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そして・・恐怖した。



コサミちゃんの村は大騒ぎとなっていた。


ただし、マンティコアによる被害はなかった・・人的被害も物的被害もなかった!

誰も怪我をしてはいなかったのだが・・・心に猛烈な被害、強烈なトラウマを植え付けたのである。




村人たちは見た!

魔導師という恐怖の存在を・・・!

もはや人間のすべきことではない。魔導師とは・・悪魔に魂を売った者たち!


あの巨体・魔獣マンティコアを相手に・・満面の笑みで雄叫びをあげ、踊るように切り裂き撲殺していく!

そこら中を肉片と血で覆いつくし、地獄絵図を作り出す・・・狂気の少女


その名も・・ノア! キヨウラ公国の黒幕!


村人たちを恐怖させた。


『 ノア様!不味いっす。評判ががた落ち・・支持率もマイナスに突入っす! もはや人間扱いされていないっす 』

シルンちゃんの警告に・・・ " あっ~! 不味い "と思ったがすでに手遅れだった。



身体を震わせ・・・恐怖にもだえる村人たちが ノアの目前で平伏していた。

前代官バルンドとは違う・・・別の恐怖を住民たちに抱かせ支配してしまったのだ。


恐怖政治の始まりである。



ついでにいうと・・コサミちゃんはノアの足元で、今だに気絶中。


「・・・・こうなった以上、伝家の宝刀を奮うしかない」

ノアは必殺魔法・チョコザイナを発動し・・・美味しいチョコ、板チョコを大量召喚した。


虚空から降りそそぐ・・板チョコたち。


「よし! 支持率アップのため・・板チョコで買収するのだ」



だが・・・その不思議な光景、黒い物体が空中から湧き出す様を見て・・・何事が起きたのかと村人たちはいぶしがる。

なにか不審で危険な物体に見えてしまったのだ。



ノアはその黒い物体・・板チョコを一つ取り・・・目前で平伏す村長に手渡そうとした。


「これは・・板チョコ! 邪神様からの贈り物です。美味しいですよ! 村の人達に配ってください」


ノアはニコニコと笑う。


だが村長は・・・その笑顔で恐怖した。

"" なに! 邪神様の贈り物!? 邪神様だと! ""


ノアにとって邪神様は とっても良い神様なのだが・・・一般の村人における邪神とは・・すなわち悪魔!

まさに・・・この少女(ノア)は悪魔に魂を売ったことを意味していると、村長は感じたのである。


"" そう・・・この禍々しい黒い物体を食べさせて・・・我らを邪神の生贄にするつもりなのか!? ""

村長の顔は青くなり・・・身体が震えだした。

いや! 村長だけではなく ここにいる村人たち全員が恐怖しパニックに陥る。


「「うわぁ~ ぐわぁ~」」

「「助けてくれ!  何でもするから助けてくれ!」」


村人たちからの いきなりの懇願に戸惑うノア!? 何が起きている!?


彼らは・・・泣いて許しを請い出した。

しかも 板チョコから距離を取ろうとして後ずさりもしているのだ。


どうやら板チョコが・・怖いらしい。

毒物だと思ってるようだ。


そして・・・ついに村長は、顔を青くしながら けしからんことを言い放った。


「その娘・・・コサミを生贄として差し出します! だから・・村人たちにお慈悲を!?」


パニックってるのか!?

わが身可愛さ!?それとも村のため!? 


とにかく村長は・・・コサミを・・・人身御供にしようとしていた!?

しかも・・村人たちも同意するかのように頷いている。



ただし・・コサミちゃんと結婚の約束をしたという幼い男の子は 再び泣きじゃくっていた

「コサミちゃんが死ぬなら・・・僕も死ぬ!」


小さい声でありながらとんでもないことを言い放つ・・・この男の子! 

ノアはちょっと関心、そして・・・こんなことを言わすコサミちゃんに一抹の不安!?




