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勇者降臨!?


不満分子や魔獣たちを結集した一揆勢は・・自らキヨウラ公国と名乗り、カイラシャ王国に対して宣戦布告をした。

公国軍は次々と領土を奪い、北西部の要所・セェルンをも制圧、王都ルヴァへと迫りつつある。

・・その快進撃の裏で糸を引いているとされているのが・・あの元王女フィレノアーナだ!

そう、元王女の目的は・・カイラシャ王国の破壊と滅亡



◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇



王都ルヴァ・王宮のとある一室にて 響きわたる叫び声。

その声の主は王太子エルドラート、彼は烈火のごとく怒り狂っていた。


「何!? セェルンが落ちただと!? しかもフィレノアーナの仕業だというのか!」


彼は机に拳を叩きつけ、書類を床に巻き散らした。


そんな王太子エルドラートの側に立っているのは、ブラウン色の長い髪を後ろで縛った男、デルテ二ア邦伯(ほうはく)

彼は王太子の乳兄弟であり・・幼馴染、昔からの悪友、そして、お気に入りの一人でもあった。


「はい、殿下。キヨウラ公国を名乗る反乱軍によって、セェルンは陥落した模様です。

その反乱軍の首謀者は・・かつて改易したキヨウラ家の生き残り、イジャル! 

そして、その血を引くフィレノアーナ! 彼らによって引き起こされた反乱なのです」


邦伯(ほうはく)の・・その発言を聞き、歯ぎしりする王太子。


「やはり! やはりなのか! キヨウラ! そして、フィレノアーナ! 俺をどこまでも愚弄する奴!」


激高する王太子と反比例して・・冷静なるデルテ二ア邦伯(ほうはく)が ゆっくりとした口調で発言した。


「フィレノアーナ・・・たしかに危険、恐るべき人物! いや! もはや人間ではない可能性すらあるのです。そう! 人外・・人ならざる者かもしれません」

 

その・・・予想外な発言に王太子の目線があがる。


「なに! どういうことだ」


「はっ! フィレノアーナの動向があまりにも・・・素早すぎるのです!

南方のアルゲルンで策動しているとおもえば・・次は北西のセェルン! まさに・・神出鬼没!

しかも・・・ドラゴンを従え、魔獣を使役しているという。それはまるで古に伝わる魔王そのものなのでは・・」



邦伯の言にしばし沈黙する王太子、信じがたい伝説上の話なのだが、

実際・・・このカイラシャ王国の初代国王とその仲間(勇者)たちは魔界から到来した魔王を撃退し・・この王国を建国している。

その後も、魔王からの襲撃を何度か受けているが・・そのたびにその代の国王や勇者によって退けられていた。

この話・・王家に伝わりし古文書に記載されている事実・・・もちろん王太子も知っている。



「魔王・・なるほど・・奴は魔王・・まさに! 」


そう・・王太子の手がわずかに震えた。

俺はフィレノアーナによって 建物ごと体を吹き飛ばされ・・殺されかけたのだ! それはまさに魔王のような所業。

魔法が使えない落第者とよそおいながら・・・虎視眈々と俺の命を狙っていたというわけだな!



「邦伯、奴に関する情報は他にないのか!?」


「はっ! 信頼における・・とある上級魔導師からの報告では・・・

ドラゴンを呼び寄せ、セェルンの城壁や建造物を倒壊させたとのこと。

系統不明の魔法を放ち・・・多くの住民をいたぶる。

特に血を見ることを好んでいるようで 人間の肉を自らの手で削ぎ・・血をすすっていた。

他の伝聞や報告も同じような内容であり・・・ほぼ真実と思われます」



その話を聞いて・・・王太子は確信した。

人々をいたぶり・・血を欲する! しかもドラゴンを使役

これはまさに古文書、降誕記列録にかかれていた記述どおりなのだ。


しかも・・この古文書の内容には、我が王家にとって最重要・・最も機密とすべきことも含まれていた。

そう! 百数十年前、我が王家の血族から・・魔王が出現したという恥ずべき事柄。

おそらく・・・身体を乗っ取られたのであろうが・・決してありえない話ではない!



