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サイドストーリー・勇者伝説レシプロン序章

ついに主役交代!?


レシプロンは 数年前まで・・カイラシャ王国・魔導協会に所属していた錬金術師,

その頃の彼は・・筋肉粒々となっている今の姿とは全く違う・・ひ弱で華奢な青年であった。



そんな彼の仕事は・・超古代文明の残した古文書の解析と解読、

そう、かつて存在していた古代魔導技術の復活を研究していたのだ。


数々の試行錯誤と紆余曲折・・・失敗と成功、そして・・・ついにレシプロンは、とある技術の復活に成功させた。

超古代文明の魔導技術・・・そう、彼の大好きなゴーレム作成の根幹となす技術を、今の時代に復活させたのである。



実に画期的なことだった・・・時代の変革をもたらす発見!


それは・・・魔導集積回路!

人類の文明を数百年も飛躍させるような技術だったのだ。


レシプロン・・・彼の名前はおそらく歴史に残るだろう!



だが・・魔導協会の古文書長、侯爵家出身のルイーブルには それが許せなかった。

レシプロンは庶民で・・・しかも貧民街出身、

ちょっとだけ・・神聖魔法が使えるという理由だけで、魔導協会に入ったのだ。

しかも・・・ちょっとだけ頭がいいぐらいで・・・古文書の解析に成功するなど・・・

身のほど知らずもいいところだ!



許しがたいことだ! 許しがたいことだ!


ルイーブル書長はエルドラート王太子派に属している。

かなり無理なことでも・・・派閥のごり押しで実行可能であった。


あの生意気な・・レシプロンを追い落としてやる!

ルイーブルの口角があがった。


「魔導集積回路は私の実績・・・奴には勿体なさすぎる。素晴らしい成果には素晴らしき身分に与えるべきだ」




それから数日後、

・・・レシプロンの研究室に突如として兵士たちが乗り込んできた。


「お前が・・レシプロンだな!」


そんなことを言われたので・・研究中の魔導回路から目を外し・・面倒くさそうに後ろを振り向いた。


「ふぅぅぅ・・・俺の事だが・・何か用なのか!?」


「・・・・お前は、とあるお方を怒らせたのだよ。馬鹿な奴だ」


「んっっ!?」


「協会資金の横領、及び脅迫の罪で逮捕する。研究論文の盗用疑惑もある」


そう言うと兵士たちは・・・レシプロンに手錠をかけた。


「おいっ・・ちょっと待て・・・どういうことなのだ!? 」


彼はいきなりの事で・・戸惑う。

なぜに兵士!? なぜに逮捕!?

何がどうなっている!? 何かの冗談なのか!? 


レシプロンは魔法を行使して・・この手錠を外そうとしたが・・・魔法は使えなかった。

この手錠には魔導封じが組み込まれており・・・魔導師専用の手錠だったのである。


「本気、まじ・・・! 俺を本当に逮捕する気なのか!」


「そうだ! あきらめろ。身分を考えずにやりすぎたのだ。お前の刑はすでに確定している」


不当逮捕だと・・臆面もなく言い放つ兵士たちをレプシロンは鋭く睨んだ。

正規兵のようだ。数は・・10人ほど、周りを囲まれている。逮捕状も本物のようだ。


これは罠にはめられたというよりも・・仕組まれてたな!

おそらくルイーブル書長の仕業だろう。


奴は侯爵家の人間、しかも選民思想の塊・・・俺の存在自体が気にくわない。

しかも功績をあげたので、より気にいらなさ100%の上限突破のはず!


そう!・・・俺を罪人にして・・追放、いや! 処刑するのではないか!?

奴の特権を使えば・・・それぐらい朝飯前のはず・・・



まずいぞ! まずい!

レシプロンは暴れた。

なんとか逃れようとして 手足をばたつかせた。

だが・・この当時のレシプロンはあまりにもひ弱すぎて、屈強な兵士たちは微動だにしない。

運動能力ゼロ・・めんどくさがり屋で、やりたいことしか興味をもたず・・メタボぎみでもあったのだ。


そんなレシプロンを・・兵士たちは、うすら笑いをしながら蹴り倒し・・床へと押し付けた。

そして、誰かに・・・強く踏みつけられる。



「おいおい、無駄なあがきはするなよ・・ド貧民! 実績は私が頂いておいてやる! おまえはおとなしく処刑されてればよい」


その声は・・・書長のルイーブル!

レシプロンは仰ぎ見た。そこには・・勝ち誇った奴の顔があった。


「うっ、司法院に・・・・訴えてやる!」


「無駄! 無駄! 無駄なことだ! せいぜい・・わめく程度しかできないだろうな!」


たしかに・・・奴が言った通りだ。訴えても無理だろう。

ルイーブルは侯爵家の人間、圧倒的に有利な立場なのだ。とくに司法の場では・・・

それに引きかえ俺は庶民・・・しかも貧民街出身。


この国ではどうあがいても、訴えは通らない。

そして・・俺は口封じのために殺されるだろう!




だが・・・この時のレシプロンは ものすごく勘違いをしていた。

その当時の内務卿はキヨウラ公爵・・・まだ健在であり、事件が発生する前の話

そして、この様な不正をたいへん嫌っていた御仁でもあった。


一応・・キヨウラ公爵の耳に届かないような手はずにしていたのだが・・どこまでうまくいくかは不明。

ルイーブルのおもわく通りになったかは・・・今となっては分からない。


なぜなら、このレシプロン・・最終手段を取ったからだ。

窮鼠猫を噛む・・命にかかわる以上・・やるしかない!

