんどうな社交辞令は省くことにする・・・ずばり言おう」


邦伯は・・高台にいるレシプロンにむかって大きく両手を広げ・・・叫んだ。


「魔王を倒してほしい! 勇者になってほしいのだ!

王国のため・・いや! 人類のため・・・君の神聖魔法が必要なのだ」



「ぬぬっ・・・・・なに!?」


おもわず口ごもるレシプロン

予想外のことを言われてしまった。まさかのまさか!


魔導集積回路ではなく・・・俺の神聖魔法が目的だったのか!?

いやいやいやいや! そんなものより集積回路の方が重要だろ!


王国はまさか・・集積回路の重要性がわかっていないのか!? 

このゴーレムたちの制御をつかさどる回路なのだぞ! 節穴なのか・・・!?

魔導のことをまったく理解していない連中だ!



あまりのことでショック!・・・レシプロンはデルテ二ア邦伯を鋭く睨んだ。


「神聖魔法だと!? 魔王を倒せ!? 勇者になれ!? たったそれだけの要求のために ここにきたのか!?」


そう言われた邦伯は・・・はたと気がづき手を叩いた。

たしかに要求だけでは・・よくない。

恩賞の話を忘れていた。恩賞なしでは・・・人は動かないのだ。


そう!・・・・この両者、この時点で意思疎通というか・・考えていることが かみ合っていないw



「これは失礼! 恩賞のことを言い忘れていたようだね!

そうだな・・魔王さえ倒してもらえれば・・恩賞は思うのまま!

地位も名誉も・・・土地も爵位も全てを得れる!

そう! たとえば・・・この地の領主にもなれるのだぞ! そうすれば・・魔鉱石を合法的に採掘できるのだ」


邦伯のこの発言に・・・レシプロンの目が光った。


「ほぉぉ この地をくれるのか!」


「もちろんだ! 魔王さえ倒してくれれば・・・この地の領主は間違いなし」


「ふむ!」


レシプロンは・・・この地の領有権に触手がうごく。

そう彼は・・この地で勝手きままに採掘していたのだ。もちろん非合法!

採掘権などもってはいない。



しかしながら、この地を管理する領主、そう!その領主こそ、デルテ二ア邦伯、その本人だったのだ!

そして彼は すでに見切りをつけ、採掘自体を放置していたのである。

この地での採掘はほぼ不可能だったからだ。


この地に帯びる魔力はたいへん強力であり・・とてつもなく硬い。

シャベルやピッケルでは歯が立たず一般人では絶対に掘れない。


・・・魔導師なら何とか掘れるのだが・・・魔力消費量が桁違いで、労力的にしんどい。

事実上、採掘がほぼ不可能な地域だったのである。



だが・・・レシプロンにとっては 何の問題もなかった。

道具なし・・生身一つで・・掘れるのだ! それが神聖魔法・・・選ばれし者だけが持つ魔法。


- - - - - -



採掘不能地帯、領主・デルテ二ア邦伯から見捨てられたこの地に ある時から妙な男が住み着いた。

・・しかもゴーレムなどを使役して暴れ放題、しかもときおり少量だが魔石を売りに来ている。

そのような情報が領主・デルテ二ア邦伯の耳に入った。


そして、勘のいい邦伯はすぐに気付く・・・この男は神聖魔法の使い手だと!

これが原因で・・邦伯はレシプロンのことを知ることになった。




「その話にのろう! 俺がその魔王とやらを倒す。俺にはゴーレムたちがいるからな!」


「おっ~! やってくれるのか」


「この地の領有権も忘れるなよ!」


「それはもちろんだ! 魔王さえ倒してくれれば、わたくしの名誉にかけて、この地を君に渡そう!」



デルテ二ア邦伯は大きく手を叩き・・・歓迎の意思を伝えた。

すると、まわりの兵士たちも同じく手を叩き拍手を始める・・・


パチパチパチ パチパチパチ




「おっ・・おう! まかせてくれ」


山々をこだまするような大音量の拍手に気をよくしてしまうレシプロンだった。









--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