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進撃の公国軍


クリカラン峠の戦いは・・・見事にキヨウラ公国軍の勝利となった。

ソン・ゴクン率いる特殊作戦群による巨大岩石ボールによって王国軍を弾き飛ばし、

そして、逃げる彼らを公国軍本体で仕留める!


そう!・・・あの川中島の戦い、山本勘助でさえビックリするほどのキツツキ戦法だったのだ!



だが・・・戦いは、まだ終わっていない。

王国軍を壊滅させたのだ。しかも一人残らず!

ならば、やらねばなるまい!

公国軍は、その余勢を駆って領土拡大を図るのだ・・・復讐のために!


「よし! チャンスだ。兵たちよ、進撃せよ」


拳を握りしめた公王イジャルは即座に命じた。

ノアも頷く。ノアも公王と同じく領土拡大に賛成なのだ。


「領土を・・一挙にいただくわよ!」



しかし・・ソン・ゴクンは難色を示す。


「兵たちが疲れております。無理な強行軍は避けるべき。しばしの休息が必要でしょう」


彼は冷静に意見を述べた。猿とはいえ・・戦闘経験があり戦況を正確に判断できた。


「うっぬっ」

わずかに沈黙、公王イジャルは握りしめた拳をしばし見つめた後、肩を落とした。

ソン・ゴクンの言ってることは正しい。

功を焦りすぎるのは良くない。戦いは始まったばかりなのだ。


「そうだな! はやる気持ちはあるが・・・ソン殿の言に従おう」


彼はソン・ゴクンの言葉を尊重し、休息を命じた。

ノアは少し不満であったが 仕方がないと納得。


その後・・公王イジャルとソン・ゴクン、そしてノアは、次なる作戦を練ることにした。





翌日の午後・・休息と補給を得た公国軍2000名(猿たちも含む)は・・・クリカラン峠を越え王国領土へとなだれ込む。


戦力が少なすぎるのではないのか!?

いや! ノアのチョコザイナ魔法による身体強化で・・・その実力は数倍に膨れ上がっているはず!

それに・・・ソン・ゴクン率いる猿たちもいる。

十分な打撃力を有していた。


「いけ! いけ! いけ! 王国領に逆侵攻だ」


「ふっふふふふ」


『 公国軍・・圧倒的ではないすっか! 』





キヨウラ公国軍はクリカラン峠を素早く踏破、いくつかの小さい町や村を占領しつつ・・ついに!

王国側の要衝・セェルンに到達した。

このセェルンの町はいくつかの街道が交わる商業拠点でもあった。


ぜひとも手に入れたい拠点である。

公国情報部の影の猿たち・・・通称影忍の情報では この地を守る兵力は2000名程度だということ。




セェルンの町を守る城壁からおよそ1ロキル(キロ)の西方、小高い丘に公国軍は陣を構えた。


「作戦を実行する! ここは素早く陥落させたい。」


公王イジャルにとって・・いや! キヨウラ公国にとって、この要衝・セェルンはぜひとも奪いたい都市である。

人口も多く・・・商業地、産業も発達している。

ここを奪えば・・・戦力を大幅アップできるのだ!


もちろん無傷で奪うのが前提である。焼野原にしてはならない!




一方、セェルンの町を守る守備兵たちは・・混乱していた。

いきなり・・見知らぬ兵団が 目前で陣を構えたのだ。

それはもちろん王国軍でもなく、味方でもない。

旗の紋章から判断すると・・・かつて改易したはずのキヨウラ家だった!


あのキヨウラ家の生き残りが おそらく兵を挙げたのだろう!

しかもその兵は・・・人間だけではなく 騎士のように鎧を身に着けた多数の猿たちも含まれていたのだ。


信じられない光景だ! 猿さえも戦うというのか!?


いったいどうなっている!?

情報不足で何が起きているのか不明であった。

とにかく判明していることがある。

そう!・・奴らが攻めて来たという事だった!



この地に隣接している旧キヨウラ領で暴動が発生しているらしいという情報は得ていたが・・

それ以上の情報は知らされていなかった。

もちろん、王国軍一個師団が派遣されたことも・・そして、あっけなく壊滅したということも・・知らなかった!



この町を統治しているのは代官・ラルス、この地は王国の蔵入地(直轄領)であるゆえに代官を派遣していたのである。


そのラルスは・・慌てるように鎧を着用し・・町を守る城壁に登る。

その他の兵たちも、突然の事態に戸惑いつつ配備についていた。



ラルスは城壁のかなた、1ロキル(キロ)先の丘で陣をはる敵を凝視していた。

どうやら敵は・・・この町を包囲するほどの兵力はないらしい。


「見たところ・・・敵の数は2000というところか! それならば・・守り切れる」


彼は明るい希望を見出した。勝てない敵というわけではないからだ。

こちら側の戦力は2000弱、一般人を集めた徴兵なので期待はできないが 守る程度なら余裕であろう。


そう! しばらく持ちこたえれば・・・味方の援軍がくるにちがいない。


すでに救援の伝令は送った。半月も待てば・・・援軍が来るはずである。


彼の精神は・・ある程度の余裕が保てた。そして、兵たちにも声をあげる。


「敵は少数だ! この硬い城壁で・・・半月も頑張れれば・・勝てるぞ!」


この声に応じて・・・まわりの兵たちも歓声が上がった。


「「うおぉー! うおぉー!」」



セェルン守備隊の士気は高い。

食料も十分あり、武器もある! 味方も到来するであろう。


ラルスもなんとかなりそうだと安堵していると・・・


敵の陣地から、一人の騎士が馬に乗って、城壁に近づいてきた。

どうやら白い旗を振っているようだ。もちろん戦う意思はなさそうである。

城壁にいる味方の兵士たちは それでも警戒した。

その騎士は城門前に達すると大声を発したのである。



「我らはキヨウラ公国軍・・大義を正す正義の軍である。

我らの目的は非道なるエルドラート王太子を討伐し、安寧なる新国家を作ること!

