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サルの温泉(HOT SPRING of the APES)


少年の名はイジャル・・・一応、剣士である。


そして、そのイジャルは困惑していた。

無茶苦茶、困惑していた。


現在・・・空を飛んでいる。信じられないのだが・・・空を飛んでいる。

転落したと思っていたら飛んでいたのだ。

まったくの理解不能! 何がなんだがサッパリラーメン


しかもお姫様抱っこされている!

男の僕が・・僕と同じ年齢ぐらいの少女に・・・!?

いや! 待てよ・・・この少女・・・胸がないので男かも!?


なんて考えていたら・・・その少女に睨まれた気がするので・・・この考えは撤回した。



僕は現状を把握するため・・周囲を見渡す。

何か小さくて白いドラゴンが・・パタパタと旋回していた。

モフモフ可愛いのだが・・・意味不明だ。


それにこの少女・・・黒髪に団子ヘアーなのだが、服装はコートに白いシャツに短パン・・・やっぱし男の子なのかな!?

・・・と思ったら 再び睨まれたので・・・撤回!



それよりも重要なことがある!

・・・この少女は箒に乗っている! 箒で空を飛んでいるのだ!


昔話で聞いた・・・空飛ぶ箒! まさか実在していたとは・・・


ということは、この少女は魔導師なのか!?

いや! 待てよ待てよ・・・この少女は・・そんじょそこら程度の魔導師ではないはずだ。


そう、なんたって空を飛んでいる! 空を飛べる魔導師なんて、おとぎ話でしか聞いたことがない!!


彼女は・・・まさに! 伝説級の上級魔導師なのだ!



もしかして僕は 物凄く運がいいのかもしれない・・・こんなとこでこんな凄い魔導師に・・・お姫様抱っこされるなんてw





◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇




空飛ぶ箒に乗ったノアは・・・落ちてきた少年・イジャルをお姫様抱っこのようにして、見事にキャッチ!

まさにギリギリ、ちょっとでも遅れていたら 少年を奈落の底に落とすとこだった。


あぶない! あぶない!

うん、それにこの少年、ちょっと可愛いよね・・・好みの顔♡ 


" うっふふふ "・・・と口角を上げつつ声をかける。


「えっと、大丈夫ですか・・・!?」


少年はわずかに放心した後、戸惑いながらも返事を返してきた。


「えっと・・ありがとう。助かりました。あなた様は僕の命の恩人です」


不安げな顔で上目遣い・・その上、視線が合ってしまいノアはドキドキしてしまう。


「ふにゃあっ・・恩人ね! あはっ・・いい響き~よね、ちょっと照れるけど・・」


「本当にありがとうございます。でも・・・この状態・・」


そう言うと、少年の身体がもじもじと動き・・・目線が宙をさまよっている。


「あっ!?」


ノアはやっと気づいた。その少年をお姫様抱っこしているのだと・・・



「ごめんごめん! ここでは下ろせないので、この箒を地面に着地させるからね!」


このノアの発言に対して・・少年は即座に首を振った。


「えっと、すみません・・・地面じゃなくて、頂上に登っていただけるとありがたいです」


「あっ うん、いいよ!」



少年の頼みに応じて、空飛ぶ箒はゆっくりと上昇し、絶壁の頂上へと着地した。


ここは・・・あの猿たちが温泉に浸かっていた前人未到の秘境、

道も階段もなく・・ノアのように空飛ぶ箒でもないとたどり着けない場所なのであった。



温泉のせいなのか・・すこし煙たい。ほのかに硫黄のにおい。

シルンちゃんは バタバタと羽ばたき周囲を警戒していた。


少年はすでにノアの手から解放されて・・嬉しいのか背筋をのばしている。

そんなに、うちと接触するのがイヤなのかと・・・突っ込みたがったが、

この歳の少年って異性を意識したがるものである。


・・・・いや! この少年の場合・・・!?

というか、おもに意識してたのはノアの方であったw



この少年は、ノアに比べて背は少し低く・・・まるで女の子のように可愛い。

あれ!? もしかして・・・勘違いしてた!? 本当は女の子だったのかも!?

