セェルン捜査網、特装警察隊
人々の憎しみ、愛と憎悪、闇の迷路に落ちこみ・・罪を重ねる者たち!
ここは・・・悪徳と犯罪が渦巻く商業都市セェルン、真実を明らかにして・・闇を罰する!
危険な犯罪捜査に挑む彼らは・・・特装警察部隊♪
・・・・というわけで、王女にして有力者のノアに 饅頭箱金貨を賄賂として送った罪によって
新設された警察機構、特装警察部隊は商人"エイチゴヤ"への家宅捜査が決定した。
「よくも・・うちに汚職の片棒をかつがせたわね! おかけで刑務所体験ツアー(1時間コース)をさせられたのよ!」
ノアとシルンちゃんコンビに特装警察隊40名・・・あとついでに影忍の猿たちをつれて、セェルンの大通りに店を構える"" エイチゴヤ ""へと向かう。
"" エイチゴヤ ""・・・それはセェルン最大の絹織物問屋、だがその裏では、ご禁制品の取引、違法な貸金業、しかも奴隷売買まで・・・
闇の犯罪組織との繋がりもあるという。
影忍の猿の長・・モンキーハンゾウからの情報である。
「犯罪のでっち上げをしなくても・・普通に犯罪をしてたみたいだね。それは良かった!」
ノアの発言に一部、不穏当な所があるが・・・聞かなかったことにする。
「はっ! ・・・叩けばホコリが出まくる真っ黒な連中です。たいていの犯罪には手を染めていたようで・・このハンゾウも驚きました」
「ほおう それほどなのか! よし・・・出撃だ」
ノアは・・・黒い魔導師ドレスをかぶり、いよいよ家宅捜査開始である。
ドンドンドンドン・・・太鼓が叩かれる。もちろん・・山鹿流陣太鼓の音色である。
そう! ノアが率いてきた特装警察隊の衣装は・・・某異世界、忠臣蔵ぽい衣装であった。
この衣装が・・・警察隊の衣装なのだ。
そんな異様な47士(猿も含む)は大通りを進む。
町の住民たちは何事かと・・立ちすくみ、または、恐れ逃げる者もいた。
ノアたち47士はキヨウラ家の旗をかざしている。
そう・・・我ら特装警察隊は、彼ら住民から見ると圧政者! 警戒されて当然であった。
目的地の・・・"" エイチゴヤ ""の店構えは大きく・・・他の店を圧倒するほどの威容、
しかも大通りを挟んでの一店舗、目立つぐらいの巨大倉まで建っていた。
それほどまでに利益を出していたということである。
『 悪徳を店舗いっぱいに表現してるっすね! 』
ノアの肩で休んでいるシルンちゃんが・・・頷き感心している。
「なるほど! 悪徳によってこれほどの規模になったのね」
ノアたち特装警察隊47士は・・・"" エイチゴヤ ""をぐるりと包囲した。
もちろん、周囲を歩く通行人たちは立ち止まり、何が起きたのかと興味津々・・
そして、次第に人が集まり、ある種の喧騒が渦巻く!
まさに・・・ショータイム♪
ここで・・できるだけ派手なパフォーマンスをおこない、キヨウラ家・特装警察隊が悪徳商人を討伐する様を住民たちに見せつけるのだ!
そう、" キヨウラ家とは正義をなす者 "という印象を刻み込ませようという魂胆!
一方・・"" エイチゴヤ ""の番頭や丁稚たちは・・店先での騒ぎに気づき・・ぞろぞろと外に出で来る。
そして、彼らはその光景を見て困惑した。
キヨウラの家紋を旗印とした武装集団によって包囲されていたからだ。
そこへ・・ノアは大声で言い放つ。
「"" エイチゴヤ ""よ! おまえたちの罪状はあきらか! 奴隷の違法売買、ご禁制品の取引、違法な貸金業・・・まだまだあるぞ! 犯罪のてんこ盛りだ」
周囲で見守る住民たちは ここで初めてキヨウラ公国による警察活動だと知るのである。
そして、その住民たちの中には・・・この"" エイチゴヤ ""によって損害を被っていたり破産させられた者も多くいた。
「おっ~ やっちまえ!」
「たたけ! たたけ! 潰してしまえ!」「天罰をおもいしらせてやれ!」
なにやら声援が聞こえてくる。それとも・・恨みか!?
どちらにしろ・・・掴みはOK!
住民たちの一部は ノアたちを支持してくれているようだ。
「よしよし! 我らに大義あり!」
『 そうすねっ! 』
それに対して・・・ここまで何も言わず、騒がず、いや! あまりにも唐突すぎて あっけにとられていた"" エイチゴヤ ""の番頭や丁稚たちが・・慌てるように動き出し、整列を始めた。
どうやら大物の登場である。
そう・・それはこの店の店主、通称・・・ご隠居様!