セェルンの代官よ! 我らの大義に組し・・共に戦おうではないか!」



そんな発言を聞いて・・代官のラルスは、少し動揺した。

たしかに、エルドラート王太子は素行が悪い。

ラルス自身・・その王太子に殴られたことがあったのだ。


だが・・しかし! 王太子が非道であっても、反乱をおこす理由にはならない!

それは王太子本人の罪であって 王国の罪ではないのだ。

しかも、公国を名乗り王国を征服しようなどと・・・


・・・とはいうものの、たしかに、キヨウラ家に対しての仕打ちはかなり酷いものだと聞いた。

一族全員が処刑されたとか・・・!? いや、待てよ! 

ならば、このキヨウラ公国軍と名乗る連中の長は誰なのだ!?

一族は滅亡したはず!



そこで 城壁の上にいたラルスは・・・城門前にいる使者に声をかけた。

「キヨウラ家は一族全員が処刑されたはず・・・一体だれが公国の主なのだ!?」



それに対して・・・その使者はゆっくりとした動作で、兜をぬぎ ラルスの方へと素顔を見せる。


「それは‥僕だ! 前公爵の孫・・キヨウラ・ノン・イジャル。たまたま修行の旅に出ていたために、あの難を逃れた」



まさか、敵の総大将、公国の主が自ら赴いてくるなどと・・思いもよらずラルスは驚いた! 

そして その容姿にもまた・・驚いた。

重厚な鎧のため・・まったく気づかなかったが・・・その容姿はまるで女子!

本当に男子なのか・・・いや! 本当にキヨウラの者なのか!?


「にわかに信じられない! 貴殿・・・いや! イジャル殿は本当に前公爵の孫だというのだな! ならば何か、証明できるものはあるのか!?」


それに対してイジャルは・・・手に持つ剣を掲げた。

キヨウラの家紋が刻まれており・・・キヨウラの者だと証明できる剣なのだが・・・おそらく城壁上からは認識できないだろう。

そう! それは無駄な行為だと分かり・・仕方がなく彼は・・・剣をおろした。


「まぁよい! 信じなくても結構だ! 信じられないのなら・・そのまま攻め落とすまで・・・それに空を見て見ろ」


そう言われたラルスは 怪訝になりつつも イジャルの指さす上空を見た。

すみわたる青い空、雲ひとつない。

だが・・そのすみわたる空に何かが飛んでいる!?


「人なのか!? しかも二人も・・・」


その二人の存在は箒に乗り こちらに向かって手を振っていたのだ!

あり得ない! 箒に乗って空を飛んでいるとな・・・



「彼女は・・・ノア・・・いや! フィレノアーナ王女、この国の王女だ! 偉大なる魔導師にて、キヨウラの血を引く者」


イジャルと名乗る少年騎士から・・そんな発言を聞き・・ラルスの目は見開いた。


「なに! あのフィレノアーナ王女だと! 悪の化身!反乱の首謀者・・・宇宙大将軍・・・」


まさかのまさか!

王太子を爆死寸前にした上で・・・王国南東部で大反乱をおこし・・・ドラゴンを操り魔獣を操り・・2個師団を壊滅させた女!

そう・・そうか! 

あの敵軍の猿たちは・・・あの王女のさしがね! 猿とみせかけた魔獣なのだな!


なんてことだ! この地を破壊つくし・・・焼け野原にしようというのか!


フィレノアーナ王女の評判は・・もはや魔王級! 人間扱いされないぐらいの悪の化身にされていたのである。


ラルスはおののく!

空を飛んでいるだけで・・・あの王女の能力は とんでもないものだと理解できる。

いや! たとえ王女でなくても・・・空を飛べる相手に戦うなど、無謀なのだ。


そう! 人が飛ぶなんてありえない! 魔導師であっても・・・空を飛ぶなど神話の話でしか聞いたことがないのだ。


ちなみに・・・ノアは自力の魔法で空を飛んでるわけではなく・・・

某異世界の某ゲームのアイテムを使って飛んでいるだけなのだが・・・ラルスにそんなことが分かるわけがない。



ラルスの手が震えていた。


上空に浮かぶ王女・・・おそらく弓矢の射程外、魔法攻撃も届かないだろう。

だが・・・王女からの攻撃は、し放題、重力に逆らわないからだ。


そして、案の定・・・あの王女は、とんでもない攻撃をくわえてきた。



ズドォォォォォンンンン

砂煙が巻き上がった! 激しい揺れと轟音! そして・・・人々の悲鳴


何が起きたのか!? 城壁に亀裂が走る!


城壁上の兵たちはすでに逃げ腰・・・彼らは緊急徴兵した兵たちなのだ。

正規兵のような精神的強さはない。


「まずいぞ!」


先ほどまでの勝利ムードはもはやない。

精神的余裕を失い動揺していた・・・ラルスも兵士たちも・・・








--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)


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