ノア・・思わぬ恐怖!
ノアは男たちの襲撃を・・・みごとに撃退!
そこら中を霧だらけにした後・・・街道に沿って少し進み、横道にそれて 大木の影に身を隠した。
ここなら街道を行き来する旅人たちから・・見えないであろう。
『 ノア様、何かするっすか? 』
ノアの頭の上で羽を休ませているシルンちゃんが尋ねた。
シルンちゃんはノアのお友達、小さい手乗りドラゴンの姿をしている。
「指名手配されてるからね・・・変装をしなきゃ!」
・・・・といっても、変装アイテムなんてあったかな!?
ノアは時空ストレージと呼ばれる異空間倉庫を開いてみた。
そこには邪神様からもらった様々なアイテムが入っているのだ!
武器や防具、薬や食料などの各種アイテムなどなど・・・
ノアは取り合えず・・・手近なアイテムを取り出した。
それは・・・面白眼鏡にヘンテコな口髭がついてるアイテムだった。
そう! いわゆる" ちょび髭鼻眼鏡 "
うんうん! これは宴会用で 笑いをとるためのグッズだと邪神様が言ってた!
「にゃ~! 目立ちたい時には最適だけど・・・それじゃ逆効果だよ! 」
気をとりなおし・・ノアは再び時空ストレージ内を探りまくる。
あれやこれや・・あれやこれや・・
そんなノアの周囲をシルンちゃんは旋回しながら・・・ある種の方法を思いつきアドバイスしてきた。
『 わっちの幻影魔法なら・・髪の毛の色ぐらい変えることができるっすよ 』
「えっ できるの!?」
ノアは期待をこめてシルンちゃんを見た。
するとシルンちゃんは小さい指でサムズアップ! "出来ます"というゼスチャ―をしてきた。
ちょっと可愛いい!
「うん! 髪の色か~ たしか、このクリーム色って珍しいのよね! 色を変えてみるのもいいかも・・・」
『 はいっす! 髪の色だけで、かなりの印象が変わるっす! ついでにヘアースタイルも変えれば完璧っす 』
「ヘアースタイルか~!」
可愛いシルンちゃんの助言にノアは・・・うんうんとうなずく
『 じゃ・・ためすっす! 簡単な魔法なんで楽っす 』
シルンは・・口から小さな炎を吐くと・・・あらあら不思議!
ノアの髪の色がコロコロとかわっていく。
黒・・緑・・青・・・でも、ノアには何が起きたか分からなかった。
そう! ノアの目線からでは・・自分の髪の毛の色を把握できなかったのだ。
というわけで・・・ノアは時空ストレージから手鏡を取り出して自分の顔を見た。
「ふぉぉおおぉぉぉぉ」
髪が真っ赤! しかも特大アフロ、爆発している・・・!
たしかに印象は変わったが・・・これはないでしょ!
へんに目立つし、大道芸人みたいだ。一般人には無理!
「やだやだやだ! 絶対にやだ!」
『 わっちもいやっす・・・こんなのノア様じゃないっす 』
「にゃ~! シルンちゃんがしたのでしょ!」
『 えへっ 』
シルンちゃん・・・わずかに口から火を吐いて・・あざける。
『 じゃ・・・こんなのはどうっすか!? 』
次は・・はりねずみ風の髪型、色は黄色、しかも豪快に尖っている
じつに痛そう! 全方位防御型というべきか、それとも攻撃型というべきか!
「こんな・・頭にしていたら・・・シルンちゃん、うちの頭の上に乗るたびに・・串刺しになるよ」
『 ぐえっ 』
シルンちゃん・・・思わず身震いした。実に痛そうな顔をしている。
「シルンちゃん! なにか・・・こう! うん! 普通な髪型でおねがいします!」
『 そうっすね! 』
・・・なわけで けんけんガクガク 色々な髪型を試した結果、無難な形となりました。
一般的な黒髪で・・・ちょこっと頭に乗せた二つの団子ヘアー!