その人物が店先に出てくると・・・一斉に番頭や丁稚は礼をした。
いわゆるラスボス的な人物、白髪で杖を突く老人、たが、その歩みは若々しい。
まだまだ若い者には負けないという気迫がある。
そして・・・その老人、ご隠居様はノアの存在を認めた。
しかも、するどい眼光で睨みつけてきているのだ。
まるで・・裏切り者を射抜くかのように・・・
この老人・・ご隠居様は、あらゆる対策をとっていた。
そう、このような事態になるかもしれないと予測して・・公王の最側近とされ、噂では公王イジャルの妹ではないかと言われている女魔導師に、
それなりの金貨を掴ませていたはず・・
なのに・・何故! しかも、その女魔導師が先頭に立ち、わしらを弾劾するのだ!?
杖の先端をおもいきり地面に叩きつけ・・そして、老人は怒りの目となって睨んできた。
「おい! 話が違うのではないのか!? お前にはそれなりの金貨を・・・・」
・・・・と老人が話している途中で・・・ノアは"" チョココーティング ""の魔法を躊躇なく・・いきなり放った。
べちょ~~ん
その老人・・・ご隠居様と名乗る老人は・・・飛翔してきた黒い物体によって黒く染まった。
もう体は動かない、口も動かない・・まるで彫刻
チョコでコーティングしたのである。
これで・・・余計なことは 喋れない! へんなことも言えない!
賄賂をつかまされたなんて・・・住民に知られるわけにはいかないのだ!
ノアは・・一瞬、コーヒーバブルボムで老人ごと吹き飛ばそうかと考えたが・・・そんなことをしたらイジャルに怒られそうだったのでやめた
ご隠居は命拾いしたのであった。
『 ノ・・ノア様・・まさかっす・・証拠隠滅っすか!? 』
「・・・・殺してないから、隠滅じゃないよ! ただしあの老人・・・一生、牢屋から出さないけどね」
『 それ・・・抹殺とかわんないっす! 』
シルンちゃん・・・呆れ顔。
特装警察隊の隊員は・・・あえて聞かなかったことにした。大人の対応である。
ご隠居様と呼ばれた老人は・・・チョコによって黒い彫刻にされてしまい・・番頭や丁稚はパニック状態となった。
「ご・・ご隠居様!」
「ま、まずい! お助けするのだ!」
彫刻化したその老人を助けようと、彼らは・・老体にまとわりつくチョコを外そうとする。
だが・・・なかなか取り除けない。
それどころか・・そのチョコを手で触るだけで・・・絡みつかれてしまうのだ!
まるで鳥もち! 人間ホイホイ、そして、手が抜けなくなる。
そう! 老人と合体してしまうのであった。
番頭や丁稚たちが次々とチョコまみれの老人とくっつき・・・一心同体!
離れられなくなる地獄絵図w
その様子を見て・・・薄ら笑いするノア・・・完全に悪役である!
「よし! 逮捕だ! 全員を捕縛せよ」
ノアの号令とともに・・・特装警察隊は"" エイチゴヤ ""の店内へと突入した!
ちなみに・・合体した老人や番頭、丁稚たちは捕獲用の籠に放り込まれた。
間違っても・・彼らにまとわりついているチョコに さわってはならない! 二重遭難になってしまうからだ。
チョコは熱に弱いので・・・日向ぼっこしておけば、数時間で、チョコの戒めから解放されるはずだ・・・と思う。
"" チョココーティング ""事態に殺傷性は無い。
店内に突入した特装警察隊から続々と報告が上がった。
従業員の捕縛、関係書類の押収、
そして・・隠し扉の発見、その中にはご禁制の品々があった。
それはどうやら麻薬類のようなもの・・・・これで取り合えず罪は確定だ。
よしよし♡ ノアは ホッと肩をなでおろす。
ご隠居様と呼ばれるこの老人を 口封じで始末するのではなく・・・
処刑に持ち込めるだけの十分な罪を発見できたからであった。
「よっしゃ~! 隠蔽成功!」
・・・・と声にだしてしまったため、かなりの住民に聞かれてしまったのは・・・ご愛敬♡
その上、店内の奥深くに新たな通路を発見、そこには麻薬よりも重罪・・・人身売買でもある奴隷たちが多数発見されたのだ。
しかも、年端もいかない子供たちが・・・・ぞろぞろと
その中には・・ノア好みの可愛い少年までいたため、ノアの鋭い眼光が・・・ご隠居様と呼ばれる黒い彫刻に注がれる
「こ・・・・こんな可愛い子まで!」
『 ・・・極刑で決定っすね 』
「そうよ! 奴隷売買なんて人がすべきことじゃない。 車裂きの刑 いや! 凌遅刑でじわじわと肉を削いでやる」
そんなノアの発言に・・・チョコで固まったご隠居様がわずかに動いた。声は聞こえているらしい。
「ふっふふふ 処刑が楽しみ! 赤い赤い血が一杯一杯みれるわ」
『 わっちも楽しみっす 』
シルンちゃんも同調。
「 赤い血♪ 赤い血♪ 赤く染まった血♪ 」
闇落ちしたノアの楽し気な発言に・・ニヤリと口角が上がった表情は・・もはや悪人以上の悪人顔・・・やはり噂通り悪の化身だったのか!?