この幼い男の子は別にして・・・この村長の言いようと 村人の態度・・・

ノアとシルンちゃんは互いに目を合わし・・なるほどと理解した。

そして半分の呆れと半分の怒り!



ちなみに・・・勘違いされ邪神様の生贄にされそうになっているコサミちゃんは・・・今だZZzzzzz中


『 勘違いとはいえ、コサミンを売るとは許せないっす! 』

シルンちゃんはわずかに羽ばたいた後・・・村人たちをにらみ 口から小さい炎を噴き出した。


すると・・・・・!



ズドォォォォォォン

空気を震わす大音響! 雷鳴が轟く。



出た・・・再びマンティコア! 

あのマンティコアが数十匹、集団となって森から現れたのだ。

マンティコア大軍団の出現である!


もしや! あの惨殺されたマンティコアの復讐のためなのか!?


彼らの目は赤く光り、牙は刀の刃のように鋭い!

しかも一匹一匹の大きさは 惨殺されたあのマンティコアより遥かに巨体で・・・その姿は、まるで某怪獣映画。


その存在はまさに恐怖そのもの。それらは全ての人間を食い尽くす凶器のようだった。


もちろん・・・これらマンティコアは、シルンちゃんによって作りだされた幻影魔法・・まぼろし


現実には存在していない。

だが村人たちには・・リアルな光景に映ったのである。


村人は・・・その恐怖の軍団から逃れようと逃げ出したのであった。

一目散・・蜘蛛の子を散らすがごとく逃げ去った。


「「で・・でた!」」

「「うわぁぁぁ 助けてくれ~」」


あっ! 村長が逃げ損ねて・・こけた。頭から地面に突っ込んだ

これは痛そう!



でも・・あの男の子は、寝込んでいるコサミちゃんに駆け込んでくる。

これが愛の力なのか!?


「コサミちゃ~ん!」


ノアは・・・ちょっと涙ぐむ。感動するではないか!

しかも、小さい身体でコサミちゃんを守ろうと・・一生懸命に覆いかぶさろうとした。

なんて健気!


「う・・・うらやましい!」

ノア、おもわず本音を呟く。



男の子以外の村人がいなくなった後、シルンちゃんは幻のマンティコア大軍団を消滅させた。

周囲は静寂にもどる。

だが・・・遠くの方から、今だに村人の叫びが微かに聞こえてきていた。


ノアは男の子の肩を軽く叩き・・・声をかける。


「もう・・大丈夫だよ! マンティコアはどこかに行ったみたい」


男の子は周りを見渡し・・・安全を確認したようで・・ほっとした顔になった。


"" そんな顔も可愛いじゃないか ""

ノアもほっこり・・・そんな可愛い男の子に板チョコをあげると・・その男の子はさっそくとばかり、美味しそうに食べだした。


いいね! 幼い子は素直で・・・

ついでに・・・余ってる板チョコをたくさんあげると・・男の子は元気よくお礼を言った。


「悪魔のおねーさん! ありがとう」


えっ おもわず固まるノア・・・悪魔って もしかして・・うちの事!?