これは、うん! うなじあたりが色っぽいかもw
「いいね! いいね! これいいよ」
ノアは手鏡で自分の顔を見て・・満足!満足!
ついでに自分の色っぽさに・・・顔が赤くなる。
「あっ! 髪型だけではなく・・・念のため服装も変えないとねっ!」
ってなことでノアは・・時空ストレージ内を色々と探しまくった。
邪神様からもらった様々なアイテムの中に、何か服装のようなものがあったはず。
「あった! あった!」
ノアは・・・喜び勇んで着替えた。
すると・・・シルンちゃんは ため息のような小さい炎を口から吐き出し・・・呆れた顔になった。
うぬっ!・・これは水着・・ビキニ衣装だ! しかも胸がペタンコでブラがずれ落ちた。
ポロリはしないよ・・・だってポロリしないもん(涙)
「うわっあああ・・・なにこの恥ずかしい・・・ってか邪神様が着てた衣装じゃないの! 」
ノアは顔を赤らめた。
『 ノア様・・・その姿っすは まだ数年は早いっす! 胸が成長してから着るっす 』
「あっいや! 成長しても こんなの着るのは・・・は、はずかしい!」
しばし・・・・・沈黙がながれる。
そして再び、ノアは時空ストレージ内を探し始めた。
「ほかに何か・・・まともな衣装はないのかな!?」
セーラー服にメイド服・・・ついでに真っ黒なゴスロリ衣装!
なんでだろう・・・すべての衣装に共通して・・・スカートが短い!
(邪神様の趣味です! 突っ込まないでください♡)
「これいやだよ! かがんだらパンツが丸見えじゃないの!」
『 見えちゃうっす! 見えちゃうっす! 』
なぜかシルンちゃんは大喜びで飛び回る。
いや! いいんたけど・・あれ!? 待てよ! シルンちゃんの性別って もしかして男の子!?
「・・・・・・」
疑問におもったが とりあえず保留!
・・・ノアは再び、時空ストレージ内を探しまくる。
おっと! やっと無難な服装を見つけた。
「・・・シャツとパンツ、それにジャケットだ!」
これならいける! 普通の服装だ!
だけどシルンの様子がおかしい・・・なにやら困った顔つき!?
この服装に何か問題でも!?
『 そうっすね! うん! これはこれで・・ 』
歯切れの悪い発言をするシルンなのだが・・・
すでにノアは・・・着替えを終了していた。
だぶだぶな白いシャツに黒い短パン・・その上にコートのようなジャケット
その姿! まるで少年・・・ちょっと可愛らしい少年なのだ。
しかも、胸がペッタンコのため・・違和感なし!
このファンタジー世界では、胸の大きさで性別を判断するというちょっとあれな慣習があるため・・・
顔が可愛くても・・ヘアースタイルが女性であっても・・・・少年扱いされる可能性があったりする。
ノアは・・・手鏡で自分の姿を見た。
ちょっと・・・驚く。
でも・・妙に似合ってるかも!? 少女!? 少年!? 男の娘!? 可愛くて少年的! まさに中性的雰囲気・・・
「これは・・・これで、いいようなきがする!? 」
『 わっちも・・似合ってるとおもうっす! 似合ってるっす! 』
シルンは大絶賛のようだ。
たしかに・・・この姿なら・・・王女だと思われることはないだろう。
ある意味・・・完璧な変装だ!
「うんうん!」
ノアは自分の姿に大満足!・・・意気揚々と街道に出て歩みだした。
これで・・・指名手配の王女と間違われ追われることはないはずである。
シルンちゃんも・・・ノアの頭の上でうなずき、" これで大丈夫 "の表情であった。
しかし・・・だが!!
街道をしばらく歩いていくと、なにやら怪しい男たちに取り囲まれた。
上半身は裸、肩にはトゲトゲショルダーに・・金ピカなネックレスをぶら下げた柄の悪そうな連中である。
十数名はいるだろう! これはまさにお約束の展開!
ノアは・・まずい!と思ったと同時に・・・この異様な男たちの目線、雰囲気に戸惑った。
普通ではない! 何かが違うのだ!