「間違いない! フィレノアーナは魔王だ! 奴は魔王だったのだ! 王国を破壊する魔王なのだ!」

王太子は机を叩き力説した。



「わたくしも同意いたします。それならば、対魔王対策が必要です。神聖魔法を使える者を勇者として・・」


「そうだ! 勇者だ! 勇者が必要だ。その勇者を旗頭にして・・・討伐軍を編成するのだ。

もちろん全軍でだ! 王国軍の総戦力を集めて魔王に叩きこめ・・奴を抹殺しろ!」


興奮気味の王太子・・・デルテ二ア邦伯は少し困り気味だが、顔には出さず冷静に答える。


「しかし・・殿下、全軍、全ての兵力・・・なのですか!?」


「もちろん全兵力だ! 全てを結集し奴を殺せ! 潰せ! 抹殺しろ! それとも邦伯、なにか・・・文句でもあるというのか!?」


王太子は鋭く睨む。


「い・・いえ! わたくしも全兵力がよろしかろうとおもいます。すばらしき英断!」

すぐにでも軍務卿にお伝えいたします」


「そうだ・・邦伯! 勇者の件も忘れるな! 勇者、そう・・神聖魔法を使える者を早急にあつめておくのだ!」


「はっ! 御意に」


デルテ二ア邦伯は一礼し・・すぐに退出した。

そして・・・困った御仁だと苦笑する。全兵力の動員など・・・無茶すぎるのだ。



ちなみに勇者とは・・・神聖魔法を使える者のことをいう。


対魔王戦となると、一般の魔法は、ほぼ使い物にならない・・防御され、跳ね返されてしまうからだ。

魔王の魔法耐性能力は異常すぎるほど高いからである。

しかし・・・神聖魔法(ホーリーマジック)だけは跳ね返されない。対魔王戦に有効な魔法なのだ。


歴代の勇者・・伝説の勇者、そして初代国王も全て・・神聖魔法の使い手だったのである。

だが、残念なことに、その神聖魔法の使い手はほとんどいない。ごく少数・・

治療魔法(ヒーラー)の使い手よりも少ないのだ。



ちなみに、ノアことフィレノアーナは邪神様の使徒ではあるが・・・れっきとした人間であって魔王ではない。

ついでに、邪神様のコーヒーチョコケーキ氏は異世界のゲームプレイヤーであって、普通の一般人w


ノアと戦うのに神聖魔法である必要はないのだが・・・そんなことを知る由もない王太子だったのである。




-*- - - - - - *-



カイラシャ王国は危機に陥っていた。

危機に陥った原因は・・・病気の国王に代わって政治を担っていた王太子のエルドラート!

彼はあまりにも酷かった。

悪逆非道で倫理感もなく、やりたい放題・・しかも選民思想、

その上、側近や取り巻きによって政治を私物化し専横・・・・そして批判的な者や、敵対者を排除した。

その排除された一族の一つがキヨウラ家だった。



すでにこの内乱で4個師団が消滅してしまっている。短期間に2万もの兵力を失った。

これは・・・王国にとって大損害、これ以上の戦闘は避けたいのだが・・・王太子からの命令である。



軍務卿ラリュスは仕方がなく、南西部・アルゲルン地方に投入した戦力の10個師団・6万余りを北部に転進、

セェルン方面へと向かわせることにした。


もちろん・・・この戦力を引き抜くことは、アルゲルン地方の不安定化を招く。

だが・・・王太子の命令に逆らうことは出来なかったのであった。



「軍務卿殿、この転進、本当によろしかったのですか!?」


「何を言っているのだ・・君は! 殿下の命令に背くつもりなのか! 臣下としてあるまじきことだ!」


「いえ! こ・・これは口が滑ってしまいました。お許しを・・・」


「いいか! いらんことは絶体に喋るな! どこで聞かれているか分からないのだからな!」


参謀に言われずとも・・軍務卿ラリュスは全軍での転進は反対であった。

しかし・・あの王太子の命令なのだから、仕方がない。

やるしかないのだ。全軍で転進・・・


・・・・ということにはなっていたのだが じつは戦力のうち2個師団12000名程度を警察隊と称して・・・アルゲルン地方に残留させていた。

あくまでも警察隊であって軍隊ではないという建て前ではあるが・・・・




◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇




「うりやぁぁぁぁぁ」

奇声とともに・・・人の10倍はあろうかという岩が粉砕され瓦礫が舞う。

某異世界風にいうとダイナマイトを爆発させたような惨状、轟音がこだました。


ここはとある地方のそのまた山奥・・・長く淡い青髪が宙を舞い、拳の連打が炎に巻き付く。

まるでどこかの拳法家だが・・拳法家ではない。


彼の名は・・レシプロン、この山の採掘師。あくまでも採掘師なのだ!

上半身裸の筋骨隆々の青年! 若さがみなぎる肉体! 大柄で見るからに強そう・・そして実際に強い!