趣味で作っていた可愛いあの子たちを・・・呼び覚ますのだ! 

力の加減がまだ、調整できていない欠陥品だが・・・あえて目をつぶる。


レシプロンは悲鳴のように叫んだ。


「可愛いゴーレムたちよ! 起動せよ・・俺を救い出せ!」


ゴッゴゴゴ・・・・・ゴッゴゴゴ


地響のような揺れ・・振動が床を伝わる。

何事かと・・ルイーブルと兵士たちは周りを見渡す。そして・・・身構えた。


「「なっ・・・・なに!」」


そう! 研究室の隅に立てかけられていた等身大のゴーレム人形・・8体が、動き出したのだ。


『『 命令を遂行いたします! ご主人様をお守りします! ご主人様をお守りします! 』 』


人とは違う・・・機械音声が流れた。


兵士たちはすかさず・・剣の柄に手をかける。

さすがに正規兵・・・これは ヤバい!と感じたのだろう。


だが! 遅かった。


石の塊が、まるで人間のように・・・スムーズな動きで飛び上がったのだ! 

中に人がはいっているのではないかと錯覚するほどの動き。

これが・・・レシプロンが開発したゴーレム! 脅威のゴーレムテクノロジー



8体のゴーレムは瞬く間に兵士たちに接近・・・ふところに入り込み、ゴーレムパンチが炸裂した。


問題はここなのだ・・・このゴーレムたちに力の加減が出来ていない。調整が不完全だったのだ

動力源の魔石パワーが そのままパンチ力となってしまう・・・しかも凶悪的に!


そう その5人の兵士は吹き飛ばされた! ・・・しかも壁にめり込んだ。ほぼ即死・・・だろう


次の3人はより悲惨だった。体が引き裂かれ、頭部が弾け飛び・・・研究室に血の雨が降る。

そして、その血をまともに浴びたルイーブルは驚きの目と半狂乱となり・・・何かを叫ぼうとしたその瞬間、

ゴーレムの回し蹴りによって首が切断された。

残りの兵士たちも同様の運命となる。



ほんの・・・一瞬の惨劇だった。

レシプロンは・・何が起きたか理解できていない。

気が付いたときには、拘束されていた手錠はなく(破壊されたのか!?)・・しかも、ゴーレムの一体にお嬢様だっこされながら、廊下を駆け走っていたのであった。


ゴーレムたちのAI判断によって・・・いち早く逃走を開始したのである。

その後方では・・・女性の泣き叫ぶような悲鳴が聞こえてきていた。


おそらく・・騒ぎに気づいて駆けつけた職員の一人だろう。




レシプロンは・・・抱っこされながら、魔導研究所から脱出したのである。

このまま、ゴーレムに抱っこされたまま・・・逃避行!? 

自分の足で走らなくて済むのは楽だよねと思いつつ・・・

いや! まぁ あれだ! ・・・こうなっては仕方がないよな! やっちまったのだから・・・


ゴーレムのせいだよ! とは絶対に言えないだろう。

だって・・・このゴーレムは俺が作ったのだから・・・


うんうん! これは正当防衛なのだ! 間違ったことはしていないよね! という自己暗示をかけつつ・・逃げることにした。

まあ、俺は貧民街出身、身寄りがない・・はずだと思う。だから、身一つで逃げても問題なし! 


・・・というか、捕まったら 間違いなく処刑されるな! ある種の危機だ!


「そう! 逃げろ! 逃げろ! 徹底的に逃げろ!」


・・と俺が叫ぶと・・ゴーレムたちの機械音声が聞こえてきた。


『『 了解いたしました! 徹底的に逃げ切ります! 』 』


俺を抱っこするゴーレム一体を残し・・・他のゴーレム7体はどこかえと消えていった。


すべてがAI判断なので・・・この時、ゴーレムが何をしようとしていたのか 俺にはまったく分からなかった。



その後・・・お姫様抱っこされたまま町を抜け・・森を抜け・・小高い山の頂上に差しかかったところで・・眼下を見た。


すると・・・赤く燃えていた! 濛々と立ちのぼる煙、ときおり爆発音・・・

研究所や他の施設・・町の各地で火災や爆発が発生していたのである。


「まさか! ゴーレムたち」


レシプロンは・・・戦慄した! ゴーレムAIの非情さに・・・・



このゴーレムたちは・・・ご主人様を逃すため・・・AI判断による最適な方法をとったのであった。


まずその町を守る駐屯部隊の基地、軍組織への奇襲攻撃。

ゴーレムによるいきなりの殴り込み・・・しかも圧倒的パワーで兵士や警備兵を粉砕し、

基地司令とその幕僚の目前で、巻き込むように自爆した。


これによって・・軍の上層部は壊滅、指揮系統が乱れたのである・・つまり、レシプロン捕縛の追跡が不可能となり 逃げきりやすくなったというわけだ。


しかも、これだけではない!

魔導研究所も・・・爆破のターゲットにしていたのであった。

ゴーレムの一体が・・突入!

レシプロンの研究資料などが保管している倉庫に放火した上で・・・自爆したのであった。


これで・・魔導集積回路の復活が元の木阿弥、そして、魔導協会による・・ゴーレム兵器製造をも不可能にした。

そう! ゴーレムを作れるのは ご主人様のレシプロンのみということである。


ゴーレムたちにとっての・・最悪な敵は、自分たちのようなゴーレム!

AIによる最適判断によって・・研究所を破壊し・・・ゴーレム製造を阻止したのであった。






--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)



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