・・・・・ここにコサミちゃんを連れてこなかったのは正解であった。
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一連の流れにおける・・あの女魔導師の行動に恐怖と戦慄をしたのは・・建物の影でその様子を伺っていた魔導師エリャンだった!
しかも・・あの女魔導師が放つ波動の特質は かつて感じた波動に似ていた。
そう! アルゲルンの町で追いかけまわしたあの・・フィレノアーナ元王女!
奴か! 奴なのか!
この様な所であのような所業!
さらに驚くべきことは あのフィレノアーナ元王女、すなわちノアが発動した摩訶不思議魔法・・""チョココーティング""
それは上級魔導師たるエリャンでさえ知らない・・系統不明の魔法であった。
ドラゴンを操り・・・その上、未知の秘宝魔法まで撃ち放つ!
しかもかなり強力らしく、対象者を不思議なパワーで拘束させていくのだ
フィレノアーナ王女の底知れぬ魔導の力に・・エリャンは戦慄し、身体が震えた。
しかも、あの王女は恐ろし気な表情をしながら 恐ろし気な発言をしていたのだ!
"" 赤い赤い血が一杯一杯みれるわ ""
そこまで血を追い求めるのか!? それほど血を欲するのか!?
王女の・・性悪さ、いや! 悪辣! いや! 悪鬼の波動を放ちまくっている!
それはまさに魔王のごとく・・
エリャンは・・念のためもう一度、あの王女の顔を物陰からみた。
そして・・・確信した。
目つきが普通の人間とは違う・・間違いなく心に闇を飼っている。
町や住民たちの命など・・虫けら程度!
全てを焼き尽くし・破壊を欲する魔を持つ者!
下手に戦える相手ではない! やばい相手だ!
それに僕は・・アルゲルンの町であの王女を追跡し・・・あわよくば殺そうとした。
そう、捕まれば・・間違いなく処刑される!必要以上に処刑される。
車裂きの刑や凌遅刑・・・身の毛もよだつ殺され方をされるに違いない。
そして・・僕の血をあの王女は美味しくすするであろう。
「うわぁ・・・それはいやだ! 血抜きされるのは避けたい。逃げるとしよう」
エリャンは見た目をかえるために変装した。
服装をかえ、髪型をかえ、魔法杖を隠し 化粧をして女装した。
だけど・・・やっぱしやめた!
骨格的に女装は無理だった。無理すぎる! 違和感ありすぎ
逆に目立ってしまうので・・・女装はやめて、眼鏡だけをかけることにした。
そう、エリャンは眼鏡キャラ・・・眼鏡が本体!
そんな彼は・・普通の眼鏡一般人になりすまし、この町から抜け出す。
そそくさと・・・そそくさと・・・♪
街道を駆け抜けていった
ちなみに・・・逃げるその道中で盗賊団に襲われている美しき女性を発見。
もちろんのこと、エリャンは助けた! 軽く風圧弾を放ち・・盗賊団を撃滅!
そして・・よくあるがごとく、その女性にお礼とばかりにキスされたりする嬉し恥ずかしいエピソードも付け加えておく。
「眼鏡さん・・・ありがとう! 眼鏡のことは一生忘れないわ」
そう言って・・・その女性は名残惜しそうに去っていった。
エリャン・21歳、そろそろお嫁さんの欲しい年ごろ・・・なぜだか目に、いや! 眼鏡に涙がこぼれる。
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物陰からこちらを見る・・なんらかの波動をノアは感じてはいたが・・
危害を加えてくる素振りがないので無視した。
おそらくうちと同じ魔導師なのだろう。
そう、うちの魔法に興味を持っただけだと判断したのであった。
そんなことは些細な事、
ノアたち特装警察隊は悪徳商人"" エイチゴヤ ""を摘発した後、
影忍の報告に従って・・・引き続き、別の悪徳商人の摘発にあたっていた
「何やつ!?」
「御用改めでござる! 神妙にせい」
「なんだと! やってしまえ」
そして・・・はじまる大乱闘!
ノアの魔法" コーヒーバブル "の連射で 相手方は熱湯コーヒー攻撃で大やけど・・
「ぐうぁぁぁ あついいいぃぃぃ」
「御用御用!」
「ひ・・卑怯な」
「悪徳商人・・・討ち取ったなり!」
そして・・また一つ、悪が滅んだ。
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罪の大小はあれど・・・人の集まる町には必ず悪徳商人はいるのだ。
そして、そんな商人たちを摘発するは・・正義の使者、特装警察隊!
セェルンの治安は我らが守る!
・・・と言いつつ、裏の目的は悪徳商人の財産を没収すること!
キヨウラ公国のため・・この町の発展のため・・・資金が必要なのだ!
そう、今日もどこかで・・悪徳商人たちの悲鳴がこだまし・・・ノアの狡猾な笑いが響く!
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)