得意の必殺採掘術・・・サイクロンアタックで岩を粉砕し、魔鉱石を採掘しているのだ。

そう! 拳一つで採掘! 彼に道具はいらない。生身一つで採掘してるのである。



この山脈の地層は魔力を帯びており・・とてつもなく固い

・・・一般的なシャベルやピッケルでは掘れない! 逆に道具の方が潰されるのである。

魔導師の魔法技を駆使すれば 掘れないわけでもないのだが・・・それでも一苦労、魔力の消費が馬鹿にならず。現実的な採掘はできない。


ただし、その魔法の中でも特殊な系統・・・ホーリーマジック、いわゆる神聖魔法を行使するなら・・簡単に掘れるのだ!


それが彼・・・レシプロン!

神聖魔法の影響なのか・・・長い髪は薄青(ペールブルー)に染まり、身体全体に波動が渦巻く。

そして・・その波動、神聖魔力を拳にまとわりつけ・・思い切り岩に叩きつけた!


「おらららぁぁぁぁぁ」 ズドォォォォォォンンンン


一般の採掘師では絶対無理! 手に負えないような岩を拳一つで粉砕させ、舞い散る瓦礫!

そして・・その瓦礫の中に・・・目的となる魔鉱石があった。


付近に漂う魔力が・・なんらかの原因で凝固し固体化したものが魔鉱石、一般的には魔石と呼ばれている。

そして、その魔石(魔鉱石)は彼・レシプロンの髪色と同じ・・薄青色の光を放っていた。

見た目はサファイアに似ており・・魔鉱石の価値とともに、身を飾る宝石としても重宝している。



「よし,ここは当たりだ! 大漁大漁!」


レプシロンの口元が緩む。ひさびさの大量採取、ホクホク顔



このように・・貴重な魔鉱石を採取してるのならば・・かなり裕福のはずなのだが、なぜか彼は貧しい。

なぜなら これらの魔鉱石をほとんど売らず、自分の趣味に使用していたからだ。

(あとついでにいうと・・・指名手配されているので あまり人前に出れないという裏事情も抱えていた)


彼・・・レシプロンの趣味は、これら魔鉱石を使ってのゴーレムづくり!

しかも、思考自律型なのだ! 

 

人間のように考え・・人間のように行動する。背丈も人間ほど・・

異世界風にいえば、二足歩行ロボット・・・ただし思考はAIなので意思はない。


そんなロボットゴーレムにとって最重要部品、AIを司る緻密な集積魔導回路の作成・・・すなわち魔鉱石が必要なのであった。



多重で複雑、細かい魔導回路を描き込み・・所々に魔鉱石を埋め込む。

この魔鉱石は言わば魔力の切り替えスイッチ・・・これを利用して記憶と計算・・各種の処理をおこなっているのだ

それらが・・ゴーレムたちの根幹、AI制御装置となって スムーズな動作を実現・・・あと略(難しいのでw)



始めてゴーレムを作ったのは5年前・・・今では数十体ほどが稼働し・・働いている。

そう! 目の前ではレプシロンによって採掘した鉱石を 猫車に乗せて運ぶ数多くのゴーレムたちがいた。


なんて素晴らしきゴーレムたちよ! 俺のために働いてくれるなんて・・・(鉱石運びはめんどくさいですからね♡)

しかも・・その姿を見ていると・・心の癒しになる。

なんて素晴らしき職場!


そう! ここは俺の・・ゴーレムハーレムなのだ。



ただし・・・このゴーレムたち、人間型の形はしているものの・・ただの石の塊!

どちらかと言えば・・・ロボットアニメに出てきそうな形態をしていた。

特に! ゴーレムに必要な動力パイプをわざと外部に露出しているのは・・・やはりマニア向けといったところでしょうかw




そんなゴーレム三昧・・・鉱石堀り掘りをしていた彼に、ある日の昼頃、

夏場の日差しの中を この山奥へと迫ってくる武装集団を見つけた。


その武装集団は重厚な鎧で身をかためており しかも、はためく旗は・・・カイラシャ王国の紋章!


「ちっ! 居場所がバレてしまったのか! めんどくさい奴らがきた! 仕方がない・・・」



レプシロンは・・やる気がなさそうに片手を挙げ・・ゴーレムたちに指図のポーズをすると、

十数体ほどのゴーレムたちが変形しだした・・・そう、戦闘モードへの移行である。


めんどくさいことは・・早めに処理するにかぎる・・・






--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)



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