表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/106

New World・・新世界へ


邪神様の使徒になったノアは 鬱蒼と茂る森の中へと足を踏み入れた。

目指す目的地は、サテライト魔法で見つけた集落・・・

そこで安全を確保したいと思っている。



だが! この森には・・・危険な獣が潜んでいる可能性が高い。

実際、先ほどノアは巨大な熊に襲われたばかり・・・・


しかし、幸運にも邪神様から頂いたコーヒー魔法によって撃退できた。

だからと言って・・・油断などできはしない!


ノアの魔力残量は0・・・空っぽなのだ!

次に襲われたら・・・たいへんまずいことになる。


慎重に周囲を警戒しつつ・・ノアは集落があると思われる方向へと歩みを進めた。




しばらく歩くと・・・草むらの中で、こちらを覗く小動物を発見。


あれは兎! モフモフで気持ちよさそう!

しかも耳がビクンビクンと動く・・

ちょっと触ってみようかと近づくと・・ピョンピョンしながら逃げていった。


可愛い! 

ちょっと・・・ホッコリ!


「この森が・・・あんな可愛いモフモフ兎だらけならいいのにね!」


そう言って笑顔を見せるノアだったが、その笑顔も束の間だった。


ノアが目指していた集落に着いた時、彼女は驚愕した。

村には誰もいなかったのだ。廃村なのか!?

ちなみに道標には"" スギサワ ""と書かれている・・・スギサワ村というらしい!?

一応、念のため家の中へとお邪魔してみたが・・・やっぱし人はいない。


それどころか 家の中は荒れ放題で、扉や窓は破壊されていた。

屋根や壁は崩れて落ち、風が吹くたびにガタガタと音がなる。


もちろん、一軒だけの話ではなく・・・

村にある全ての家が荒れ果て、草むらが覆い・・静寂と荒廃によって支配されていた。

廃村好きなら興味を持つかもしれないが、今のノアにとっては警戒すべき場所だった。


「ま・・まさか、あの熊のせいで!? それとも他の猛獣に・・・」


ノアは喉を鳴らす。そして・・・身を縮め周囲を警戒した。

悪い予感・・・何かがいる!


すると・・・わずかに草むらが動いた! こちらを睨む目!


「うっ!」

身体を身構え・・その草むらを凝視した。


すると姿をあらわす・・・小さい耳、あっ! 子犬だ。

「きゃんきゃん」


可愛い! モフモフしたい! 癒される!

すこし安堵したところ・・・その背後が大きく動きだし・・・飛び出すようにその巨体が現れた!



それは・・先ほど戦った熊より・・遥かに大きい!

(うち)の10倍はありそうな巨体だ!


うぐっ! ノアは息を飲んだ。


あ、あれは・・・巨大イノシシ・・・別名ビックイノブタン!

この村を破壊した張本人かもしれない!


その上・・こいつは超危険!

熊のような生物とは別もの、魔獣と呼ばれる魔法を帯びた生物なのだ!

そう! 熊とは違い・・このビックイノブタンは・・・魔法を使ってくる!


グゥゥウオオッォノオオオォォォ


ビックイノブタンは吠えた! 吠えると同時に身体が赤く輝きだす。

これは・・・身体強化魔法!


自ら持つ力を数倍に膨らましたのだ。

これはヤバい! これは不味い! ビックイノブタンはより狂暴化した。


それに対して・・・ノアの魔力残量は空っぽ、魔法が使えない。


素手で戦えというのか!? 無理だ!

恐怖と絶望の崖に立たされ・・・顔中からぞっとするような冷たい汗が流れる。



そんなノアの表情を見たせいなのか・・・ビックイノブタンの口元が跳ね上がる。

しかも、ヨダレまで垂れ流しているのだ!

食べる気満々である! ノアはまさに御馳走、おいしいおいしい御馳走!

この森は・・・弱肉強食! 弱者は食べられるのみ・・・



ノアに危機が迫る! このままでは・・餌にされてしまう。

だが・・・もう逃げる暇さえなかった!


すでに ビックイノブタンは こちらに向かって・・・突進してきているのだ。

しかも 身体強化の魔法を帯びながら!


異世界基準でいえば・・・時速80km

どこかの某走り屋もどきのように・・なんとドリフトまでこなす!


峠バトルならぬ村落バトル・・・!