苦虫を嚙み潰したような顔となったノアなど気にもせず・・男の子はニコニコ顔で おまけにスキップしながら村へと帰っていくのだった。



そう! 板チョコをたくさんもらって ご機嫌になった男の子は・・完全にコサミちゃんのことを忘れていた。

コサミちゃんの愛より板チョコを取ったのである! なんて罪作りな板チョコ

そんなコサミちゃんは・・・今だに寝ていたのである。





「あっ 村の名産・・・"キリタンポ"を食べ損ねた」


『 わっちは "五平餅" を食べたかったっす  』


こんな騒ぎにならなかったら今頃、名産を食べれたのに・・・などと思いつつ、

気絶したままのコサミちゃんを  空飛ぶ箒に乗せて(二人乗りで)・・・公爵邸へと帰ったのであった。



その後、公王イジャルの命令でソン・ゴクン率いる猿たちが その村に派遣され 弁明というか詳しい説明が行われた。

完全武装の猿たちの威圧で無理矢理、説明したのかもしれないのだが・・・詳細は知らされていない。


コサミちゃんを生贄にしようとしたことについて・・・村から謝罪をうけた。

ついでに・・謝罪品として、大量の"キリタンポ"や"五平餅"が送られてきたため・・

ノアとシルンちゃんはホクホクである。


もちろん・・・おいしく食べました。



「この外側の焼けた部分がいいのよね! カリッとした食感!」

口元にタレをつけながら ノアはパクパク


シルンちゃんも小さい手で器用に"五平餅"を持ち・・・『 わっちもこの焼けたところが大好きっす 』


地元の人間であるコサミちゃんも"キリタンポ"を片手に持ち・・・口を大きく開けてパクリ!


「これ・・私の村の名産だけど、近頃は全然、食べれなかったのよね!」


こんなとこに・・・前代官の悪政の影響があった。

地元の人間でさえ食べれない贅沢品にしてしまってたのか・・・!



そんな会話をしていると・・疾風のごとく入ってきた一つの影!


「これこれ! このタレが美味しいのだよね~」

なんてことを言いながら "五平餅"を一つつかみ・・・再び、足早となって去っていく公王のイジャル。

こんなとこでゆっくり食べてる暇がないほど 忙しいらしい。ご愁傷様である。



そんな姿を見て・・・目が点となったコサミ!

今しがた・・・この地の公王様が 何気に通り過ぎていったのを驚くのであった。




-*- - - - - - *-



ノアが とある村で騒ぎを起こしている間・・・イジャルは公王としての職務に勤しんでいた。

忙しいのである! 食事もままならぬほど忙しいのである。


あげくに・・・あの従妹の王女のフィレノアーナ王女・・

いや! ノア様が村で騒ぎを起こし、マンティコアを討伐・・・悪魔と恐れさせたあげくに・・村の娘を拉致したとかしなかったとか!?


「・・・・余計な仕事を増やしやがって!」



それはそうと、・・・イジャルの仕事量は徐々に減少しつつあった。

その理由として、公国を支える官僚の人員が充実し始めたからです。


かつてキヨウラ公爵領を支えた家臣たちの生き残りが・・わずかながら帰って来たのである。


その一人がアランス、30歳前後でちょっとメタボが気になる年頃、

・・・そんな彼は偶然にも隣国、ヴルティリア帝国への出張中であったため あの事件の難を逃れたという。

アランスは・・もともと行商人でもあり、事務の仕事に長けていたため・・イジャルにとっては大助かりになった。



「アランス君、本当に助かるよ。君のおかげで、僕は他の重要なことに集中できる。」


「わたくしは・・公国のため、イジャル様の助けとなるため 微力ながら誠心誠意、務めさせてもらいます」



そんな謙虚なアランス君、これからが大変でした。

朝早くから夜遅くまで、休む暇もないほどの仕事の連続!

それでも真面目な彼は、自分の仕事が公国の運営に大いに貢献していると感じ、大きな満足感を得ていた(ある種のブラック)



「アランス君のような人物が 帰ってきてくれて・・・本当にありがたい」

イジャルはアランスに大感謝であった!




-*- - - - - - *-



キヨウラ公国を支える公国五龍将がそろった

ノア様、シルンさん、ソン・ゴクン、コサミ、アランス君・・・・一部、人間以外も混じっているが! 


彼らは、天を裂く飛龍、地を揺るがす地竜、闇を照らす煌龍、荒波を鎮める海龍、そしてペットの小さい龍w

公国の安定と繁栄を保証し、敵を滅する最強の龍たちなのだ!



・・・・なんて中二病な思考をするイジャルであった。だって・・まだ16歳だもん










--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)



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