WANTED! 指名手配されている王女を目的としているわけでもなさそうだし・・・盗賊団でもなさそうだ。
この男たちは・・一体何をしようというのか!?
ノアはいつでも魔法を撃てるように身構えた時、この男たちは口を大きく開け 一斉に連呼しはじめた。
「「やってみないか?」」「「やってみないか?」」
そう! あれである! この男たちはあれな人達、少年をこよなく愛する人達だったのだ!
近年・・・薄い本の増加により・・・その勢力を拡大していっている美少年愛好団体、通称・・"BL友の会"
ノアは間違われた!・・・あまりにも可愛すぎて間違われたのだ!
服に着られている感たっぷりのタブタブなシャツとお団子ヘアー、
その姿・・・間違いなく通常の3倍以上にかわいさが増していたのである。
いわゆる"" こんな可愛い子が女の子のはずがない ""というトンデモ理論。
もちろん、ノアは少年と勘違いされたのである。一応・・・胸がないのも要因の一つになのだが・・・
団子ヘアーしてるのだから・・・少女だと思ってもいいはずなのに・・・なぜだか男の娘として認識されてしまったのである。
「「やってみないか?」」「「やってみないか?」」
男たちの連呼が・・・ノアに迫る。
ある種の危機である! だが・・・この男たちは犯罪者ではない。
同意なしに、その行為を行わないのが・・・この団体の掟!
だが、その威圧は絶対的・・・拒否を許さない雰囲気。
その優れた体格にものを言わせた男たちに囲まれ・・・迫られるのだ!
「「やってみないか?」」「「やってみないか?」」
リズミカルに連呼する! まるで歌っているがごとく・・・
これはまるで洗脳音楽だ・・・聞けば聞くほど・・・・その気になってしまう。
やばい!ヤバイ!ヤバイ!
ノアは手で耳を塞ぎ音を遮断する。
だが・・次は視覚的恐怖が迫ってくるのだ!
あの屈強な男たちが 壁のように近づいてくる。
ノアの顔が青ざめる。ついでにシルンも青ざめた。
魔獣に襲われた時とは違う・・・別の恐怖が襲ってくる。
「うにゃぁぁぁぁぁぁぁ」
ノアは叫び・・・猛ダッシュで走った!
それと同時に男たちも追いかけてきた。
むき出しの上半身から汗を飛び散らせながら・・・
「少年よ! 待つのだ! 我らとともに より高みへと 目指そうではないか」
「そんな高みは嫌だ~! というか うちは少年じゃない」
バタバタバタ ドタドタドタ・・・
この日・・・可愛らしい少年を追いかけていく上半身裸の暑ぐるしい男たちの 暑苦しいマラソン大会が目撃されたという。
その後・・・この男たちは チョココーティングによって粘つき 動けなくなったのは言うまでもない。
だが、ノアは決して安心してはならなかった。
暑ぐるしい男たちを チョコ地獄に落とし入れた後・・・すぐに次の、少年愛好団体の男たちに包囲された。
この街道は・・・こんな奴らばかりなのかと・・疑うレベル!
何故に!? なぜに!?
包囲してきたその男たちは・・・耽美主義的美青年集団だった!
前回の男たちよりは かなりましな身なりで、スーツを着用している紳士のような彼らだったのだが・・・
・・・うん! ちょっとあれだった!
たぶん・・好きな人には好きなのだろうけど・・・ノアには耐えれない!
彼らの口には一輪のバラをくわえており・・・すこしオネエがはいっている仕草だったのだ!
そして・・・そんな彼らから発する言葉はやはり・・「「やってみないか?」」だった。
「ぐわぁぁぁぁぁぁ」
再びノアの悲鳴が炸裂し・・・一目散に走った。
ドタドタ バタバタ・・・
この日・・・可愛らしい少年を追いかけていく バラをくわえた紳士たちの・・バラバラしいマラソン大会が目撃されたという。
そしてもちろん・・・その後、チョココーティングされたのは言うまでもない!
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)