右へ左へと横滑りしながら建築物を避け・・どうだ!見たかと!自己主張するがごとく雄叫びをあげる。


グッルルッルルグゥォォォォ



迫りくる巨体! 砂煙! しかも速度が増している!

もし・・・あの速さで激突されたら間違いなく・・・うちの身体はバラバラに!


うぁ! やばい!!やばい!! 鼓動が早まる。


ノアは焦る心を落ち着かせ・・・なんとか対策を考える!

魔法が使えない! もちろん素手では無理だ

それならば・・それならば・・

そうだ! あれだ! アイテムを使う!

邪神様からいくつかのアイテムを貰ったのだ。


だが・・・どのアイテムを!?


ノアは悩む! しかし、悩む時間はない!

ビックイノブタンが目前にせまっているのだ!


来る! 奴がくる!


そして・・・・ズドオオオォォォゥゥゥン




村に響き渡る破裂音!? 舞い散る破片! 吹きあがる砂埃


ノアは自らの最後を悟った。これで終わり、人生の終わりだと・・・


「・・・・・・」


だが・・違っていた! 

怪我ひとつもなく・・ノアは生きている。


そう! あのビックイノブタンが・・なんと! 目の前で巨石に激突していたのだ。

しかも頭部が陥没して・・・ピクリとも動かない。

息絶えていた。



これは一体!?

そして・・・なんという結末。実にあっけない!

まさか、こんなオチになろうとは!!


ノアは困惑したと同時に安堵もしていた。

なんであれ・・・命の危険から脱することが出来た!


ノアは腰をおろして・・汗をぬぐうが、心臓の鼓動がおさまらない。



ビックイノブタンは・・・無理なジグザグ機動を繰り返し過ぎたのだ。

スピードを出し過ぎたあげくに・・前足を滑らせ、ドリフトに失敗!


身体を横転させながら・・・巨石に激突した!

音速で駆け抜けた魔獣王ビックイノブタン・・・ここで眠る!


身体強化魔法で・・・身体の力を増強したとしても・・・この巨石への激突に耐えることは出来なかったのだろう。

いや! 身体強化によって増した速力が致命傷になったのかもしれない。



ちなみに・・・ビックイノブタンの命を奪った巨石は村の中央に鎮座しており・・しかも しめ縄で飾られていた。

おそらく この巨石は何らかの宗教的遺物、神の姿をかたどっているようでもある。


いや! まてよ・・・この巨石! あの邪神様の姿に似ているのではないか!

ノアは・・近づきじっくりと観察した。


間違いない! あの長い髪にビキニ姿、ついでに美しいプロポーションは・・・邪神様!

この石像は邪神様を祭っていたに・・違いない!


そして・・・この邪神様の石像によって(うち)の危機を救ってくれた!!

またしても・・救ってくれたのだ!



「ありがとう・・・邪神様!」

ノアは・・・この奇跡に感謝し・・手を合わせ祈った。



(注意)・・・ 邪神様ことコーヒーチョコケーキ氏は元の世界に戻っているため・・・この件に関して何の関与もしておりません!

ただの偶然である・・・またはビックイノブタンが間抜けだった・・・w

ついでにいうと、石像が邪神様に似ているのは・・・ただの偶然である。




この壮絶なる戦いにおいて・・ノアはただ突ったっているだけで何もしてなかったのに、

強運だけでビックイノブタンを倒した。

まさにこれは・・孫子の兵法的にたとえると・・・・戦わずにして勝つw 



そう! ノアは戦ってはいなかったのだが・・・ステータス上の計算では魔獣の討伐成功ということになっていた。

そして、もちろん! ノアの経験値は増え・・レベルアップをはたしている。

ついでに ラッキーカードという特殊スキルも得ていた・・・・強運でしたからね!



-- -- -- -- -- -- -- -- -- --


この世界では・・・レベル制やら経験値など存在はしない!

だが・・異世界から召喚された邪神様(コーヒーチョコケーキ)の蘇生によってノアが生き返ったことにより・・

VR-MMO"" 戦血バラ "の設定がノアの身体に宿ってしまったのである。

それゆえに・・・この世界の(ことわり)とは別の(ことわり)によってノアの魔導力が発揮されることになる。


-- -- -- -- -- -- -- -- -- --


ピコーン♪


ノアの脳内に音がなった。

レベルアップと特殊スキルの獲得を知らせる音なのだが・・・ノアは気が付いていない。

それよりも・・・目の前に倒れているビックイノブタンの方が気になる。


「デカい! うちの10倍はあるよね! 先ほどの熊より大きい!」


ちょっと感動していた。

ついでに・・・金策になることも知っている。


どこかの町で売れば・・・けっこう高値になるはずだよね!