念のため・・・聞くことにした。


「えっと・・うちはノア、魔導師をしてるのよ・・・ところで、あなたは女の子かな!?」



そんな問いに驚いたのか、少年は自分の身体を触り、とりあえず・・色々と確かめていたw


「僕は男ですよ! えっと紹介がおくれまして・・・僕はイジャルです。分けあって、この頂上に登るつもりだったのですが・・」


「えっ! ここはうちのように空を飛べないと来れないような危険な場所だよ」


「はい、こんなに危険なとこだとは思ってなかったのです。本当に助けてもらってありがとう」


・・・といって、イジャルは深々と頭を下げた。


「いえいえ・・・可愛いじゃなくて・・・人助けは当然の事です・・・」


つい口走ってしまったノアの不本当発言!?によって・・・イジャルはなんとなくうつむいた。

男の子に" 可愛いの発言 "は・・・やっぱしショックだったのかな!? 

でも・・・顔が赤くなってないか!?



そんな二人の会話をしていると・・・付近を警戒していたシルンちゃんが喚きだした。


『 ノア様! 猿っす! 猿っす! 』


この発言にイジャル少年は目を見開き驚いた。

付近を旋回していたチビドラゴンが・・・いきなり人間の言葉を喋ってきたのだ!


そんなイジャルにノアは目を細めて説明をした。


「うん、このドラゴンはシルンちゃんっていうのよ・・・うちの可愛い相棒だよ!」


『 よろしくっす! ・・・というか それどころではないっす! まわりを見るっす! 』


シルンちゃんは・・・ノアの肩に止まり、小さい手を握り閉めファイティングポーズをした。


そう! 二人と一匹の周りを いつのまにか・・・あの温泉猿たちによって包囲されていたのである。

縄張りに侵入してきた敵を威嚇するがごとく・・・



「うっ・・・」


この時点でノアは、その深刻さに気付いた

すると、イジャル少年はノアを守るように前に歩み出し 鞘から剣を抜く。


「ノアさんは・・・僕の後ろに!」


そんなイジャルの姿を見て・・・"" あっ やっぱし男の子なんだ! ""とノアは感心した。

ついでに・・ちょっとカッコいいとも思った。


だが・・・そんなことを思っている場合じゃない。


この猿たち・・・シャレにならない相手だ。


温泉に浸かり・・・野生性などなくしていたと思っていたが、縄張りという野性特有の本能・・

いや! 違う、ある意味で 本当に野生をなくしている!



うちらを包囲する・・その猿たちの数、数百匹以上!

しかも・・・頭にはピッケルハウベ(ドイツ風ヘルメット)、胴体には重厚な鎧を着ているのだ!

そして、手には槍のような如意棒に、とんでもなく力強い魔力、または波動を感じる。

その姿、ほとんど西遊記のあの猿・・・そう、孫悟空の軍団なのだ!


彼らサルたちは・・・呑気に温泉に入っておきながら もしもの時のために・・これらの装備を準備してたというのか!


そう、彼らはすでに野生化を辞めてしまい・・・文明化したサルたちであった。


ここは・・・サルの温泉(HOT SPRING of the APES)





シルンちゃんはいつでも特大の炎をはき出せる状態となっていた。

・・・とはいってもシルンちゃんの特技は幻影魔法

吐き出す炎は幻なのだが・・威嚇には使えるはずである。



ノアも・・・足止めチョココーティング魔法! いつでも撃てる体勢になっていた。


そして、イジャル少年は・・・力強く柄を握りしめ、剣先が静かに舞い上がる。

そう! まるで空を切るがごとく・・

これは、蘭影流、三日月殺法の構え!


美しく神秘的でもあり・・しかも威圧的、強者の雰囲気!


うわぁ かっこいい! 何なの! この少年!? 何者!?

ノアはドキドキ、興味津々となってイジャルを眺めた。 




-*- - - - - - *-


ただならぬ雰囲気・・一触即発!

今にも・・・人間VS猿たちの戦いが始まろうとしたその時!


「待たれよ! そこの人間たち」


猿たちの中から 威厳と深みのある声が聞こえてきた。

どうやら・・この猿の中に人の言葉を発する者がいるらしい。


シルンちゃんという・・・実例もあるので驚きはなかったが、不思議な気持ちになった。



猿たちの中から・・ひときわ目立つ一匹の大猿が ゆっくりとした歩みで出現すると、

周囲の猿たちは 恐れと敬意を込めて、後ずさりし、道を開ける。


白い髭をなびかせた貫禄たっぷりのボス猿・・・いや! ラスボス登場という訳なのだろうか。

威厳ある風格をしている。そして・・そのボス猿は静かに片手を開けた。


すると周囲の猿たちは一斉に、手にした武器・如意棒を下ろす。

まるで王に従う臣下のごとく・・・


「わしは湯泉大聖ソンゴクン、キヨウラ公爵殿から・・この地を託された者だ」









--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)

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