なんたって頭部の陥没以外・・・これといった傷がないからだ!


「うっふふふ」


逃亡中の王女とはいえ・・・なぜに、庶民のような金銭感覚を持ってしまっているのか!?

記憶喪失なので・・・そこんとこは思い出せない!

まぁ・・・いいけどね! そのうち何とかなるでしょうw


とりあえず・・・ノアは、このビックイノブタンを時空ストレージに収めることにした。

ちなみに時空ストレージの容量は まだまだ余裕があり この程度の荷物は問題なしである。


大儲け♪ 大儲け♪ スキップしながら小躍り! 大喜びである。


そんな良い気分の中・・・軽快なBGMが脳内に流れると・・・

突如として目の前に透明なウインドが現れ・・・メッセージが表示された。



ちなみに・・このウインドメッセージは、

邪神様(コーヒーチョコケーキ)が楽しんでいたVR-MMO"" 戦血バラ "の(ことわり)によって表示されており・・

ノアの住む世界とは別の(ことわり)なのだ。



ノアは・・・このメッセージにちょっとワクワクした。

これはもしかしたら・・・どこか別の世界に行ってしまった邪神様からのメッセージではないかと期待したからだ。


でも・・・書かれている内容の意味がよく分からなかった。





『 最終ボス、ビックイノブタンの討伐・おめでとうございます! これにてチュートリアルは終了となりました。

これから本編へと進みます。 本編では、さらなる広大な世界が待ち受けています。

自由な冒険、仲間との協力、強敵への挑戦、新しい物語の1ページを書き上げていきましょう

それでは、新たなる冒険ライフを お楽しみください! 』





この一文を読んだノアの頭の中は ???(クレッションマーク)で一杯であった。

チュートリアルってなんだ!? 物凄く気になる。

いったいに何が終了してしまい・・・本編へと進むってなんなのだ!?

自由な冒険、仲間との協力、強敵への挑戦・・・ってのは邪神様からの神託なのかな!?



-- -- -- -- -- -- -- -- -- --


このメッセージはVR-MMO内におけるチュートリアルの終了時に表示されるメッセージなのだが・・・

このゲームの(ことわり)を体内に宿してしまったノアには・・・もはや わけのわからないメッセージだったのである。

そして・・・このメッセージ通り、本編へと強制転送されることになる。

転送といっても・・・ゲーム内に転送されるのではなく この世界内で人のいる場所に転送されるだけであるのだが・・・



◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇




ウインドメッセージの内容に戸惑っているうちに・・・

・・・ノアの身体は白く輝き、そして消滅した。

チュートリアルフィールドから本編・・・すなわち人のいる世界へと転移したのである。


ノアは周りの風景が変わってしまったことに気づいた。

さっきまでいた廃村や森は消え・・・草原になっている。

しかも遠くに町が見え・・そこにつながる街道!

そして、その街道では荷馬車が行き交っているのだ!

人がいる! 人が歩いている!


森で遭難していたというのに・・・いきなり町の郊外へ!?


夢でも見ていたのかと疑い・・・時空ストレージの中身を確かめてみると、

うん! たしかにビックイノブタンが入っている。


夢ではなかったのだ!

・・・・・となると、あのメッセージの意味はわからないけど、

きっと邪神様が・・・ (うち)を人のいる町付近に転送してくれたに違いない。


「ありがとう! 邪神様」


うちは思わず 空に輝く太陽に向かって感謝の祈りを捧げた。






--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)




-*---------------------------------------------*-


【名前】カイラーナ・ノン・コハヤシ・フィレノアーナ  


【種族】ヒューマン


【身分】逃亡中の王女


【職業】邪神の使徒、見習い魔導師 Lv2


【年齢】14歳


【体力】14/14【魔力】20/20 【幸運】100



【魔法スキル】

ステータス魔法 Lv2 時空ストレージ Lv1 サテライト Lv1 コーヒー魔法 Lv2 チョコ魔法 Lv1


【耐性スキル】

恐怖耐性 Lv2


【特殊スキル】

ラッキーカード Lv1 


-*---------------------------------------------*-

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